芥川龍之介おすすめ小説ランキング13選【読書好き72人の声を集めました】

教科書にも載る芥川龍之介の作品。学校の国語の時間のなかで誰もが芥川の作品を一度は読んだことがあるでしょう。

作品の多くは短編小説。古典を題材にした作品、子供に読めるようなわかりやすいストーリーの作品などもあります。

この記事では、読書好き72人に聞いた芥川龍之介おすすめの小説をランキング形式で紹介します。

1位「蜘蛛の糸」25票

釈迦は散歩をしていたある日の朝、蓮池を通して下の地獄を覗くと、多くの罪人たちが苦しんでいる様子が見えた。その中にいたカンダタという男もまた、人を殺したり火をつけるなどの行為をした罪人であった。

しかしカンダタは過去に、林で小さな蜘蛛を踏んで殺そうとしたところを、それを止めて蜘蛛の命を助けるという善行をしたことがあった。釈迦は彼を救ってあげようと一本の蜘蛛の糸を地獄へと下ろした。

「これを登れば地獄から出られる」と考えたカンダタは、糸を登り始めるが…。

読者の声

自分本位の考えで自分が助からなかったという、現代でも通じる人間の醜い部分をうまく短編にまとめたところが良かったです。基本的には子供向けですが、大人が読んでも充分堪能できます。(44歳 男性 会社員)

人間の身勝手な行ないにより、助かるチャンスを無にしてしまう。(46歳 女性 主婦・主夫)

教訓、欲望、因果応報がギュッと凝縮された短編だから。さらっと読めるのに深い。(40歳 女性 自営業)

蜘蛛の糸は非常に短い物語ですが、人間の本質を巧みに描いた作品だと思います。(44歳 男性 会社員)

お釈迦様が垂らした蜘蛛の糸にすがり極楽へ行こうとして、後追いするものを切り捨てようとする行為に天罰が当たるところです。(63歳 女性 会社員)

人間の自分だけという、心の奥が見える作品で、何回読んでも心に深く残る作品です。(58歳 女性 主婦・主夫)

罪人と救いの話なのですが、最後は因果応報に終わってしまうのが何とも言えない読後感を生み出していると思います。(37歳 男性 会社員)

悪人カンダダのかつての唯一の善行に対して、お釈迦様がかけたお慈悲の心を利己的な行為で踏みにじり、地獄に落ちるところが印象的。(53歳 女性 自営業)

蓮の花が好きというのもあるが、非現実的な雰囲気で、人間の欲望をハッキリ描いているところが好きです。(40歳 男性 会社員)

人間の業の深さを、悪行の限りを尽くした盗賊・カンダタを通して描いた秀逸な作品です。(59歳 男性 自営業)

人間の根源的な部分の欲望、行きたいという感情がむき出しになって描かれている所。(43歳 男性 会社員)

お釈迦様が地獄の世界を俯瞰している感じで書かれている視点がとても新鮮でした。人が鬼になる時、極限でどういう行動をするのかが描かれているとても興味深い作品です。(62歳 女性 パート・アルバイト)

自己中心主義や他を不快にさせるエゴが回り回って自分を不幸に追い込む、という教訓を、子供にでも分かり易いストーリー展開で完結させるある種気持ち良い作品。(45歳 男性 会社員)

自分勝手な行いは自らの首を絞めることになる、ということがよく分かる作品です。(47歳 男性 自営業)

悪人が一つの善行をしたからと言っても、それで改心したという訳ではありません、それでもカンダタの心に期待したお釈迦様の慈悲に学ぶところがあると思います。(25歳 男性 無職)

地獄に落ちるような人間でも殺生しなければ救いがありますが、やはり最後は人間の欲が浮き彫りになります。(50歳 女性 会社員)

読んだのは子供の頃だが、大人になっても教訓として忘れられないインパクトがあるところが凄いと思います。(43歳 女性 自営業)

時々ふと思うのです。自分は今、正義と公平のもと、人のために正しい行いをしているだろうかと。「善行」というものを意識するようになった、人生観を見つめなおすことのできる作品です。(48歳 女性 会社員)

悪事を働いて地獄に落ちた罪人に、お釈迦様が情けの蜘蛛の糸を垂らす話。短い文章だが考えさせられる作品です。(50歳 女性 主婦・主夫)

日本語の美しさを感じさせてくれる文章です。今ではありがちな結末なのでなおさら文章の美しさが際立ちます。(54歳 男性 会社員)

犯罪を犯した者が蜘蛛を助けた事によって、今度は逆に蜘蛛に助けられそうになるが上手くは行かなかった。内容も楽しみながらドキドキ感もあり分かりやすい内容になっています。(39歳 女性 会社員)

児童文学だが儚くて切なく寂しい作品。読んでからも色々考えさせられる。(33歳 女性 パート・アルバイト)

主人公カンダタ。苦しんでいるところをお釈迦様の慈悲によって天国に昇る糸を垂らしてもらえるが・・・。人間の欲望がよく描かれている作品です。(36歳 男性 経営者・会社役員)

道徳的なことを考えてもらいたく子供に読み聞かせにちょうどよいからです。(41歳 女性 主婦・主夫)

人間の愚かさや欲深さに対する、人を思いやれる心について考えさせられる作品。(48歳 女性 無職)

2位「羅生門」20票

京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、生きのびる道をみつける『羅生門』

「BOOK」データベース

読者の声

人間の非情さを『今昔物語集』から題材を得て書いた芥川龍之介の傑作の一つです。(50歳 女性 自営業)

古典のリメイク作品好きには、作者で作品です。今昔物語を昔話にしてくれました。(43歳 男性 自営業)

人間の悪性は繋がっていくこと。誰でも社会や環境が原因すれば、生きていくために罪を犯す。それらが緻密に描かれた作品です。(33歳 男性 公務員)

誰もが読んだことがある小説だと思いますが、大人になってから再度読み直すと学生時代とは違った受取り方ができるかも。正義とは何かを考え直すことができる作品。(31歳 男性 会社員)

初めて読んだのは高校の教科書。でも40代になった今読むとまた違った感想をもちます。ぜひ昔読んだことがある人でももう一度読んでほしいです(42歳 女性 主婦・主夫)

蜘蛛の糸と並ぶ芥川の傑作で、文学ビギナーでも読みやすい文体です。人間誰しもが持つ悪や陰の側面と向き合う様子が大人になって読み返すとより影響を受けました。(30歳 男性 会社員)

一般的な感性を持っていたはずの主人公が、立場の変化に伴って正義感すら変化してしまう様子が、誰にでも起こりうるように感じ、気に入っています。(27歳 女性 会社員)

人間のエゴが描かれているところがこの作品のポイントかと思います。下人が盗人へと変貌するのが人間の心の怖さを表していると思います。(40歳 男性 会社員)

原作の後に映画も観ておきたい作品です。芥川龍之介の問題提議に対して黒澤明が答えを出してくれました。(45歳 女性 主婦・主夫)

誰もが知っている作品ではあるが、やはりこの作品の世界観はなんともいえない。(25歳 男性 学生)

王道ですが羅生門が好きです。人間の業の深さが描かれていると思います。現代で置き換えて考えることもできるような内容です。(37歳 女性 会社員)

現代小説にはなかなか見られない、平安時代を舞台とした人間の裏の姿までを描くリアリティーがすごい。(47歳 男性 会社員)

現代も昔も変わらない人間の本質が描かれています。悪と正義とは何なのか?そう考えてしまいます。(31歳 男性 自営業)

ホラーのような雰囲気がとてもいい。なかなか読み解くのは難しいがおどろおどろしい雰囲気がとても好きです。(39歳 男性 パート・アルバイト)

生にしがみつくのは罪か?悪か?と問うた作品です。正しさに取り憑かれた今の現代人が、風刺と見るか、開き直りと見るかは貴方次第です。(27歳 男性 会社員)

読んだのは一度きりで幼い頃でしたが、人間の仄暗さが忘れられない部分がオススメポイントです。今でも内容をハッキリと覚えています。(32歳 女性 自営業)

平安時代の物語です。生きるための悪をテーマに人間が自分が生きるためにどこまで落ちていけるのかが描かれた独特な世界を持つ小説です。(43歳 男性 自営業)

物語が気持ち悪い感じがするのだがどんどん引き込まれる。何度も読み返したくなる名作。(33歳 女性 会社員)

小学校の時に教科書に載っており、かなり印象に残っている作品です。特におばあさんの身ぐるみはいで逃げるシーンは衝撃的でした。(24歳 男性 会社員)

10分もかからず読めてしまう短編なのに芥川龍之介の天才さが身震いするほど感じられる点です。(52歳 男性 無職)

荒れ果てた羅生門に運ばれた死人の髪の毛を引き抜いているおばあさんの姿に、生きるすべを見つけた若者の姿です。(70歳 男性 パート・アルバイト)

3位「藪の中」5票

わたしが搦め取った男でございますか?これは確かに多襄丸と云う、名高い盗人でございます―。馬の通う路から隔たった藪の中、胸もとを刺された男の死骸が見つかった。殺したのは誰なのか。今も物語の真相が議論され続ける「薮の中」他、「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」など、芥川の名作、6編を収録。

「BOOK」データベース

読者の声

作中ではっきりとした正解が示されず、読者の考察に委ねられている点。(26歳 女性 会社員)

立場が変わると、言うことが全く違う、人間の郷の深さを伝えてくれる、恐ろしさを感じられます。(58歳 女性 パート・アルバイト)

3人の異なる視点で描かれた本作。一体この中で誰が嘘をついていて、誰が本当のことを言っているのか。考えながら読むと面白いです。(25歳 女性 会社員)

日本文学はとっつきにくそうという先入観を変えてくれます。面白いし、奥が深いです。黒澤監督が映画化していますが、正直言って、映画よりも原作の方が面白いです。(55歳 女性 主婦・主夫)

登場人物の証言がそれぞれの思惑で矛盾していて、何が真実か見えてこないところ。読み手の解釈も人それぞれになる。(38歳 男性 会社員)

4位「鼻」4票

あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する姿をユーモラスに描いて夏目漱石に絶賛された『鼻』。ほかに『芋粥』『好色』など“王朝もの”全8編を収録する。

Amazon

読者の声

小話程度の文字数ですが非常に面白く深みを感じます。コンプレックスを題材にした日本昔話。(27歳 男性 会社員)

鼻の大きさや形に悩んで、あれこれ画策する様子が面白い。とくに、弟子に鼻を踏んでもらう描写が滑稽でふきだしてしまいます。短編だけど自由で皮肉もきいてて大好きです。(46歳 女性 会社員)

たかが鼻、されど鼻。内供の心がぶら下がった己の鼻に振り回され、最終的には当初と真逆の考えになっているという部分が面白おかしかいところが好きなところです。(32歳 女性 自営業)

巨大な鼻を持つお坊さんがせっかく短くすることを教えてもらうことで治ったのに、短い鼻を見て笑われたことを気にして、またもとに戻すところが面白かった。人間の不思議な感情をユニークな文体で表現しているところはさすが龍之介だと思いました。(62歳 男性 会社員)

4位「河童」4票

描かれた奇怪な「河童」の国は、戯画化された昭和初期の日本社会そのものであり、また生活の上からも創作の上からも追いつめられていた作者の不安と苦悩が色濃く影を落としている。この作品を書き上げた五ヵ月後、芥川は自ら命を絶った。同じく最晩年の作「蜃気楼」「三つの窓」を併収。

「BOOK」データベース

読者の声

今の人間社会の本音をさらけ出すような河童の世界が、リアルで惹きつけられました。昔に書かれたとは思えないストーリーです。(51歳 女性 主婦・主夫)

河童の世界が斬新でとても昔に書かれたものとは思えない程世界観が作り込まれています。(31歳 女性 無職)

河童が存在するその世界観がすごい。人間のようで人間でない、怖く内容で怖いとでもいいましょうか。最後の種明しが出ても独特の世界観に引き込まれます。(50歳 女性 主婦・主夫)

晩年の厭世的な芥川の代表作です。ファンタジー的な形式を借りながら、人間性の醜さに対する鋭い批判を描写しています。(37歳 男性 自営業)

5位「地獄変」3票

地獄変の屏風を画くため,娘を火にかける異常の天才絵師を描いた「地獄変」

「BOOK」データベース

読者の声

恐ろしいけれど、情景が美しく、まざまざと想像出来るところです。(50歳 女性 主婦・主夫)

芸術を極めるために一般人が眉をひそめるような事までする芸術家と、それ以上に残忍な大殿様。焼死のうとする娘を助ける手を止めて見入ってしまう芸術家の人間性と芸術を求めようとする心が描かれた、鬼気迫る作品だと思います。(58歳 男性 主婦・主夫)

肉親すら芸術のために生贄にする主人公の絵師を、狂気的に描いていて、ラストの描写が特に心をえぐります。どこか芥川自身を投影しているのかもしれません。(35歳 男性 会社員)

5位「トロッコ」3票

今年八つになる良平は、鉄道の敷設工事で行き来するトロッコが面白くて仕方がない。ある日、見知らぬ若い男達とともにトロッコを押す機会を得た良平だったが……

「BOOK」データベース

読者の声

子供のころに本で読んだか教科書で読んだか経験があると思いますが、社会人として読むと生きていく上でのつらさ、楽しさとは何ぞやと考えさせてくれます。(48歳 男性 会社員)

主人公のトロッコで遠くに行きすぎて大慌てで帰る時の心情と情景描写の重なりが面白い。(25歳 男性 会社員)

子供の「家に帰れないかもしれない」という恐怖感がヒシヒシと伝わり、またそのストーリーの中で大人への信頼と失望も描かれているのがすごいです。(29歳 女性 会社員)

6位「蜜柑」2票

素朴な娘の愛情の表現に、憂鬱な感情を忘れる「蜜柑」、中国古典に拠った夢と詩情を描いた掌篇「尾生の信」…。愚ともいえる素朴で正直な人間にも、作者は優しいまなざしを向ける。芥川の佳作二十篇を選んで収める。

「BOOK」データベース

読者の声

主人公がふと少女の存在に気づいて、そこからの描写が好きです。短編なので、すぐ読める所も良いと思います。(41歳 女性 会社員)

まず作者とみられる主人公が汽車に乗り座席に座るまでの描写の細やかな点に目を惹かれる。そして登場する少女の描写とそこにみられる主人公の心理や苛立ちが流れるように描かれ読むものを作品の中に取り込んでしまう。そしてラストに向かい少女の置かれている状況と鮮烈な光を放つ蜜柑が強烈に読者に残される作品です。(53歳 男性 パート・アルバイト)

6位「杜子春」2票

虎や蛇、地獄での責め苦にも、決して口を開かない彼だったが…。青年が平凡に生きる喜びを見つけるまでを描く「杜子春」ほか、「女」「南京の基督」など全十七篇を収録。

「BOOK」データベース

読者の声

芥川龍之介といえば蜘蛛の糸が一番ゆうめいだと思いますが、杜子春も好きです、じぶんの両親がくるしめられながらも杜子春のことを気遣ったことに「お母さん」と声を出してしまい、人としての優しさを保ったことで、逆に救われたところが好きです。(59歳 男性 会社員)

この作品は道徳的な面が強く、人によっては「綺麗すぎる」と思うかもしれませんが、私はそんな所が大好きです。仏教が嫌いでなければ楽しめるのではないでしょうか。クライマックスの主人公の行動、そしてその結末は、きっと読者の心も晴れやかにしてくれることでしょう。(25歳 女性 パート・アルバイト)

7位「偸盗」1票

王朝末期の荒廃した都を舞台に展開する凄惨な人間絵巻「羅生門」、師漱石も賞賛した、長い鼻を持つ禅智内供の内心の葛藤「鼻」、芋粥に異常な執着を持つ男「芋粥」、女をめぐる盗賊の兄弟の確執「偸盗」。いずれも『今昔物語』『宇治拾遺物語』などに素材を得たもので、芥川王朝物の第一冊として編集。

「BOOK」データベース

読者の声

乱世の平安京に生きた人々の群像劇なのですが、生きるか死ぬか、殺すか殺されるかという極限状態にきらっと光る人間性に心打たれます。(36歳 女性 会社員)

7位「本所両国」1票

初出は「東京日日新聞」[1927(昭和2)年]、「大東京繁昌記(四六~六〇)」の標書あり。「大東京繁昌記 下町篇」[東京日日新聞社編、春秋社、1928(昭和3)年]に収録。全15章で、芥川が幼少期を過ごした本所界隈を挿絵画家小穴隆一と散策した印象記。淡泊な筆致で、所々に漢詩の引用が見られる。

Amazon

読者の声

芥川が10代を過ごした本所・両国を作家となって知人と巡り、著したもの。過去と現在(その当時の)の対比と交錯が面白かった。(66歳 女性 主婦・主夫)

7位「手巾」1票

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「中央公論」[1916(大正5)年]。短編集「羅生門」[阿蘭陀書房、1917(大正6)年]に収録。

東京帝国大学教授「長谷川謹造」は精神文化が堕落した日本の現状を憂いていた。息子を亡くした教え子「西山篤子」は、平静を装いつつテーブルの下で手巾を握りしめる話。作品の題材は久米正雄が提供したものである。

Amazon

読者の声

主人公が息子を亡くした母をハンカチをとおして武士道と称賛するが、実は演技化のしれないと思った。(73歳 男性 無職)

7位「歯車」1票

初出は「大調和」[春秋社、1927(昭和2)年]に「一 レエン・コート」の章が表題「歯車」として掲載、芥川の没後「文藝春秋」[文藝春秋社、同年]に全編掲載。「芥川竜之介集」[改造社、1928(昭和3)年]に収録。全6章で構成され、避暑地から都心に出かけた「僕」が次々にキーワードに襲われる強迫観念に囚われる。全体として奇妙な筋書きの話。

Amazon

読者の声

芥川では陰鬱な作者本人の心情を反映した私小説の作品が好きです。(35歳 女性 自営業)

まとめ

いかがでしたでしょうか。読者の声とともに芥川龍之介おすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

タイトルとURLをコピーしました