江國香織は1964年東京生れ。小説・エッセイ・童話など多方面で執筆活動をする作家です。
- 1987年『草之丞の話』で小さな童話大賞
- 1989年『409ラドクリフ』でフェミナ賞
- 1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞
- 1999年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞
- 2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞
- 2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞
- 2007年『がらくた』で島清恋愛文学賞、
- 2010年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞
- 2012年『犬とハモニカ』で川端康成文学賞
- 2015年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』谷崎潤一郎賞
など受賞歴多数。
今回は読書好き40人に聞いたおすすめの小説をランキング形式で紹介します。
1位「きらきらひかる」7票
私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは?傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。
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読者の声
大人の腐女子には、おすすめ、かも。主人公がゲイの美しい医師の男性と合意で結婚する話なので。現実では、つらいと思うけど、そこは物語なので、なんだこれは、美味しいじゃないか!と思った。そういう大人女子の夢が描かれています。(51歳 女性 パート・アルバイト)
主人公笑子と見合い相手の睦月お互いの秘密を告白するところ。睦月の相手の紺との睦月を愛する同士の友情とかが好きです。(41歳 女性 主婦・主夫)
人それぞれの価値観や夫婦という関係性についての考え方はいろいろあっていいんだと思わせてくれるところが好きなポイントです。(33歳 男性 会社員)
映画化もされましたが、原作本の方が好きです。登場人物が自然体で実際に存在しているかのように思えました。(40歳 女性 会社員)
少し変わった夫婦関係を書いた作品ですが今の時代になってさらに、こういう夫婦関係も一つの形なのではと考えさせられる一冊です。(35歳 女性 会社員)
同性愛者の夫とアルコール依存症の妻という、やや眉をひそめてしまうような設定にも関わらず、江國さんの文体が作り出す世界観がとてもきれいで読んでいて癒されます。どんな自分でもいいのだと読んでいて思いました。(42歳 女性 自営業)
アル中で情緒不安定な笑子とゲイである睦月の奇妙な夫婦生活が興味深く読めます。(31歳 女性 主婦・主夫)
1位「冷静と情熱のあいだ Rosso」7票
穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。これが私の本当の姿なのだろうか。誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。10年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。熱く激しく思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない―。永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。
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読者の声
大人の恋愛が描かれていて面白かった。フィレンツェが舞台でイタリアに行きたくなる小説でした。(39歳 男性 パート・アルバイト)
恋愛ものが苦手な自分ですが、これは大人の恋愛を女性の目線から描かれているので、ベタベタした感じがないので好きです。(35歳 女性 無職)
恋愛小説として二人のせつない感情が交差し泣いてしまう。小説の中に出てくるフィレンツェにも行ってみたい。(39歳 女性 会社員)
10年の時を経て二人の男女が約束のためにフィレンツェの地を訪れ、再会するまでの物語が好きです。(29歳 女性 会社員)
同じ出来事を女性視線と男性視線に分けて書かれた作品ですが、双方を読むことにより、女性の気持ちがよく現れていると思います。(45歳 女性 会社員)
辻仁成と交互に書いた作品で、映画化もされていて、当時斬新だったし内容もよかった。(41歳 女性 主婦・主夫)
男性目線、女性目線で描かれた恋愛観の違いが興味深い作品です。男性の意外にも脆く繊細な一面を切なくなりました。もう一度読み返してみたくなります。(35歳 女性 会社員)
2位「すいかの匂い」3票
あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。つい今しがたのことみたいに―バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。無防備に出遭ってしまい、心に織りこまれてしまった事ども。おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。
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読者の声
すいかの勉学になると思ったけど人生の勉学になったので人生の勉学を行いたい方にお勧めだと思いました。(28歳 女性 会社員)
印象は怖いというイメージです。女性の持つ、秘密みたいなものを感じれる作品です。(42歳 男性 会社員)
子供の頃の記憶が蘇る内容を書いた小説です。とても内容が興味深くなります。(39歳 男性 会社員)
2位「東京タワー」3票
「恋はするものじゃなく、おちるものだ」。ふたりの少年と年上の恋人―恋の極みを描く待望の長篇恋愛小説。
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読者の声
既婚女性と若い男の不倫がテーマで、主婦層にはたまらない作品だと思います。(36歳 女性 主婦・主夫)
大人っぽくて、都会的で、美しい。小説を読みながらその世界観にどっぷりとはまれる一作。(41歳 女性 会社員)
映画かもされた小説で、大人の恋愛を描いたものです。年下の彼との恋愛にドキドキが止まらない物語です。(37歳 女性 主婦・主夫)
2位「つめたいよるに」3票
デュークが死んだ。わたしのデュークが死んでしまった―。たまご料理と梨と落語が好きで、キスのうまい犬のデュークが死んだ翌日乗った電車で、わたしはハンサムな男の子に巡り合った…。出会いと分れの不思議な一日を綴った「デューク」。コンビニでバイトする大学生のクリスマスイブを描いた「とくべつな早朝」。デビュー作「桃子」を含む珠玉の21編を収録した待望の短編集。
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読者の声
ある独身の男女について描いた作品、寒い夜に二人が出会い歯車が狂い出します。(25歳 男性 会社員)
1作品10ページ程度の小作品集です。どの話も読後感が良く、清らかな気持ちにさせてもらえます。特に1話目のデュークは涙なしには読めない傑作だと思います。(39歳 女性 主婦・主夫)
短編なので、気軽に読めることと、どこか共感できるというか懐かしい気持ちになる部分が好きです。(32歳 女性 会社員)
2位「神様のボート」3票
昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの”“神様のボートにのってしまったから”―恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遙かな旅の物語。
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読者の声
夢から覚めて現実を生きようとする少女と 夢を見続けて狂ったような現実を生きる女性と 正しい生き方は一体どちらだろうかと考えさせられます。(47歳 男性 自営業)
風景や食べ物(飲み物)の描写がきれいで、創造力をかきたてる。母に振り回される娘の物語で、初めて読んだときは娘の気持ち、歳を重ねてから読むと母の気持ちがわかるようになり、ロマンチックな過去の恋を追いかけたい気持ちに共感する部分があった。(31歳 女性 会社員)
昔の恋人を信じ迎えを待つ母と、成長するにつれそんな母に疑問を抱き、現実を生きようとする娘のそれぞれの葛藤の物語です。切なく痛々しいのですが、「あの人」を想う母にも、母を想う娘にも感情移入でき、泣けます。(34歳 女性 会社員)
3位「落下する夕方」2票
梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。永遠に続く日常を温かで切ない感性が描いた、恋愛小説の新しい波。
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読者の声
子供の頃に読んだときは、華子の勝手さに驚いていましたが、今は華子の自由な生き方に憧れています。(33歳 女性 自営業)
気分が落ち込んでいるときに読んでしまうと死にたくなるくらいヒリヒリします。(47歳 女性 自営業)
3位「間宮兄弟」2票
もてなくとも幸福に生きる兄弟の日常の物語
女性にふられると兄はビールを飲み、弟は新幹線を見に行く。そんな間宮兄弟は人生を楽しむ術を知っている。江國香織がもてない男性の日常を描いて話題になり、森田芳光監督の映画化も大ヒットした小説の待望の文庫化。
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読者の声
本当にこんな兄弟がいそうだなと思うくらい日常の描写がリアルでした。映画化もされていて作品も良かったです。(36歳 女性 会社員)
30歳を過ぎても同居する間宮明信・徹信兄弟の二人が奇妙な出会いから奇妙な体験をするストーリー(39歳 男性 会社員)
3位「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」2票
情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。主婦。フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。
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読者の声
登場人物たちのさまざまな関係性がおもしろく、自分は誰に近いか考えたりするのも楽しい。(40歳 女性 主婦・主夫)
9人の女性たちにスポットを当てたお話でおもしろいから。それぞれの恋愛模様に共感したり、結婚や恋愛について考えてしまう作品です。(31歳 女性 自営業)
4位「いつか記憶からこぼれおちるとしても」1票
吉田くんとのデートで買ったチョコレートバーの味、熱帯雨林にすむ緑の猫への憧れ、年上の女の細くて冷たい指の感触…。10人の女子高校生がおりなす、残酷でせつない、とても可憐な6つの物語。少女と大人のあわいで揺れる17歳の孤独と幸福を鮮やかに描き出した短篇小説集。
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読者の声
凄く感受性が豊かになる小説ですし、読む人によって感じ方が違う小説だと思います。(38歳 男性 会社員)
4位「温かなお皿」1票
季節の彩りを添えた12皿の美味しいショート・ストーリー。
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読者の声
短編集。色んな夫婦家族の物語を細やかな江國さんタッチで描かれている。私の場合初見はドラマで、当時まだ子供だったけど雰囲気が良いなぁと思いながら観たなぁ。(33歳 女性 会社員)
4位「ぼくの小鳥ちゃん」1票
雪の朝、ぼくの部屋に、小さな小鳥ちゃんが舞いこんだ。体長10センチ、まっしろで、くちばしときゃしゃな脚が濃いピンク色。「あたしはそのへんのひよわな小鳥とはちがうんだから」ときっぱりいい、一番いいたべものは、ラム酒のかかったアイスクリーム、とゆずらないしっかり者。
でもぼくの彼女をちょっと意識しているみたい。小鳥ちゃんとぼくと彼女と。少し切なくて幸福な、冬の日々の物語。
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読者の声
主人公の飼っている小鳥が、まるで彼女のように、喜んだり、嫉妬したり、怒ったり、可愛らしいので好きです。(44歳 男性 会社員)
4位「デューク」1票
クリスマスソングが流れる街で起きた奇跡。
愛する犬・デュークが死んでしまった。悲しくて涙が止まらない私の目の前に現れた少年。 晴れた冬の1日を彼と過ごした私が受け取ったメッセージは……。
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読者の声
亡くなった愛犬が人間の姿になって目の前に現れる話。二人が互いを想い合う姿に泣かされました。やさしく切なく、心がじわっとあたたまるお話なのでおすすめです。(29歳 女性 自営業)
4位「雨はコーラがのめない」1票
はじめて雨に会った日のことは、忘れられない。凍えそうに寒い、十二月の、雨の日だった。濃い栗色の巻き毛をした雨は、オスのアメリカン・コッカスパニエル。
私たちは、よく一緒に音楽を聴いて、二人だけのみちたりた時間を過ごす。もちろん、散歩にも行くし、玩具で遊んだりもするけど。甘えたがりの愛犬との特別な日常や、過去の記憶を呼び覚ます音楽について、冴え冴えと綴った好エッセイ集。
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読者の声
愛犬の雨への愛情が文字から溢れていて、自分も犬を飼っているのでものすごく共感ができる。また、とても好きなところは「流れるところに流れていこう、と思った」と書かれているところで、精神的に疲れてしまったときにこの本を手に取り、この言葉を受けて少し気持ちが軽くなったのを覚えています。(22歳 男性 学生)
4位「ホテルカクタス」1票
街はずれにある古びた石造りのアパート「ホテル カクタス」。その三階の一角には帽子が、二階の一角にはきゅうりが、一階の一角には数字の2が住んでいました。三人はあるきっかけで友達になり、可笑しくてすこし哀しい日々が、穏やかに過ぎて行きました…。
メルヘンのスタイルで「日常」を描き、生きることの本質をみつめた、不思議でせつない物語。画家・佐々木敦子との傑作コラボレーション。
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読者の声
人間ではない登場人物たちが暮らすアパートでの生活の雰囲気も挿絵も素敵。個性の違う3人が交流する様子、一緒にいた時間は平凡でもそれが終わるととても貴重な時間だったのだと感じさせてくれる、(42歳 女性 主婦・主夫)
4位「真昼なのに昏い部屋」1票
軍艦のような広い家に夫・浩さんと暮らす美弥子さんは、「きちんとしていると思えることが好き」な主婦。アメリカ人のジョーンズさんは、純粋な彼女に惹かれ、近所の散歩に誘う。気づくと美弥子さんはジョーンズさんのことばかり考えていた―。恋愛のあらゆる局面を描いた中央公論文芸賞受賞作。
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可憐で可愛らしい妻がある人物との出会いによって自分の自由を手に入れようと強くなるところが好きです。(51歳 女性 パート・アルバイト)
4位「号泣する準備はできていた」1票
私はたぶん泣きだすべきだったのだ。身も心もみちたりていた恋が終わり、淋しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから―。
濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる…。そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。
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読者の声
自分に合わせるようにして読んでみたら、すごく身に染みました。(29歳 女性 パート・アルバイト)
まとめ
いかがでしたでしょうか。江國香織のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。