吉村昭おすすめ小説ランキング17選【読書好き35人の声を集めました】

吉村昭は1927年生まれの歴史小説作家。資料整理や調査によって緻密なノンフィクション小説が書き、近代日本戦史を題材とした「戦記文学」というジャンルを確立したと言われています。

読書好き35人に、吉村昭の作品のなかから最もおすすめな小説を1冊選んでもらいました。その結果をランキング形式で発表します。

1位「羆嵐」8票

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

「BOOK」データベース

読者の声

とにかくリアル!事実をしっかり調査して書かれてあるので、リアルに描かれる羆の怖さに身の毛がよだちます。(36歳 女性 会社員)

凶暴な熊と熊撃ちとの壮絶な戦いを通じて、恐ろしいものに対する人の想いが伝わってきます。実際に起きた事件をもとにしていますが、作者の模写が細かいので、映像とてして感じることができます。(62歳 男性 会社員)

読んでいてこれほど戦慄する小説はありません。すぐそこに巨大な羆の荒い息遣いが聞こえてきそうな描写は見事。北海道開拓の苦難と労力に思いをはせずにはいられません。(44歳 女性 会社員)

羆の恐ろしさが伝わってくるところ、人と野生動物との共存の難しさについて考えさせられるところ。(31歳 女性 主婦・主夫)

大正4年北海道天塩山麓で人食いヒグマがわずか2日の間に6人もの人間を襲う話である。どこから羆が現れるか分からない恐怖、闇の中から羆が現れたときの驚き、息つくまもなく読めます。(47歳 女性 パート・アルバイト)

羆に殺されていく村人たちの描き方がエグすぎて記憶から離れない。凄惨な筆致が光る。これが実際にあった事件だというのが恐ろしい。(28歳 男性 会社員)

この作品は、実際の事件を取り扱った作品ということもあり、真に迫るストーリーが魅力です。淡々とした語り口ながら、恐ろしい情景が目に浮かぶようで、羆の恐ろしさがありありと伝わってきます。(27歳 女性 会社員)

大正4年、実際に起こった日本史上最大の獣害惨事を克明に記したドキュメンタリー長編です。(59歳 男性 自営業)

2位「漂流」5票

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。

その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。

「BOOK」データベース

読者の声

無人島での長い苦闘の様子がとてもリアルで心に響きます。文章は難しくなくて読みやすく、読みだすと止まらないスリル感があります。(36歳 男性 会社員)

12年間、ただ生き抜くことを強いられ生きようと希望を凄絶な努力する生命に圧倒され素晴らしい本でした。(48歳 女性 主婦・主夫)
無人島から脱出するのに待っていても誰も助けに来ない。皆で力を合わせて脱出するしかないと何年もかかって気づくところ。(55歳 男性 会社員)

無人島で生き抜くということを小説で追体験することにぐっときます。(43歳 女性 主婦・主夫)

実際に起こった物語で船が壊れたどり着いた島で、次々に仲間が死にながら、時に一人になりながらも懸命に生き抜いた長平さんの実話がすごいからです。(31歳 女性 主婦・主夫)

3位「破獄」3票

昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和23年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。

その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

「BOOK」データベース

読者の声

脱走にあくなき執念を燃やし脱走を繰り返す囚人と脱走阻止に奔走する看守との闘いがスリリングな点が素晴らしいです。(48歳 男性 パート・アルバイト)

主人公が考えられない方法で脱獄を繰り返すところは、驚きとスリルに満ちています。ノンフィクションだけに尚更です。主人公の人物像も丁寧に描写されていて、読み応えがあります。(56歳 女性 パート・アルバイト)

4度の脱獄を実行した無期刑囚・佐久間清太郎を描いていて興味深い。(53歳 女性 主婦・主夫)

3位「戦艦武蔵」3票

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか?

本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

「BOOK」データベース

読者の声

詳細な調査のもとに書き上げた非常に読み応えのある小説です。海軍の歴史を紐解く上に欠かせない小説だと思います。戦争の知らない世代にも是非読んでいただきたいと思います。(73歳 男性 無職)

敵戦艦と一度も砲戦を交える事無くフィリピンの海に沈んだ悲劇の戦艦・武蔵の建造から沈没に至るドラマが、克明かつ冷静に綴られている。(45歳 男性 会社員)

奇をてらうことがない、淡々とした文体で、変に感動させようとしていないので文章が信頼できる。(44歳 男性 自営業)

4位「破船」2票

二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

Amazon

読者の声

船の訪れに村中が沸きますが、積荷は殆どなく、中の者たちは全て死に絶えていた。悪夢のような災厄を描く長編小説になっています。最後まで結末がよめないスリル感がおススメです。(44歳 男性 自営業)

江戸時代の貧しい漁村の風景が目に浮かぶような精細な描写が素晴らしいです。また、著者自身の感情を交えることのないすっきりとした文体がとても読みやすいです。(19歳 男性 学生)

4位「三陸海岸大津波」2票

明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の三県にわたる三陸沿岸は三たび大津波に襲われ、人々に悲劇をもたらした。

大津波はどのようにやってきたか、生死を分けたのは何だったのか――前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに、巨大津波の恐ろしさを再現した震撼の書。この歴史から学ぶものは多い。

「BOOK」データベース

読者の声

2011年の東日本大震災を彷彿とさせるような、細かい描写に鳥肌が立ちます。あの時のことがとてもリアルに思い出される作品です。(19歳 女性 学生)

東日本大震災前にこの小説を片手に三陸海岸を旅しました。三陸を度々襲った大津波に関しての小説でかなりリアルな描写もあり一見の価値はあります。(33歳 男性 会社員)

4位「高熱隧道」2票

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。

トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。

Amazon

読者の声

黒部の自然の厳しさとそれに伴うダム建設の過酷さの詳細で冷静な描写。(56歳 男性 無職)

黒部ダムのトンネル工事を描いた作品です。多数の死者が出る難工事に立ち向かう人々の記録です。(56歳 男性 会社員)

5位「冷い夏、熱い夏」1票

何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影―強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。それが最悪のものであり、手術後一年以上の延命例が皆無なことを知らされた「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。激痛にもだえ人間としての矜持を失っていく弟…。ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。毎日芸術賞受賞。

「BOOK」データベース

読者の声

今でこそ、がん患者本人への告知は当たり前になってきていますが、それがまだタブーだった時代の葛藤をうまく描いています。(47歳 男性 自営業)

5位「蜜蜂乱舞」1票

東京の大学を中退して行方知れずになっていた長男が、女を連れて戻ってきた。彼女とは、4日前に結婚したという。養蜂一筋に生きてきた伊八郎の心は、喜びと憤りで大きく揺れた。4月、春の訪れと共に、一家は花を追って、日本列島を北上するトラックの旅に出るが…。

旅先で遭遇する事件や人間なるがゆえの葛藤を、雄大精妙な自然界の摂理を背景に追求した力編。

「BOOK」データベース

読者の声

蜜蜂家のリアルな日々が描かれているところが、とても身近に感じて魅力的です。(45歳 女性 自営業)

5位「関東大地震」1票

大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく―。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。

「BOOK」データベース

読者の声

読むだけでも学びになれば、当時の様子を知る事が出来て臨場感もある。(42歳 女性 無職)

5位「大本営が震えた日」1票

昭和16年12月1日午後5時すぎ、大本営はDC3型旅客機「上海号」が行方不明になったとの報告を受けて、大恐慌に陥った。機内には12月8日開戦を指令した極秘命令書が積まれており、空路から判断して敵地中国に不時着遭難した可能性が強い。

もし、その命令書が敵軍に渡れば、国運を賭した一大奇襲作戦が水泡に帰する。太平洋戦争開戦前夜、大本営を震撼させた、緊迫のドキュメント。

「BOOK」データベース

読者の声

時代とともに忘れ去られてしまう第二世界大戦、そんな中で日本が奮闘した姿が語り継ぐために必要な作品だと思います。(47歳 男性 会社員)

5位「星への旅」1票

平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。

他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。

「BOOK」データベース

読者の声

死を意識して生と死が同居するような、張りつめた緊張感を持っているところ。(29歳 男性 会社員)

5位「私の好きな悪い癖」1票

幼い頃の下町・日暮里での暮らしから病気の事、締め切りよりも早すぎて編集者が戸惑う原稿の話。卯年生まれは口がうまいと言われ憤慨するかと思えば浅草の小料理屋で、罪のない嘘をつく。「エッセイは、小説を書く私の素顔である」という歴史小説の第一人者が、日常から掬い上げた事柄をまとめた上質の随筆集。

「BOOK」データベース

読者の声

史実を基にした作品で名を成した著者の生い立ちや作家デビュまでの苦闘、日々の暮らし等々を垣間見ることのできる随筆集です。(50歳 女性 自営業)

5位「桜田門外ノ変」1票

安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。

襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。

「BOOK」データベース

読者の声

歴史背景を踏まえてとてもリアルに、そしてドラマチックに描かれています。この作品を読んでから学校の歴史の時間に桜田門外ノ変を習っていたら、もっと歴史好きになっていたと思います。(37歳 女性 会社員)

5位「魚影の群れ」1票

津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国に異常発生した鼠と人間との凄絶な闘いの記録「海の鼠」。名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を描く「鵜」など動物を仲立ちとして自然と対峙する人びとの姿を精密に描いた傑作小説四篇を収録した作品集。

「BOOK」データベース

読者の声

壮大な自然の中で対比するおぞましい人間の愛憎に釘付けになります。(39歳 女性 無職)

5位「遠い日の戦争」1票

終戦の詔勅が下った昭和20年8月15日、福岡の西部軍司令部の防空情報主任・清原琢也は、米兵捕虜を処刑した。無差別空襲により家族を失った日本人すべての意志の代行であるとも彼には思えた。

だが、敗戦はすべての価値観を逆転させた。戦犯として断罪され、日本人の恥と罵られる中、暗く怯えに満ちた戦後の逃亡の日々が始まる――。戦争犯罪を問い、戦後日本の歪みを抉る力作長編。

「BOOK」データベース

読者の声

太平洋戦争の終わりに米兵を処刑した者の物語。時代の流れに翻弄されていく人々の模写が、考えさせられます。(52歳 男性 会社員)

5位「ふぉん・しいほるとの娘」1票

幕末の長崎で最新の西洋医学を教えて、神のごとく敬われたシーボルト。しかし彼は軍医として、鎖国のベールに閉ざされた日本の国情を探ることをオランダ政府から命じられていた。

シーボルトは丸山遊廓の遊女・其扇を見初め、二人の間にお稲が生まれるが、その直後、日本地図の国外持ち出しなどの策謀が幕府の知るところとなり、厳しい詮議の末、シーボルトは追放されお稲は残される。吉川英治文学賞受賞作。

「BOOK」データベース

読者の声

西洋医学者シーボルトの出島での生活、待遇等が緻密に表現されており、吉村文学として素ばらしいです。また、女医として幕末に活躍したイネの生涯についても読み応えがあり、歴史書としても、また、女性としての生き方、考え方を学べる書としてお勧めです。(53歳 女性 会社員)

まとめ

いかがでしたでしょうか。吉村 昭のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

タイトルとURLをコピーしました