松本 清張は昭和を代表するベストセラー作家です。
短編小説、推理小説、時代・歴史小説など、幅広く膨大な作品を残しています。実在の事件を題材にしたノンフィクション作品もあります。そのなかから、読者50人におすすめの1冊を選んでもらいました。ランキング形式で紹介します。
1位「砂の器」11票
東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。
今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。
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読者の声
和賀英良は、世界的ピアニスト。しかし、彼の父親は連続殺人犯本浦千代吉であり、幼き英良を知っている警察官三木謙一と再会してしまい、切羽詰まった英良は三木を殺害してしまう。英良の弾く宿命が物語っているようです。読んだ後、考えさせられる本です。(51歳 女性 パート・アルバイト)
大田区蒲田の操車場で起きた殺人事件を刑事と犯人双方の立場から行動や心理を描写する小説。(25歳 男性 会社員)
何度も映画化、ドラマ化された作品で、殺人事件をある手がかりをもとに解決していく過程が面白いです。(48歳 男性 会社員)
物語の年代や時代背景などで多少、理解がしづらい部分はあるが地方の地名や方言などが出てくるミステリーが好きな人なら楽しめるので、やはり語り継がれる名作だと思います。(33歳 男性 自営業)
一見普通の推理小説のように思えるが、読み進めていくうちに犯人の暗い過去が明らかになっていき、差別問題について考えさせられるところ。(21歳 男性 学生)
当時も今も社会の根底にはびこっている「差別」。主人公は、生まれながらの運命に抗い這い上がろうとしてきただけなのに、世話になった罪もない景観の命を奪ってしまう。差別の中で生きてきた彼が根本から人を信用できなくなってしまったのは本人の心根だけのせいではないのが悲しい。愛を受けなかったひとは愛を持って救うことはできないのか、考えさせられる作品。(58歳 女性 主婦・主夫)
ライ病が出てくるところを先生に教えてもらい読みました。刑事ものが好きなので、読みやすかったです。(35歳 男性 自営業)
方言がカギをにぎる傑作ミステリー。犯罪のトリックより、社会背景に注目。(34歳 女性 自営業)
加藤剛主演で映画にもなった著名な作品。世の中の不条理が生んだ悲劇を丹念に描いた壮大な人生ドラマです。設定も推理の展開も完璧といっていいのではないでしょうか。(57歳 男性 自営業)
まさに泣けるミステリー。ミステリーなので謎解きはもちろんですが、それだけではなく、登場人物たちの心情が繊細に表現されているところに引き込まれる魅力のあるところ好きです。(46歳 女性 会社員)
有名な音楽家が幼少時ライ病患者だった父親と放浪生活をしていた過去を隠すため殺人を犯す。(58歳 男性 自営業)
1位「黒革の手帖」11票
7500万円の横領金を資本に、銀座のママに転身したベテラン女子行員、原口元子。店のホステス波子のパトロンである産婦人科病院長楢林に目をつけた元子は、元愛人の婦長を抱きこんで隠し預金を調べあげ、5000万円を出させるのに成功する。
次に彼女は、医大専門予備校の理事長橋田を利用するため、その誘いに応じるが…。夜の紳士たちを獲物に、彼女の欲望はさらにひろがってゆく。
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読者の声
たった手帳の一冊から目まぐるしい人々のしがらみや争いめいたもの感情がうずまく様相にミステリアスな雰囲気が味わえる作品です。(35歳 男性 会社員)
何度もテレビなど映像化されているだけあっての人気作品だと思います。人の裏をすり抜けていく主人公元子、政財界の闇など、あちらこちらからに視点の幅が面白い。(54歳 女性 自営業)
地味な独身女性が、銀行のお金を横領し、秘密が書いてある黒革の手帳を手に入れたことにより、人生が波乱万丈になっていく様子が面白いです。(51歳 女性 主婦・主夫)
元銀行員が銀座でママとしてのし上がっていく様子が面白いです。(42歳 女性 主婦・主夫)
職場で横領したお金を使用し、好きな事をする人生の勝ち組の様な主人公が大好きです。(40歳 女性 主婦・主夫)
人間が持っている汚い感情がそこかしこに溢れていてぞくぞくさせられる。(20歳 女性 無職)
いつの時代もお金って怖いなと思うし、人間関係もドロドロなのですが、とにかくそこが面白いです。(39歳 女性 主婦・主夫)
銀行に勤務していた行員が7500万円横領した。そのお金を元手にクラブをオープンした。銀行で入手した黒革の手帖を元に広げられる人間模様やのし上がるための策略が面白い。(43歳 男性 会社員)
巨額横領の罪をおかした元銀行員が夜の街でクラブのママとして一癖も二癖もある登場人物たちと繰り広げる欲望にまみれたストーリーが魅力です。(41歳 男性 自営業)
元々私自身人間の欲望などの黒い部分を描く作品にひかれる傾向があるため、この作品はとても読みごたえがありました。当時の世間で女がのし上がっていくというのは並大抵のことではなかったと思います。そんな時代背景も考えながら読むとより楽しめると思います。(36歳 女性 パート・アルバイト)
巨額の金を横領して、銀座のクラブのママになった女性の華麗な悪事の働き方が凄い。(65歳 男性 無職)
2位「点と線」10票
ミステリ好きなら名前を知らぬ人がない名作です。舞台は昭和三十年代。福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中。青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察ではありふれた心中事件と考えた。
しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。そのアリバイは鉄壁だった──時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。
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読者の声
福岡市で男女の遺体が発見されるところから始まるサスペンス。犯人のアリバイを崩すという今ではお馴染みの形で物語が展開する。(27歳 女性 主婦・主夫)
松本清張の代表的ミステリー作品で、出てくるトリックだけでなく作者ならではの演出や溢れるリアル感がオススメポイントです。(20歳 女性 学生)
なんと言っても刑事の推理でしょう。なかなかの推理力で事件を解決する様子は圧巻ですね。(55歳 男性 会社員)
電車の時刻表のトリックが見事な推理小説です。アリバイ崩しが面白い。(62歳 女性 主婦・主夫)
長編推理小説。海岸で発見された男女の情死体に疑問を持った2人の刑事の事件捜査を活写し、アリバイ崩しのスタイルを継承したミステリー長編は、とにかく引き込まれます。(42歳 男性 会社員)
時刻表を使ったトリックなどにより、徐々に点であったものが繋がっていく様が面白いからです。また、何よりラストがすっきりと犯人の逮捕とはいかない所も他の作品とは違って惹かれます。犯人を心から憎めず、何だかもやもやとした心残りを覚えるラストですが、だからこそもう一度読見直して考えてみたいという気持ちにさせられてしまう作品です。(40歳 女性 パート・アルバイト)
完璧に見える容疑者のアリバイを崩すべく奔走する2人の刑事の活躍と、意外性のある展開が見ものです。(48歳 男性 自営業)
列車の時刻表を使ったトリックを暴いていく、その後西村京太郎などに受け継がれ多くのファンを獲得することになるトラベルミステリーの草分け的な存在となる作品。(37歳 男性 会社員)
時刻表を使ったトリックが難しく、そのトリックをどうやって解くのかが醍醐味な推理小説。(44歳 男性 無職)
はじめは、まったくどうやるかわからないが、小さな糸口から事件が解明するまで、一気に読める作品です。(56歳 女性 会社員)
3位「ゼロの焦点」6票
前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曾根であった!夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。
戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。
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読者の声
まず第一にタイトルのセンスが抜群。ミステリーとしても秀逸な内容で、非常に読ませる文章となっている。(32歳 男性 会社員)
時代背景の表現が独特。ストーリーにも引き込まれました。想像とは違う結末でした。(30歳 女性 パート・アルバイト)
太平洋戦争終戦後の混乱期に生じた日本社会の闇とその悲劇を描く推理小説。(56歳 男性 無職)
犯人はそこまで意外ではありませんでしたが、犯人の動機が意外だったお話。戦争の意外な傷痕をこの作品で知りました。(37歳 女性 パート・アルバイト)
戦争の傷がまだ癒えない時代を舞台に描かれたミステリー作品。登場人物を通しての社会描写が素晴らしい。これぞ松本清張という作品だと思います。(54歳 男性 パート・アルバイト)
戦後の時代が描かれているのが面白い。もちろん推理小説としての完成度も高くて素晴らしい作品。(26歳 男性 パート・アルバイト)
4位「けものみち」4票
米倉涼子主演ドラマの原作。割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。
直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。
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読者の声
人生の勉学になるし年齢層関係なしに読むことができておすすめ。(28歳 女性 会社員)
女性が覚悟をした時の立ち止まったり振り返ったりしない潔さが、読んでいて気持ち良い。(41歳 男性 パート・アルバイト)
政界に絡み、実力者の愛人になって操るように愛人に言われ、従うも、行き過ぎて殺そうとしてしまう。(53歳 男性 公務員)
人間の情・欲・愛・悪全てを表現している作品です。重鎮の愛人になり、夫を殺害し自分にとって、楽で優雅に暮らせるよう工作をするが、実は好きな男が別にいる。強欲な主人公を如実に描いている作品です。(68歳 女性 主婦・主夫)
5位「わるいやつら」1票
“どのように美しくても、経済力のない女は虫のように無価値だ”医学界の重鎮だった亡父の後を継ぎ病院長となった32歳の戸谷信一は、熱心に患者を診療することもなく、経営に専心するでもない。病院の経営は苦しく、赤字は増えるばかりだが、彼は苦にしない。穴埋めの金は、女から絞り取ればいい…。
色と欲のため、厚い病院の壁の中で計画される恐るべき完全犯罪。
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読者の声
タイトルの通り「????どれほどの悪いやつ」が出てるくるのだろうと発想を広げてくれる作品です。(26歳 女性 パート・アルバイト)
5位「火の路」1票
新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。海津は、かつてT大史学科に籍をおく気鋭の研究者だったが、ある事情で学界を追放された過去があった。通子は、酒船石の用途を研究するうちに海津の示唆を受け、ペルシア文明との関連を調査するためイランへと旅立つ。
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読者の声
古代日本の飛鳥地方には火を崇拝する原始宗教のようなものがあったのではないかという、歴史好きにはたまらない小説。もう30年以上前に読んだが当時知らなかったゾロアスター教やその儀式や風習などについて興味をそそられた読み応えのある作品。(52歳 女性 パート・アルバイト)
5位「眼の壁」1票
白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者の応援を得て必死に手がかりを探る。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織悪に徒手空拳で立ち向うが、せっかくの手がかりは次々に消え去ってしまう…。
複雑怪奇な現代社会の悪の実体をあばき、鬼気迫る追及が展開する。
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読者の声
上司の無念を晴らす為に踏み入れたミステリーの世界観がとても面白くておすすめです。(23歳 男性 パート・アルバイト)
5位「共犯者」1票
銀行を襲い、仲間と山わけにした金で商売をはじめた内堀彦介は、事業に成功した今、真相露顕の恐怖から5年前に別れた共犯者の監視を開始するが…。疑心暗鬼から自滅していく男を描く『共犯者』。
妻の病気、借金、愛人とのもめごと、仕事の失敗―たび重なる欲求不満と緊張の連続が生み出す衝撃的な殺意を捉えた『発作』。ほかに、『恐喝者』『愛と空白の共謀』など全10編を収める。
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読者の声
読み終わった後しばらくは余韻が残った作品です。何とも不思議な気分になり読み応えがあります。(38歳 男性 会社員)
5位「黒い空」1票
辣腕事業家山内定子が創った八王子郊外の結婚式場「観麗会館」は、その高級感がうけて大変な繁盛ぶりだ。経営をまかされている小心な婿養子善朗はある日、口論から激情して妻定子を殺し、死体を会館の名所である「岩壁」に埋め込んでしまう。
門出を祝う式場が奇しくも墓場となり、その上空を不吉なカラスが飛び交い、新たな事件が発生する…。河越の古戦場に埋れた長年の怨念を重ねた、緻密な大型長編推理。黒シリーズの最新作。
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読者の声
戦国時代から長年にかける怨念が殺人事件を引き起こすという所に人間の恐ろしさを感じる。(44歳 男性 会社員)
5位「黒の回廊」1票
女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。一行30人は添乗員、講師と共に出発したが、職業も年齢もバラバラな参加者の間に、早くも女性特有の虚栄心と嫉妬が交錯する。
すると、乗り継ぎのアンカレッジ、最初の観光地・コペンハーゲンで“怪事件”が連続し、スコットランドではついに参加者の殺害事件が…。緊迫感溢れる傑作長編推理!
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読者の声
女性だけの25日間ヨーロッパツアー旅行を舞台に様々な人間感情が入り乱れる内容。(39歳 男性 会社員)
5位「小説帝銀事件」1票
昭和23年1月26日、帝国銀行椎名町支店に東京都の腕章をした男が現れ、占領軍の命令で赤痢の予防薬を飲むよう告げると、行員らに毒物を飲ませ、現金と小切手を奪い逃走する事件が発生した。捜査本部は旧陸軍関係者を疑うが、やがて画家・平沢の名が浮上、自白だけで死刑判決が下る。
膨大な資料をもとに、占領期に起こった事件の背後に潜む謀略を考察し、清張史観の出発点となった記念碑的名作。
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未だに真相を解明されない戦後の椎名町で起きた帝銀の殺人事件。実際にあった事件ですが、戦争中の陸軍の特殊部隊との関連をにおわせる内容から松本清張の本領発揮ともいえると思います。併せて森村誠一の悪魔のも飽食も読むとこの小説の面白さが倍増すると思います。(68歳 男性 無職)
5位「霧の旗」1票
殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。彼女は高名な弁護士大塚欽三に調査を懇願するが、すげなく断わられる。兄は汚名を着たまま獄死し、桐子の大塚弁護士に対する執拗な復讐が始まる…。
それぞれに影の部分を持ち、孤絶化した状況に生きる現代人にとって、法と裁判制度は何か?を問い、その限界を鋭く指摘した野心作である。
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読者の声
自分では考えつかない思考の人もいるし、世の中の不条理と人の感情の重たさを感じられるところが好きです。(29歳 女性 会社員)
まとめ
いかがでしたでしょうか。松本 清張のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。