古井 由吉おすすめ小説11選【読書好き19人の声を集めました】

古井 由吉は1937年東京生まれ、大学教員をしながら1968年に「木曜日に」を同人雑誌「白猫」で発表。大学教授を退職し執筆に専念し、1971年に「杳子」で芥川賞を受賞しました。

心の深い部分を描き表現する作品を多数生み出しています。今回は、読書好き19人にアンケートをとって、古井 由吉の作品の中からおすすめ1冊選んでもらいました。投票が多かった順に感想とともに紹介していきます。

杳子・妻隠 5票

“杳子は深い谷底に一人で坐っていた。”神経を病む女子大生〈杳子〉との、山中での異様な出会いに始まる、孤独で斬新な愛の世界……。

現代の青春を浮彫りにする芥川賞受賞作「杳子」。都会に住まう若い夫婦の日常の周辺にひろがる深淵を巧緻な筆に描く「妻隠」。卓抜な感性と濃密な筆致で生の深い感覚に分け入り、現代文学の新地平を切り拓いた著者の代表作二編を収録する。

Amazon

読者の声

男女の深淵なる精神の戯れを巧緻な筆致で描いた、著者の代表作2編です。(50歳 女性 自営業)

芥川賞作。日常からほんの少し先にある仄暗い闇を感じる作品。文章は難解だが美しいです。(42歳 女性 会社員)

妻隠は夫婦の日常を描いていますが、けだるい雰囲気や、淡々とした心情が続く、不思議な感覚を与えてくれる内容になっています。(62歳 男性 会社員)

ひとりの女性が持つ多面性、少女のようだったり大人の女性になったり。。その精神の揺れ動くさまが手に取るように想像できます。(19歳 女性 学生)

内向的かつ退廃な愛縁世界に呑み込まれそうでドキドキしてしまいます。(39歳 女性 無職)

辻 3票

父と子。男と女。人は日々の営みのなかで、あるとき辻に差しかかる。静かに狂っていく父親の背を見て。諍いの仲裁に入って死した夫が。やがて産まれてくる子も、また―。日常に漂う性と業の果て、破綻へと至る際で、小説は神話を変奏する。生と死、自我と時空、あらゆる境を飛び越えて、古井文学がたどり着いた、ひとつの極点。濃密にして甘美な十二の連作短篇。

「BOOK」データベース

読者の声

日々の生活の中で繰り広げられる生と死。欲望や自我といった、人間の本能に迫った作品。(45歳 女性 自営業)

四つ角をきっかけとして始まる不思議な連作短編集です。「文学そのもの」という重厚な文章が魅力で、ゆっくりじっくり読み、登場人物の生にふれあう魅力が素敵な小説です。(58歳 男性 主婦・主夫)

連作短編集になっています。父と子、母、病院、死んだ子供、場所は違うのに見覚えのある分れ道、辻に何度も行き当たって惑うような楽しさがあるという物語であり、そこの描写が面白いのでおススメです。(44歳 男性 自営業)

槿 2票

男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子。二十年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う国子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。

濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。

「BOOK」データベース

読者の声

主人公が出会った2人の女を巡る不可解さを伴ったストーリーと独特のテイスト。(56歳 男性 無職)

深まっていく謎の真相解明できるのか人物関係や妄想や記憶の描かれ思わぬ展開に魅了され先を読み急いでしまいました。(48歳 女性 主婦・主夫)

聖・栖 2票

この村に、男は都会からやって来た。女は都会から舞い戻った。若い二人を結びつけたのは、異様なヒジリの風習だった。男女の愛の生成を土俗的な集団幻想を背景に描出した野心作『聖(ひじり)』と、その続編で、両者が東京で生活を構えてからの営みを多面的に追求した『栖(すみか)』(日本文学大賞受賞)を同時収録。現代の極北を行く著者の斬新で緻密な才能の精華。

Amazon

読者の声

二人の男女がアパートに同棲することから始まる物語。お互いの気持ちの変化を濃厚に描いているとこが、ポイントです。(52歳 男性 会社員)

男女の愛憎や狂気を描いた小説で引き込まれます。特に男女二人の空間を演出する方法や文章が上手いのでオススメです。(29歳 男性 無職)

木犀の日 1票

「都会とは恐ろしいところだ」。五年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた「秩序」、神秘を鎮めた「個と群れ」の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の十篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。

「BOOK」データベース

読者の声

この作品は内容の重さが魅力であり、昔も今でも共感出来る様なストーリーです。(42歳 女性 無職)

白髪の唄 1票

「白髪というものは、時によって白く見えたり黒く見えたりするものですね」―知りもしない唄をゆるゆると、うろ声を長く引いて唄うような気分。索漠と紙一重の恍惚感…。老鏡へ向かう男の奇妙に明るい日常に、なだれこむ過去、死者の声。生と死が、正気と狂気が、夢とうつつが、そして滑稽と凄惨とが背中合せのまま、日々に楽天。したたかな、その生態の記録。毎日芸術賞受賞。

「BOOK」データベース

読者の声

老境へ向かう男の移ろう日常を、精神の深層に分け入る独特の文体で描いた傑作です。(59歳 男性 自営業)

鐘の渡り 1票

女を亡くしたばかりの朝倉と、春には女と暮らす篠原。十一月、男たちは二人きりの旅に出る。燃えあがる紅葉が狂ったように輝く山をくだり、人家を離れた宿で眠りについた彼らは、雨の過ぎる昏い寝床の内から、谷を渡る鐘の音を聴いた―。現代文学の最高峰を示す連作八篇。

「BOOK」データベース

読者の声

現実的で少し神秘的な雰囲気がごくいい。 最近の小説にはない独特の文章も魅力的。(27歳 女性 会社員)

女たちの家 1票

読者の声

女性の心の動きを、細かい日本語の表現で読者に読み取らせるところが素晴らしい能力だと思います。他の作品も含め心理描写は抜群に面白いです。(47歳 男性 会社員)

雨の裾 1票

老境にさしかかった男の、つれづれに蘇る遠い日々の記憶。うつつの中の女の面影、逝ってしまった人たちの最期のとき。過去と現在を往還しながら、老いと死の影を色濃くたたえる生のありかたを圧倒的な密度で描く、古井文学の到達点。

Amazon

読者の声

前編で8話の短編集なんですが、読み進めていくにつれて生きる事に対しての考え方が改まっていくような一冊で大切に本棚に入れています。(31歳 男性 会社員)

ゆらぐ玉の緒 1票

老齢に至って病いに捕まり、明日がわからぬその日暮らしとなった。雪折れた花に背を照らされた記憶。時鳥の声に亡き母の夜伽ぎが去来し、空襲の夜の邂逅がよみがえる。陽炎の立つ中で感じるのも、眠りの内のゆらめきの、余波のようなものか。往還する時間のあわいに浮かぶ生の輝き、ひびき渡る永劫。一生を照らす、生涯の今を描く古井文学の集大成。

「BOOK」データベース

読者の声

生物学者が、細胞レベルのミクロの人間の時計性までもマクロに話しあう小説です。(37歳 女性 パート・アルバイト)

やすらい花 1票

散る花とともに四方へ飛び散る悪疫を鎮めようとする鎮花祭。いまも歌い継がれるという夜須禮歌。豊穣を願う田植歌であり、男女の契りの歌でもあるおおらかな古来の節回しに、鮮やかに甦る艶やかな想い。

その刻々の沈黙と喧騒――歳月を超えた日常の営みの、夢と現、生と死の境目に深く分け入る8篇。待望の最新連作短篇集。

Amazon

読者の声

ちょっと前までならこのような作品を読んでもピンとこなかったと思います。でも、死というものが身近に感じられるようになった今、すごくきれいな文章で死に向き合っている人物を描いているところが素晴らしいと分かります。(37歳 女性 会社員)

まとめ

いかがでしたでしょうか。山本美紗のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

タイトルとURLをコピーしました