有吉 佐和子は1931年生まれ、社会、歴史、食のなどを題材をとした作品を手がけた作家です。
小説新潮賞、日本文学大賞などの受賞作品も多く、膨大な作品を残しています。
今回は、有吉 佐和子の作品の中から読書好き34人におすすめ小説を1冊選んでもらい、その感想をまとめました。結果をランキング形式で紹介します。
1位「恍惚の人」12票
文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。
老いて永生きすることは果して幸福か?日本の老人福祉政策はこれでよいのか? ―老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない“老い”の問題に光を投げかける。
空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。
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読者の声
人が老いていくという事を、美化する事なく正面から向き合ってリアルに描き切っている所がおすすめポイントです。(39歳 女性 パート・アルバイト)
認知症になった老人の家族のそれぞれの思いが心に迫ってきます。高齢社会の人類的な課題です。(65歳 男性 無職)
弁護士事務所で働き、家の家事をこなした上に舅の介護までさせられ忙殺される主婦を主人公とする物語。(25歳 男性 会社員)
数十年前に書かれた作品なのに現代と非常にリンクしていて全く古くささを感じさせない!(27歳 女性 会社員)
いずれ直面する親の介護という問題をリアルに描いている。約50年も前から有吉佐和子は高齢化社会に警鐘を鳴らしていた。そのテーマは今だからこそ読む価値があると思う。(39歳 男性 無職)
現代における人間個人の孤独を、鋭く付いて描かれている非常に面白い作品です。(20歳 女性 学生)
身近にいる高齢者との今後の付き合い方について深く考えさせられる。(20歳 女性 無職)
介護をテーマにした作品なのですが、リアリティのある人物・シーン描写がぞくぞくするため、おすすめです。(40歳 女性 会社員)
50年近く前の作品。認知症を題材とした小説で、高齢者問題について考えさせられる作品です。(48歳 男性 会社員)
認知症を世に知らしめた作品です。舅の認知を一身に介護する嫁。介護を手伝わないで口だけ出す人に心を痛めながらも、ひたすら介護をするというストーリーです。(68歳 女性 主婦・主夫)
認知症を持った義理の父の介護がテーマという50年近く前の作品なのに現代でも感覚にズレがない内容。(43歳 男性 自営業)
老人になるといろいろと周りの人に迷惑をかけて大変ですが、皆さんに感謝して最期を送りたいと思いました。(63歳 女性 パート・アルバイト)
2位「華岡青洲の妻」8票
世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。
その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
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読者の声
医療に貢献した態度がすごいと思いました。人に、役に立つということの素晴らしさがわかる。(51歳 男性 会社員)
美談の陰に隠れた女の戦いが、身につまされるから。また、それを見なかったことにする青州の冷酷さが真実味を帯びているから。(49歳 女性 パート・アルバイト)
医者華岡青洲が世界初となる全身麻酔をした上での乳がん摘出手術を成功させるまでの妻の苦労を描いた作品。(27歳 女性 主婦・主夫)
随分昔ですが高校の授業で国語の先生に勧められて読みました。愛憎の深さを強く感じて、女性のひたむきさと怖さを感じました。昔は青洲の行動を野心的で利己的なものと感じましたが、今読み返すと彼の行動は使命感と社会への献身という信念に裏打ちされた行動だと理解できます。年代によって感じ方の変化があるのが、有吉作品のよいところだと思います。(57歳 男性 公務員)
いわゆる嫁姑対決の話で短めの話だが、異なる立場の女性の心情が恐ろしいほどリアルで読みごたえがある。男性には描けない話だと思う。(37歳 女性 学生)
全身麻酔の手術を初めて成功させた名医の影に嫁姑の協力と争いがあったという歴史が面白いです。(60歳 女性 パート・アルバイト)
華岡青洲は1804年に漢方薬で全身麻酔を開発した医師です。麻酔の開発で青洲の妻と母の嫁姑争いで、青洲にいかに尽くすかで争って麻酔の被験者になる物語です。青洲はこのいざかいを利用して、見事に麻酔薬を完成させます。(58歳 女性 主婦・主夫)
この本で初めて華岡青洲をしりました。自分の身をなげうち、夫のため医学のために犠牲になったのは感動的でした。(56歳 女性 会社員)
3位「悪女について」6票
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。
男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。
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読者の声
謎の死を遂げた公子は持ち前の美貌と才能を駆使して、一代で財を成した一方で数々のスキャンダルを起こした。その人生をインタビュー形式で小説にした個性的な内容。(39歳 男性 会社員)
主人公の魅力と悪女ぶりが、27人ものインタビューから、ストーリーが続くところが面白いです。そういった変わった構成の小説。(51歳 女性 主婦・主夫)
ストーリーが証言者のインタビューで構成されており、徐々に謎が明らかになりながらも二転三転するミステリー要素が強い展開に推理小説好きはたまりませんでした。(38歳 男性 会社員)
主人公に関わった人物27人へのインタビューの形式だが、書き分けがすごく上手くてぐいぐい読める。(47歳 女性 自営業)
すごく読みやすい1冊で転落死した女性の真相をどんどん知りたくなる1冊です。(26歳 女性 主婦・主夫)
彼女が悪女なのか聖女なのか、読者の判断に委ねられている所が答えがなく考察できるのでおすすめです。(22歳 女性 学生)
3位「紀ノ川」6票
小さな川の流れを呑みこんでしだいに大きくなっていく紀ノ川のように、男のいのちを吸収しながらたくましく生きる女たち。――家霊的で絶対の存在である祖母・花。男のような侠気があり、独立自尊の気持の強い母・文緒。そして、大学を卒業して出版社に就職した戦後世代の娘・華子。
紀州和歌山の素封家を舞台に、明治・大正・昭和三代の女たちの系譜をたどった年代記的長編。
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読者の声
たくましく生き、成長していく姿にとても心を打たれる作品です。(38歳 男性 会社員)
まっすぐに生きる女性の素晴らしさを感じ、昔の価値観だったり考えに強く感銘を受けました。同年代の若い子に一度おすすめしたい作品です。(26歳 男性 会社員)
ヒロインが一人ではないので、連作集のように楽しめます。有吉作品のなかでも読みやすいと思います。(51歳 女性 自営業)
女3代系譜を大河の流れのごとく淡々と描かれている。人の人生はその人一人の一生だけでは語りつくせないものだとつくづく感じさせられた。(60歳 女性 無職)
お家一番だった日本が時間が経つにつれ時代も変わりその考えも次第に変化していく様子がわかる。(56歳 女性 主婦・主夫)
それぞれ別の時代を生きた三世代の女性を描いた作品でそれぞれ別の生き方をしているがどこかで紀ノ川の様に同じ血が流れている事を印象付けられる作品だと思います。(25歳 男性 無職)
4位「複合汚染」2票
工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。
毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか?
小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!
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読者の声
環境汚染の内容が明確になっているので、地球環境破壊の危機を自覚させるものでした。(53歳 女性 団体職員)
日本の農業・自動車産業・加工食品などの環境問題や健康に提唱を促した作品です。この作品が1970年代の高度成長期に、しかも女性が書かれたというところに驚きつつ、半世紀がたった現代においても、考えさせられる内容となっています。(50歳 女性 主婦・主夫)
5位「ふるあめりかに袖はぬらさじ」1票
露をだにいとふ倭の女郎花 ふるあめりかに袖はぬらさじ―幕末、横浜・岩亀楼。異人の身請けを拒んで自刃し、「攘夷女郎」にまつりあげられたおいらん・亀遊。その虚像の上にさらに虚構をのせて語り継ぐ芸者・お園。
騒然とした世相の中、お園が見つめた人間の真実とは―。表題作とともに、「華岡青洲の妻」を併録。
「BOOK」データベース
読者の声
感情的な情景に重みのある作品で幕末時代の良き世界観が如実に現れていて楽しめました。(35歳 男性 会社員)
5位「一の糸」1票
造り酒屋の箱入娘として育った茜は、十七歳の頃、文楽の三味線弾き、露沢清太郎が弾く一の糸の響に心を奪われた。その感動は恋情へと昂っていくが、彼には所帯があった。二十年が過ぎた。
清太郎は徳兵衛を襲名し、妻を亡くしていた。独身を通して茜は、偶然再会した男の求婚を受入れ、後添えとなるのだった。大正から戦後にかけて、芸道一筋に生きる男と愛に生きる女を描く波瀾万丈の一代記。
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読者の声
芸の道一筋に生きる男を支える女性の波乱万丈な姿が面白いです。(23歳 男性 パート・アルバイト)
5位「私は忘れない」1票
日本のめざましい経済成長の陰に、電信電話もなく台風の被害も報道されない僻地。海の荒れる時は定期便の船さえ近づけない閉ざされた南の離島、黒島。
スターの座を夢みながらチャンスを逃した門万里子は単身黒島へ旅立ち、自然との闘いの中でたくましく運命を切り開く人々の純朴な姿に心を打たれる―。明るい筆致で、厳しい日常生活の中に人間らしさの恢復を試みた問題作。
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読者の声
有吉佐和子先生のこの作品は話のテンポがよくてポンポンストーリーが展開し進んでいくので読みやすいです。一人の女性の人生の物語。女性はとてもきれいで凛としていて強くかっこよかったです。(20歳 男性 パート・アルバイト)
5位「芝桜」1票
津川家の正子と嶌代は将来の看板芸者と目されていた。しかし、二人の性格は全く対照的だった。実直で健気、芸者の通信簿でも総牡丹(全甲)をもらうほど頭のいい正子。
美しく信心深いところがありながら、水揚げ前に不見転で客をとり、嘘を本当と言いくるめて次々に男をかえていく嶌代。―二人の芸者の織りなす人生模様、女同士の哀歓を絢爛たる花柳界を舞台に描く。
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読者の声
芸者見習いの二人の娘のお話。正反対の性格を持つ彼女たちは芸者という世界に身を置き、自分の人生を切りひらいていくわけですが、全く違う生き方をすることになります。芸者という、一般からかけはなれた世界を描いているようで、普遍的な女の一生が作品から見てとれます。(43歳 女性 パート・アルバイト)
5位「日本の島々、昔と今。」1票
北は天売・焼尻へ、南は波照間・与那国へ飛び、種子島では鉄砲伝来とロケット基地を、隠岐ではイカ釣船の水揚や流人の歌を島誌に探る。
八〇年当時の領有権、日韓大陸棚、二百カイリ問題とは? 海も政治も激変したが日本はどこまで日本なのか。昔の問いは今も新しい。
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読者の声
国境の島の問題、非常に興味深く書かれています。(42歳 男性 会社員)
5位「非色」1票
待望の名著復刊! 戦後黒人兵と結婚し、幼い子を連れNYに渡った笑子。
人種差別と偏見にあいながらも、逞しく生き方を模索する。アメリカの人種問題と人権を描き切った渾身の感動傑作!
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読者の声
人種差別や複雑な人間関係を、とてもリアルに描いていて、面白かった。(33歳 男性 自営業)
まとめ
いかがでしたでしょうか。有吉 佐和子のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。