井上靖おすすめ小説ランキング11選【読書好き42人の声を集めました】

井上靖は1907年生まれ、歴史小説や自伝的小説を手がけ、多数の作品を残した作家です。淡々とした文体が特徴の作品を読むと、情景が浮かび物語に引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいます。

今回、読書家にアンケートをとり、井上靖の作品のなかで一番好きな作品を選んでもらいました。感想とともに結果をランキング形式でお伝えします。

1位「天平の甍」7票

天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら―在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ…。

鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。

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読者の声

ちゃんとした仏教を広めたい、高僧を唐から招きたいう若い僧侶の熱意がおすすめのポイントです。(53歳 女性 主婦・主夫)

鑑真、及び彼を招来しようとした普照の苦労、強固な意志が淡々と抑制的に記述されている。(46歳 男性 主婦・主夫)

鑑真和上招聘という使命の下、遣唐使として唐に向かった若い僧侶の姿を描く名作。(56歳 男性 無職)

若き僧侶たちが日本に仏教を伝えるために奮闘する青春の物語に感動出来ました。(31歳 男性 会社員)

4人の留学僧が命掛けで海を渡りそれぞれの人生の歩みや歴史を肌で感じることができた。(48歳 女性 主婦・主夫)

奈良時代の、海を超える人たちの志の高さ、危険を顧みない勇気、といったものが生き生きとかじられるから。(58歳 女性 パート・アルバイト)

朝廷から万事便宜を図ってもらったにも拘わらず唐に残ると言い出し、結局は勅命に背いて一般人に戻ってしまう玄朗の様子が人間臭くて好きです。ヒトの意思の弱さを代弁する存在として憎みきれません。短いお話なのに旧字体の漢字がみちみちに詰め込まれており、ページを開いた瞬間から濃密な世界観に取り込まれる所です。(34歳 女性 会社員)

1位「敦煌」7票

官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる……。

西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された四万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。

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読者の声

序章が衝撃的な内容で引きずり込まれるように読了しました。中国の事は何も知らなかった私がそれ以降、色々と読み始めるきっかけになった本です。(45歳 女性 自営業)

北宋の時代の1人の青年の立身出世物語で、映画にもなった広大なストーリーを楽しめます。(47歳 男性 自営業)

歴史ロマンで文明の興亡を見事に描いた大作でオススメです。壮大なテーマの中にもどこか郷愁を感じる文章やシーンがあって面白いです。(29歳 男性 無職)

11世紀を舞台にした中国の歴史小説で物語の展開がドキドキしながら引き込まれていきます(46歳 女性 主婦・主夫)

知る由もない時代を、膨大な情報を収集し分析することで、現代に蘇らせるた不朽の名作だと思います。(50歳 女性 自営業)

これこそ敦煌漠高窟の真相なのではないか、と思ってしまいます。詳細な研究成果と想像力の賜物です。(52歳 女性 無職)

敦煌が滅ぶ時に隠された四万巻の経典はどれほど意味があるのか分かりやすい内容でした。(59歳 男性 会社員)

2位「あすなろ物語」6票

天城山麓の小さな村で、血のつながりのない祖母と二人、土蔵で暮らした少年・鮎太。北国の高校で青春時代を過ごした彼が、長い大学生活を経て新聞記者となり、やがて終戦を迎えるまでの道程を、六人の女性との交流を軸に描く。

明日は檜になろうと願いながら、永遠になりえない「あすなろ」の木の説話に託し、何者かになろうと夢を見、もがく人間の運命を活写した作者の自伝的小説。

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読者の声

時代の移り変わりをはっきりと感じられる作品で、特に20代の若者の価値観の違いを感じ、ノスタルジックな気分にさえなると感じたため。(46歳 男性 会社員)

鮎太という少年の成長物語です。「明日はヒノキになりたい」と思い続ける「あすなろの木」のように、何とか大きく鳴ろうとする物語が、少年期、青年期、などの中編として書かれています。読みやすい文章もおすすめです。(58歳 男性 主婦・主夫)

勉強に自信のある主人公が努力しても天才に敵わない姿に共感できるところがおすすめです。(31歳 女性 主婦・主夫)

少年から大人になるまでの成長物語ですが、その年代での葛藤が短編にわかれているので読みやすく、また共感を覚えるところも多い作品なので、読みやすくなっています(62歳 男性 会社員)

中学生の時に読みました。何かに成らねば、見つけなければとの焦りの共有。(50歳 女性 主婦・主夫)

一人の少年が色々な苦労をしながら成長していく物語で、共感する事が多かったので好きです。(31歳 男性 パート・アルバイト)

3位「氷壁」5票

穂高岳の難所に挑んだ小坂は、ナイロンザイルが切れて墜死する。彼と同行した魚津は、自殺説や醜聞にもめげず、友の死の真相究明に全力を注ぐ。そして小坂の恋人だった美貌の人妻美那子への思慕を胸に、困難な単独行を敢行する……。

雄大な自然と都会とを対応させ、完璧な構成のもと、恋愛と男の友情を劇的に描く。NHK土曜ドラマ『氷壁』原案。

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読者の声

実在の事件を元にした小説です。社会派ドラマ、というより、友情と恋愛がテーマで、ミステリーの要素も少しあり、一気に読めます。昭和の物語なので、言葉遣い等、時代を感じる描写は多々ありますが、今読んでも十分面白いです。(55歳 女性 パート・アルバイト)

山を愛する男たちの登山ものの小説ながら、若者特有の恋愛や会社関係の悩みも描かれている普遍的で著名な作品ですので、万人におススメします。(56歳 男性 自営業)

主人公の生き様が、苦悩もありですが好きです。自然の美しさ、過酷さ、残酷さ、登山家と周辺の人たちの心情を体感出来るところがおすすめです。(42歳 女性 会社員)

昭和中期の作品なので構成が少々古めかしい感じがしまが、当時の日本人の感性が丁寧に書き上げられた古典的傑作だと思います。(59歳 男性 自営業)

実際に起きた事件をベースに書かれているので、引き込まれてしまいます。(45歳 女性 自営業)

3位「蒼き狼」5票

遊牧民の一部族の首長の子として生れた鉄木真(テムジン)=成吉思汗(チンギスカン)は、他民族と激しい闘争をくり返しながら、やがて全蒙古を統一し、ヨーロッパにまで及ぶ遠征を企てる。

六十五歳で没するまで、ひたすら敵を求め、侵略と掠奪を続けた彼のあくなき征服欲はどこから来るのか? ―アジアの生んだ一代の英雄が史上空前の大帝国を築き上げるまでの波瀾に満ちた生涯を描く雄編。

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読者の声

人間の根源的欲望が描かれ、その深さには気付かされることが多い点です。(31歳 男性 会社員)

モンゴルの遊牧民であったテムジン(チンギスハン)の生涯を描いた作品。若い時の苦労、妻をとられ、奪い返したが、その後も続く葛藤。次々に広げていく領土。老いてから、若い娘に夢中になっていく、覇者の姿。頼りながらも振り回される周囲の人々。生々しい文章ではなく、あえて抑え目な表現が、想像力をかきたてました。(49歳 女性 会社員)

当時光栄から蒼き狼と白き女鹿というゲームがあり、そのストーリーと合致して楽しみました。(46歳 男性 会社員)

のちにチンギス・ハンとなるテムジンの心の葛藤と征服への道のり。(50歳 女性 パート・アルバイト)

この作品は見どころが多く、それぞれの伏線が気になり続けるストーリーです。(42歳 女性 無職)

4位「しろばんば」4票

伊豆の湯ヶ島の山村で、おぬい婆さんと二人で暮らす洪作少年の日々。ゆたかな自然と、複雑な人間関係のなかで洪作少年の心は育っていきます。井上靖の自伝的な名作。小学上級から。

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読者の声

食べ物がとても魅力的です。特に朝起きてすぐ布団の中で食べる「おめざ」の黒玉や水晶玉は、お母さんにいけません!と言われることを許されるうらやましさと、今では聞きなれない飴の名前の魅力を感じました。(28歳 女性 会社員)

大正初期の伊豆。お婆さんと家族と離れ暮らす少年。12歳までの生活と成長を描いた、井上靖さんの自伝的小説になっています。少年の純粋さが描かれた作品です。(44歳 男性 自営業)

大正時代の少年の成長物語が胸を打ちます。時代が違っても人との関わりを考えさせてくれます。(43歳 女性 主婦・主夫)

井上靖の自伝的小説。子供の頃のおばあさんとの生活を描く物語で、不思議な空気感が好きでした。(58歳 女性 主婦・主夫)

5位「額田女王」3票

大化改新後の激動する時代、万葉随一の才媛で“紫草のにほへる妹”とうたわれた額田女王をめぐる大ロマン。

朝鮮半島への出兵、蝦夷征伐、壬申の乱……と古代国家形成のエネルギーがくろぐろと渦巻く中で、天智・天武両天皇から愛され、恋と動乱の渦中に生きた美しき宮廷歌人の劇的で華やかな生涯を、著者独自の史眼で綴り、古代人の心を探った詩情ゆたかな歴史小説。

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読者の声

乱世の中、二人からの求愛を受け運命にもがきさまよう物語も見ものですが、その中で詠む歌は心に響きとても好きです。(33歳 男性 会社員)

ある漫画で想像していた彼女のキャラクターとは全く異なる側面を知ることができ、胸がどきどきします。(19歳 女性 学生)

随所に、額田女王が詠んだとされる和歌が登場しており、日本情緒を感じさせてくれる点が、気に入っています。(28歳 男性 会社員)

6位「おろしや国酔夢譚」2票

苛烈な大地で開花した光太夫のリーダーシップ

数か月の漂流の末にたどり着いた島。彼らを待っていたのは、ロシア帝国内での十年に及ぶ流浪の暮らしだった。映画化された傑作!

極寒のシベリアを渡る。日本へ帰るために――。

「いいか、みんな、自分のものは、自分で守れ。自分の鼻も、自分の耳も、自分の手も、自分の足も、みんな自分で守れ。自分の生命も、自分で守るんだ」

18世紀の終わりに、アリューシャン列島へと漂着した大黒屋光太夫と十数人の仲間たち。彼らに待っていたのは、ロシア帝国シベリアの厳しい風雪のなかでの、十年にも及ぶ漂泊の暮らしだった。聞いたことのない異国の言葉、はげしい飢え、命を落としかねない激しい寒さ。

日本への帰国したい一心で団結する彼らも、ひとりまたひとりと脱落していく。ラクスマンと出会い、光太夫は女帝エカチェリーナに謁見、ロシアの対日使節に連れられるかたちで帰国することを得た。

○どんな危機的状況のなかでも決して望みを捨てない。

○最悪(永住)のことを覚悟して、順応の準備も怠らない。

苛烈な環境、危機のなかで、花ひらいた光太夫のリーダーシップは、危機的状況にある現在の日本の誰もが読むべき一冊です。

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読者の声

ロシアに漂着した主人公(大黒屋光太夫)がさまざまな苦難にあいながらも日本への帰国を目指し奮闘する。(50歳 男性 会社員)

漂流後に起こる様々な問題や厳しい状況の中、どうにか解決していこうという緊迫感のある話の流れで、引き込まれます。(40歳 男性 団体職員)

7位「風林火山」1票

「いかにも、武田の軍師、山本勘助」己が生命を絶たんとする切っ先を突きつけられても、その男は堂々と自らを名乗った―信玄への仇討ちを誓う由布姫と、姫への思慕を胸に川中島の決戦に散りゆく山本勘助。

夢半ばにして歴史から過ぎ去っていった人々の果敢な後姿を、華麗な筆致で描いた井上文学の金字塔。’07年NHK大河ドラマ化にともない、待望の単行本新装版。

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読者の声

有名な川中の決戦でのお話が一番の見どころです。昔の戦でよくある戦略や激しい決戦の描写は井上靖産の独特の表現が好きです。(40歳 男性 会社員)

7位「西域物語」1票

シルクロード周辺の太古勃興した国々の歴史や生きてきた人々たちをリアルに落ち着いた語調で淡々と描かれてあり、かえって想像がふくらむ。(57歳 女性 パート・アルバイト)

7位「夏草冬濤」1票

伊豆湯ケ島の小学校を終えた洪作は、ひとり三島の伯母の家に下宿して沼津の中学に通うことになった。洪作は幼時から軍医である父や家族と離れて育ち、どこかのんびりしたところのある自然児だったが、中学の自由な空気を知り、彼の成績はしだいに下がりはじめる。

やがて洪作は、上級の不良がかった文学グループと交わるようになり、彼らの知恵や才気、放埒な行動に惹かれていく―。

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読者の声

教科書でもおなじみの「しろばんば」の続編で、スタンドバイミーのような青春物語を楽しめます。特に中高生におすすめです。(49歳 男性 自営業)

まとめ

いかがでしたでしょうか。井上靖のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

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