佐藤雅美は、大学卒業後に出版社の記者、フリーライターを経て、小説家としてデビューしました。
佐藤雅美が手掛けるのは歴史もの・時代ものの作品。緻密な経済面からの考証によって、歴史と経済分野をおり交ぜた作品を発表しています。
読書好き21人にアンケートをとって、佐藤雅美の作品の中からおすすめ1冊選んでもらいました。投票が多かった順に感想とともに紹介していきます。
「知の巨人 荻生徂徠伝 」4票
江戸時代中期、儒学の世界を根底から覆した学者、荻生徂徠。幼い頃から書物に親しみ、父の江戸追放で上総に逼塞するも、独学で学問を身につける。その才と学識の深さから柳沢吉保に取り立てられ、徳川吉宗の政治にも影響を与えた。
貧困、学者らからの無視、妬み交じりの反撥…どんな苦境にも学問への情熱を絶やさず、近代思想の礎を築いた不屈の天才。彼が追い求めた思想と、その生き様を描いた歴史小説の金字塔。
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読者の声
人は、どんな境遇にあっても学び続けることができる生き物なのだと、それが時に生き抜くための光にもなるのだと実感させられます。(19歳 女性 学生)
一人の儒学者が当時の日本社会で成し遂げた出来事が淡々と描かれていますが、他人に嫉妬したり時の権力者に翻弄されるなど人間臭い一面を知ることができます。(62歳 男性 会社員)
江戸時代の大儒学者、荻生徂徠の人生と思想の変遷を当時の世相と絡めて活写する秀作(56歳 男性 無職)
主人公が、愛する子供の死や自身の病気等、不幸に見舞われる中、学問へ勤しむ純粋なシーンが、応援したくなる程、読み入ってしまいます。(28歳 男性 会社員)
「縮尻鏡三郎」3票
町会所から千両箱が消えた!前代未聞の事件は幕閣の醜聞に発展する。
捕縛したものを取り調べる仮牢兼調所「大番屋」の元締を勤める鏡三郎が今回遭遇する事件は、町会所の押し込み強盗。町会所とは幕府が貧困や災害時の救恤のため民間に設けさせた機関で、そこから二万両が奪われたという。
鏡三郎らは犯人の行方を追うが、事件は幕閣が震撼するスキャンダルへと意外な展開を見せて……。殺される証人、予測不能な展開。狡猾な事件の黒幕に迫れるか。冷酷非道な悪に立ち向かう同心の決死の闘い。
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読者の声
しくじりがきっかけで役人をクビになった男が様々な揉め事を受け付ける仕事に就き、いろんな相談に乗りながら事件を解決していく展開がユニークで面白かったです。(48歳 男性 パート・アルバイト)
問題を起こしお役をクビとなる主人公ですが、人脈、知力、強運のおかげで人々の悩みごとまで次々と解決していくの姿がスッキリします。(48歳 女性 主婦・主夫)
御家人だった拝郷鏡三郎がクビになり、大番屋元締になって町人から将軍様の悩みまで解決するところがポイントです!(32歳 女性 自営業)
「恵比寿屋喜兵衛手控え」2票
訴訟事の“公認世話焼き”恵比寿屋喜兵衛のもとに若者が依頼に来た。兄が見ず知らずの男に手付金を返せと訴えられたという。さては公事師の詐欺事件か―。夫婦にしのびこむ隙間風と老いを感じながら、喜兵衛が見届けた事件の真相は?江戸のお裁きの真実に迫る本格時代サスペンス。
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読者の声
江戸時代における、訴訟のあり方が詳細に書かれた物語であり、学びにもなります。(25歳 男性 学生)
江戸時代の風俗や風習を感じながら読み進めていくスタイルの作品で、江戸時代にタイムスリップしたような感覚で読み進めることができると感じる点。(46歳 男性 会社員)
「幕末「円ドル」戦争 大君の通貨」2票
徳川幕府の崩壊は、薩長の武力のみにあらず、もう一つの大きな要因は通貨の流出にあった。ペリーの来航以来日本は、初めて世界経済の荒波に見舞われた。
幕府の経済的な無知につけ込んで、一儲けを企む米外交官ハリス、駐日英国代表オールコックたちの姿を赤裸々に描く新田次郎文学賞受賞の傑作歴史経済小説。
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読者の声
江戸末期を舞台にした歴史小説であるにもかかわらず、「為替レート」の問題を取り扱った経済小説でもあり、これ一冊で日本近代史の1ページを勉強できる良書です。(59歳 男性 自営業)
黒船来航後の幕末、通商条約後に交易を加速させたい欧米と幕府が為替で対立する。最後には欧米側が膨大な金を得て結果として倒幕となる。開国間もない日本と、欧米との経験差を痛感させられる作品となっています。(44歳 男性 自営業)
「立身出世―官僚川路聖謨の生涯」1票
男は如何に底辺から這いあがり昇りうる最高の地位まで栄達を果たしたのか。
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読者の声
ものすごい有名ではないが幕末の功績者の一人。このひとにスポットを当ててくれて嬉しい。(44歳 男性 自営業)
「物書同心居眠り紋蔵」1票
南町奉行所で内勤三十年。勤務中でも居眠りをする奇病を持つ藤木紋蔵。だが、奇病ゆえ、人生の真実が見える時がある。義父が下女に手を出し、妊娠させる騒動が起きた。義母は「男は穢らわしい」とご立腹だ。人間の欲深さを描く「浮気の後始末」ほか7編。“窓際族”同心が活躍する捕物帳!連作時代小説。
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読者の声
女性問題を題材に書かれているので、ふだん芸能ニュースを見ている私にとって楽しめる内容でした。(51歳 男性 会社員)
「白い息」1票
紋蔵が深川の元締め殺しの背後にある事情に心痛めていた折り、例繰方での経験を生かして、将軍の御前で裁きを披露する「吹上上聴」で扱う事件に、先例がないことを確かめてくれと頼まれた。が、先例を知っていた紋蔵は苦慮の末に逆転の手を閃いて…。定廻りに任じられた紋蔵の葛藤を描いた好評短編連作。
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読者の声
主人公が居眠りする暇がなくなっても面白さは変わらずで安心して読めます。(43歳 女性 主婦・主夫)
「敵討ちか主殺しか 物書同心居眠り紋蔵」1票
“窓ぎわ同心”藤木紋蔵の養子・文吉は御家人になり、ある縁から大名家に日参、そこで六百五十石取りの娘に見初められる。しかし婿入りを前に京で修行するはずの文吉に江戸で出会した紋蔵は、大名家への対応に頭を悩ます。
一方、紋蔵に何かと邪魔されていると逆恨みする火盗改役が、紋蔵の鼻を明かそうと思案に暮れていた―。
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読者の声
奉行所に呼び出されて人殺しを頼まれたときにその通りにするか、そんなことを依頼するものを殺すか考えるところは面白いです。(40歳 男性 パート・アルバイト)
「男嫌いの姉と妹」1票
浜松町の茶問屋「駿河屋」の姉妹は揃って器量よし、財産もあるが、結婚しないまま三十路を過ぎた。この先、気に入らない親戚に家を継がせるのも業腹だ。そこで妹のちよは名案を思いつく。
白羽の矢が立ったのは、芝神明前の腕利き医師・北村宗哲のもとに出入りする浪人、長井判四郎。が、元渡世人の宗哲は、群雄割拠する江戸の裏社会に顔が利くだけあって、半四郎もややこしい状況に置かれていた…。
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読者の声
面白い落語を聴いているような小気味よいテンポで、姉妹が活躍します!(45歳 女性 自営業)
「私闘なり、敵討ちにあらず 八州廻り桑山十兵衛」1票
武州からあてもなく北に向かった桑山十兵衛は、鳥居丹波守の城下町壬生で、旧知の吉村兵太左衛門を訪ねた。だが吉村は当地の名門の総領息子から逆恨みされた挙句、果し合いで討たれていた。
士道不覚悟で吉村家は改易。理のある者がなぜ、こんな目に…。鬼すら反吐吐く所業に、十兵衛の怒りが爆発する。大人気シリーズ第八弾。
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読者の声
江戸時代を舞台とした八州廻りと呼ばれる仕事をしている主人公の物語。読み進んでいくごと、時代に入り混んでいける模写が素敵です。(52歳 男性 会社員)
「四両二分の女 物書同心居眠り紋蔵」1票
隠売女(売春)の罪で三十六人が検挙された。彼女らに前代未聞の刑“吉原送り”が敢行されようとしている。しかも、奉行所は彼女らを入札で吉原者に値をつけさせて、その金を御金蔵に納めるという。世間の非難を浴びるであろう刑に反対する紋蔵は一計を案じるが…。表題作「四両二分の女」ほか全八編収録。
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読者の声
居眠りばかりしているのに、いざとなったら頼りになる紋蔵がかっこ良いんです。(45歳 女性 自営業)
「江戸の税と通貨 徳川幕府を支えた経済官僚」1票
欧米に追いつけ追いこせで走ってきた現代の日本経済は、追いついてどうやらとまどっているようである。目の前に広がっているのは指針も海図もない航海だからだ。江戸時代の人たちにとってもそうだった。
彼らの前には指針も海図もない。経験とかんをたよりに経済のかじ取りをした。―財政改革、税制改革、日米摩擦等、現代にも通じる江戸経済人の知恵。
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読者の声
江戸時代を政治より経済でとらえる珍しい作品。初めて知ることが多く、眼から鱗。(47歳 男性 会社員)
「啓順純情旅」1票
息子殺しの嫌疑で火消し頭の聖天松から追っ手をかけられる医師崩れの啓順は、伊勢の縄張り争いの最中、かつて救ったおきよが会いたがっていると聞いた。
縄張りも捨て助っ人として向かった伊豆でおきよと再会し、互いの気持ちを確かめ合ったのも束の間、またも別れる運命に。「逃亡者」啓順シリーズ完結編。
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読者の声
この作品は大切な息子が殺害され、その容疑がかった主人公が織り成す内容が面白いです。(42歳 女性 無職)
「疑惑 半次捕物控」1票
金の匂いを嗅ぎつけ、半次につきまとう疫病神の蟋蟀小三郎。御奉行にも眼をつけられるが、半次の女房・志摩だけは小三郎に優しい。その志摩が家を出ていった。
自分を捨て小三郎に乗り換えたのか、と半次はふさぎこむ。そんななか、小三郎が侍を斬り殺す大事件を起こす。痛快捕物帳の人気シリーズ第四作。
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読者の声
登場人物の心理描写と時代背景の詳述が見事に融合した捕物帳時代劇作品だと思います。(50歳 女性 自営業)
まとめ
いかがでしたでしょうか。佐藤雅美のおすすめ小説を紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。