大岡 昇平おすすめ小説・作品ランキング8選【読書好き35人の声を集めました】

大岡 昇平は、1909年生まれの小説家・評論家。

1952年に「野火」で読売文学賞、1961年に「花影」で日出版文化賞、新潮社文学賞を受賞、1972年に「レイテ戦記」で毎日芸術賞を受賞するなど、受賞歴も多くあります。

戦時中の体験記をもとにした戦争文学の名手として、大岡 昇平が残した数々の名作の中から、読者アンケートでおすすめの小説を選びました。ランキング形式で紹介します。

1位「野火」19票

敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける…。

平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的作品である。

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読者の声

敗戦濃厚となった太平洋戦争末期のフィリピン戦線で結核にかかり、本隊から追放となった兵隊の最期を描き戦争の残酷さを表現した作品。(25歳 男性 会社員)

戦争文学で知られる大岡昇平の代表作の一つであり、劣勢極まるフィリピン戦線のレイテ島で行われた同胞同士の殺人や同胞の食人など極限事態の中狂人化した兵士を描いた問題作です。(49歳 女性 会社員)

ネタバレになるので詳しくは書けませんが、飢餓で死にかけた主人公の兵士が食人に手を染めようとしたときに、その身に起きた不可解な事態の場面が印象的でした。(31歳 男性 会社員)

市川崑監督によって映画化された作品で、戦地で孤独を味わう兵士の狂気が描かれていて、戦争の怖さを強く感じる作品です。(48歳 男性 会社員)

作者の死の直前における人間の極地を描いた、戦争文学の大傑作作品。(39歳 男性 会社員)

戦争、しかも敗戦間近の極限状態の生きることに対する人間の執着と狂気が恐ろしいまでに描かれています。(58歳 女性 会社員)
戦線で病気になり数本の芋をもたされ追放される心が痛くなるリアルな所。(23歳 男性 無職)

おすすめポイントは、戦争文学の代表作で、極限まで追い詰められた人間の凄惨さが克明に表現されているところです。(43歳 女性 主婦・主夫)

フィリピン戦線で結核に冒された兵士の物語が書かれていて、平和がどれほど有り難いか意識させる内容でした。(72歳 女性 無職)
敗北が決定的となったフィリピン戦線の悲しい戦争のストーリーです。(24歳 女性 主婦・主夫)

当時の戦争を的確に書かれていて想像ができてしまうのがすごいと思います。(29歳 女性 会社員)

戦争の悲惨さと極限状態の人間の苦しみ、葛藤がリアルに描かれていてすごいと思いました。(39歳 男性 会社員)

戦争の現実や戻ってからの後遺症について丁寧に心情から描かれ、リアリティがあるストーリーがおすすめです。(38歳 男性 会社員)フィリピン・レイテ島で起きた凄絶な生き残りのための人肉を食うストーリー。(65歳 男性 無職)

極限状態になった時の人間の性が怖いくらいにリアルに書き表されていて、読んでいてゾッとしました。平和であることの有り難さを心から感じさせる作品です。(41歳 女性 主婦・主夫)

この作品を読んで戦争に対する恐ろしさと愚かさを痛感しました。とにかく飢えに苦しむ描写が心苦しくなります。読後、毎日の食事で火を通した食べ物を不自由なく食べられる現代に生まれたことに感謝の気持ちすら感じたほどです。(44歳 男性 会社員)

戦争という極限状態における人間の心理を、冷酷なまでに客観的な文体で緻密に描き出している点。また、それが後に主人公によって精神病院書かれた手記であるという形式とあいまって文学的効果を一層高めている。(21歳 男性 学生)

戦場の惨禍を経験したからこそ描けるすさまじい描写に初めて読んだときに衝撃を受けた。(21歳 男性 学生)

戦争の戦いの他に飢えや病気との戦いという違う視点で戦争のもう一つの恐ろしさを主人公の狂気を通して伝えてくれる作品。(45歳 女性 主婦・主夫)

2位「事件」5票

昭和36年7月、神奈川県の小さな町で、飲み屋を営む坂井ハツ子の死体が見つかった。妹ヨシ子との結婚に強硬に反対されていた19歳の少年が、殺人・死体遺棄の容疑で逮捕される。

はじめは単純な事件だと思われたが、菊地弁護士は公判で次々と意外な事実を浮かび上がらせていく。ありふれた事件の背後に隠されていたもととは?裁判は真実に到達できるのかを問う、戦後文壇の重鎮による法廷ミステリーの金字塔。

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読者の声

裁判の小説です。 初めは殺人事件のサスペンスと思っていましたが、読み進めていくと裁判の在り方などを突き詰めていくストーリーです。(68歳 女性 主婦・主夫)

昭和30年代に実際に起きた事件がもとになっている小説です。神奈川の田舎町で殺人事件が発生。その刑事公判がシナリオとなる法廷小説です。被告犯罪者の心理面,時代背景(農業の減衰,工業の発展等)を織り交ぜながら,法曹法廷でのやり取りを詳細に描きます。主例として「松川事件」で注目された刑事裁判の実情があげられ、問題提起されます。(54歳 男性 会社員)

裁判の傍聴人をしている気持ちで見ることが出来る複雑なミステリーが面白いです。(23歳 男性 パート・アルバイト)

読み手にも深く考えさせられるようなクオリティ高い推理・裁判小説と言えます。数々の賞を得たこの作品は、大岡昇平らしさ溢れる面白いものになっています。(20歳 女性 学生)

裁判制度の日本独特の進化を、小説として読め勉強になる所がお薦めです。(42歳 男性 会社員)

3位「靴の話 大岡昇平戦争小説集」3票

太平洋戦争中、フィリピンの山中でアメリカ兵を目前にした私が「射たなかった」のはなぜだったのか。自らの体験を精緻で徹底的な自己検証で追う『捉まるまで』。死んだ戦友の靴をはかざるをえない事実を見すえる表題作『靴の話』など6編を収録。

戦争の中での個人とは何か。戦場における人間の可能性を問う戦争小説集。

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読者の声

戦争中の人間味や心理を鋭くついていて、読んでいて引き込まれていきます。(38歳 男性 会社員)

戦争体験をつづっている。捕虜となった私の心情を読むうちに戦争の悲惨さが胸に刺さる。(46歳 男性 会社員)

盗んだ靴を履いたまま米軍捕虜となった自分の気持ちが、ポイントだと思います。(50歳 女性 主婦・主夫)

3位「レイテ戦記」3票

戦争は勝ったか、負けたかというチャンバラではなく、その全体にわれわれの社会と同じような原理が働いている―。太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使して再現した戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」を付す。

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読者の声

大東亜戦争の中でも激戦となったレイテ島の戦いを膨大なインタビューや資料と共に後世へ伝えていく。(44歳 男性 会社員)

膨大な資料・証言を咀嚼し消化し尽くしたうえで綴られる、大岡流戦記文学の傑作。(56歳 男性 無職)

太平洋戦争末期の重要な戦いであるフィリピン島での戦いの中でも主要なレイテ島での初期から末期までを詳細に書かれており非常に読みごたえのある作品である。(47歳 男性 会社員)

4位「俘虜記」2票

著者の太平洋戦争従軍体験に基づく連作小説。冒頭の「捉まるまで」の、なぜ自分は米兵を殺さなかったかという感情の、異常に平静かつ精密な分析と、続編の俘虜収容所を戦後における日本社会の縮図とみた文明批評からなる。

乾いた明晰さをもつ文体を用い、孤独という真空状態における人間のエゴティスムを凝視した点で、いわゆる戦争小説とは根本的に異なる作品である。横光利一賞受賞。

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読者の声

太平洋戦争敗戦で捕虜になった作者の考えを記述した作品、捕虜になる前後で書かれた作品にて考え方の変化にも着目したい。(27歳 女性 主婦・主夫)

本書が戦場および収容所での個人的体験に基づいた記録であって、個人的にとても斬新な題材でした。(25歳 男性 パート・アルバイト)

5位「戦争」1票

『俘虜記』『野火』で知られる著者が、自身の戦争体験を語る。数々の小説とはまたちがった、作家の雰囲気が漂う著作である。

「なにか事があれば、ひどい目にあうのは、またもやわれわれ国民ではないのか。」軽妙な語り口の裏側に、戦争への激しい思い、埋み火のような執念がゆらめく。文庫初収録の作品。

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読者の声

著者の実体験によるものなので、より戦争の残酷さを実感させられる。(20歳 女性 無職)

5位「証言その時々」1票

「私はひとりになった。静かに涙が溢れて来た…祖国は敗けてしまったのだ。偉大であった明治の先人達の仕事を三代目が台無しにしてしまったのである」―収容所で敗戦の報に接した著者が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。

数々の戦争文学を残した作家が綴る、帰還兵への思い。六〇年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言。

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読者の声

自身の体験に基づいて所感が述べられていて、現代では中々このような意見取り上げられる事が少ないものの、とても参考になる作品です。(42歳 男性 会社員)

5位「昭和末」1票

戦後をよく戦い、昭和を閉じて逝った作家大岡昇平の昭和末(1985~89)総集。晩年の批評活動を全収録。

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読者の声

現代では考えられないものが綴られている力強さが一番の魅力であり、まさに戦後の世界を明らかにしてくれた作品だと思います。(35歳 男性 会社員)

まとめ

いかがでしたでしょうか。大岡 昇平のおすすめ小説・作品を紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

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