石川 達三の作品数は膨大です。多数の作品のなかからどの作品を選んで読んだらいいのか?今回、読書好き35人におすすめ1冊選んでもらいランキング形式でまとめました。ぜひ選ぶときの参考にしてください。
1位「蒼氓」15票
第1回芥川賞受賞作を復刊。秋田県横手市生まれの石川達三(1905~85年)が著した「蒼氓」は、社会派作家として知られた石川の原点ともいえる作品です。
昭和初期のブラジル移民として全国から神戸の国立海外移民収容所に集まった民衆が、不安と期待の中で過ごす出港までの8日間を描き、1935(昭和10)年創設の芥川賞に太宰治らの作品を抑えて輝きました。
その後、移民船内を描いた「南海航路」、辛苦に耐えながらたくましく働きだす「声無き民」を加えた3部作の長編として39年に発表、多くの人に読まれてきました。現在は絶版となっていますが、いま一度多くの人にこの名作に触れてもらおうと復刊。
久米正雄らによる選評や菊池寛の賛辞を再録した「芥川賞経緯」のほか、日本ペンクラブ会長も務めた石川の足跡や略年譜を収載しています。
Amazon
読者の声
昔の日本が舞台になっており歴史を知ることが出来た。物語も重厚で良くできていて面白い。(39歳 男性 無職)
1930年の、ブラジル移住計画をする日本人移住者の心境が描かれた作品です。(48歳 女性 主婦・主夫)
好きなポイントは列車での移動シーンで、特に港から急こう配であえいで登るところです。もう1つが食事のシーンで、パンにマカロニとか煮豆など書いてるので当時の日本人の食生活を考えながら読むのがおすすめポイントかなと思います。(45歳 男性 自営業)
ブラジルに移り住むことを決断した主人公の気持ちの強さに胸を打たれました。(38歳 男性 会社員)
日本にもこんなに惨めで苦しい時代があったのかと知らされるような小説になっています。主人公から学べることが多くあり、最後までスラスラと読んでしまいます。(20歳 女性 学生)
昭和の初頭にブラジルへの移民する東北出身者たちの運命を重厚な筆致で描く名作。(56歳 男性 無職)
船の中には様々な方言を話す人達が一つの船に集まり、その人たちの思い出が見れる小説です。(39歳 男性 会社員)
この作品にはこれといった主人公がいません。大正時代末期に貧しい農家が、希望を抱いてブラジルに移民する人々のお話です。未知の地への希望と不安、悲しみや喜びが混沌とした感情の表現が上手く表れている小説です。第1回芥川賞受賞作品です。(58歳 女性 主婦・主夫)
読みは「そうぼう」、意味は「流浪する民」です。第1回芥川賞受賞作品で内容は神戸からブラジル迄、移民した人たちの農民の話です。神戸から移民収容所で船で1ケ月半の船旅を経てブラジルへ到着するのですが、移民者のブラジルへに対する「新天地」、「あこがれ」は当時の日本政府の「移民政策」の「棄民」であることを知りました。(66歳 男性 無職)
芥川賞受賞作。石川初期の作品なので荒削りなところがあるが、真心のこもった作品です。(69歳 男性 パート・アルバイト)
人間味がリアルで、読んでいてとても学べるものがある作品です。(38歳 男性 会社員)
戦前の貧しい農民がブラジルに渡り苦労しながらも現地で根を張り生きていく物語。(25歳 男性 会社員)
船内という限られた空間の中での出来事が躍動するように描かれていて面白みを感じました。(46歳 男性 会社員)
2位「生きている兵隊」10票
虐殺があったと言われる南京攻略戦を描いたルポルタージュ文学の傑作。四分の一ほど伏字削除されて、昭和十三年『中央公論』に発表されたが、即日発売禁止となる。戦後刊行された完全復元版と一字一句対照し、傍線をつけて伏字部分を明示した伏字復元版。
「BOOK」データベース
読者の声
中国に徴兵された人々の気持ちが分かる内容で、平和はどれほどありがたいか学びました。(58歳 女性 会社員)
あるがままの戦争の姿を知らせるといった作品で、描写が歴史事実と一致する個所も多いリアルな戦争作品(39歳 男性 会社員)
代表作の一つ。戦時期に発表して、当局より発禁を受けた。いち兵士の視点から戦争について記されており、また、これを発禁とした当時の社会状況を考えるうえで大切にしたい小説。(34歳 男性 学生)
南京攻略戦を描いた非常に興味深い作品です。読まないと損します。(41歳 女性 会社員)
虐殺があったと言われる南京攻略戦を描いた物語がお勧めのポイント。(42歳 男性 公務員)
戦争による人殺しがもたらす人の心への影響を考えさせられます。(46歳 男性 会社員)
元々戦争の話などに興味があり、1人1人に個性があって引き込まれた。(29歳 男性 会社員)
完全ノンフィクションではないですが、生々しくて戦争がもたらす人間の恐ろしさが描かれています。(26歳 女性 会社員)
戦時の兵隊の心理をリアリティに描いており、読み終えた後に色々と考えさせられる演出がおすすめです。(38歳 男性 会社員)
南京大虐殺について、当時に書かれた重要で貴重な資料は読みごたえが抜群である。(45歳 女性 主婦・主夫)
いわゆる南京大虐殺を描いた作品で残虐行為がとてもリアルに描かれている。日本軍の闇や兵隊の葛藤がうまく表現されていて賛否両論ある作品ではあるが個人的にはとても印象に残った作品。(29歳 男性 無職)
中国戦線における日本兵の悲惨な状況を描き、戦争の悲惨さを現地から伝えた作品。(27歳 女性 主婦・主夫)
3位「青春の蹉跌」5票
生きることは闘いだ。他人はみな敵だ。平和なんてありはしない。人を押しのけ、奪い、人生の勝利者となるのだ――貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折した法律学生江藤賢一郎。
成績抜群でありながら専攻以外は無知に等しく、人格的道徳的に未発達きわまるという、あまりにも現代的な頭脳を持った青年の悲劇を、鋭敏な時代感覚に捉え、新生面を開いた問題作。
Amazon
読者の声
昭和40年代の学生運動盛んな時代、丁度自分の年代と重なり何か心に響くものがありました。後に映画化され萩原健一の魅力にも触れたものです。(68歳 男性 無職)
ミステリー性ある純文学。男のエゴイズムなど人間の宿命的なものを深くえぐって書いています。(65歳 男性 無職)
若い男性が恋愛より、社会的地位をのぼっていくことを優先して、恋人を殺してしまうとゆう物語と、青春の蹉跌とゆうタイトルがものすごくマッチしているところ。物語的にはいっきに読めるところ。(64歳 男性 無職)
賢一郎が登美子との関係をどうするべきか悩んで様々な感情が浮かび上がってくる描写が自分はおすすめポイントです。(42歳 女性 自営業)
自分も法学研究科に在籍していたこともあり、主人公の苦しみが手にとるように実感できました。司法試験合格という社会的地位と栄光を手に入れながら苦悩し続ける主人公の生き様を通し、本当の幸せとは何かを考えるきっかけとなる作品です。(59歳 女性 自営業)
4位「四十八歳の抵抗」3票
五十五歳停年の時代に、退職が現実のこととして見えてきた保険会社次長の西村耕太郎。家庭を持ち、何不自由ない毎日を送っているが、心に潜む後悔と不安を拭えない。その心中を見透かすかのように島田課長にヌード撮影会に誘われる。
日常への「抵抗」を試みた西村は、酒場で知り合った十九歳のユカリと熱海に出かけるが―。書名が流行語にまでなった日本的男性研究の原典。
「BOOK」データベース
読者の声
どんな時代でも共通するような、中年男のどうしようなもない部分を描いていますが、読み応えがありました。年齢に抗うようなシーンもあって切なくなりますが、若い世代でも読み応えあって楽しめる。(45歳 女性 パート・アルバイト)
まず、このタイトルに惹き付けられます。そして、なかなか時代が変わってもかわらないものだと感じます。(36歳 女性 団体職員)
48歳という微妙な年齢のある男が純粋な女にハマっていく中年男性の醜さを描いている。(37歳 女性 主婦・主夫)
5位「金環蝕」2票
時代は高度成長期、総裁選をめぐり巨額の買収が与党内で起こった。その穴埋めの政治献金を得るため、ダム建設の入札が、あるからくりとともに推し進められた…。政界・財界・官界を舞台にした一大疑獄と、野望と欲に取り憑かれた人々を活写し、政治腐敗、国費の濫費に対する国民の怒りを喚起した問題の長編小説。
「BOOK」データベース
読者の声
実際の汚職事件がモデルで当時の有力政治家などが多数出てリアルで面白い。(42歳 男性 会社員)
時代は高度成長期、総裁選をめぐり巨額の買収が与党内で起こった。その穴埋めの政治献金を得るため政治家のお話です(25歳 女性 パート・アルバイト)
6位「僕たちの失敗」1票
映画化された作品です。3年間契約の結婚をした主人公と婚約者、若者の結婚像を問う作品です。「結婚ってなんだろう」「その成功は失敗は」を考えさせられます。そして「結婚後の男女の在るべき姿」を問われる本です。(54歳 男性 会社員)
6位「独りきりの世界」1票
世の中に媚びず、他人に頼らない女性が主人公。自分と重なる部分があり、共感して、感情移入してしまった。(32歳 女性 主婦・主夫)
6位「稚くて愛を知らず」1票
結婚・家族・幸福について深く考えさせられる作品でありながら、とても読みやすいです。結婚に関しては二の足を踏む価値観を植え付けられるかも。(40歳 男性 パート・アルバイト)
6位「生きるための自由」1票
「自由」を定義することは難しいです。英語ですと、「freedom」「free」。自由は権利でもあり、責務を負っている。『生きるための自由』意味を考えさせられます。(57歳 男性 会社員)
6位「傷だらけの山河」1票
主人公の実業家の描写は、あんまり悪すぎます、最後までも罪悪感もありません(39歳 女性 主婦・主夫)
6位「七人の敵が居た」1票
実際にあった事件を元にしているため、非常に興味深く思えるシーンがたくさんあった。(20歳 女性 無職)
6位「その愛は損か得か」1票
現代の愛の行為は利害打算から自由になれないものなのだろうか。
結婚という形に縛られず、多くの異性と関係を持つことが得なのか、確かな愛を見つけるために慎重になることは損なのか、―大学の図書館に勤める若い独身OL、大鹿充根が、さまざまな愛との出会いのなかで悩み、傷つきながら成長し、ついにこれこそ自分の愛の人生だと確信できるひとつの選択をするまでを描く。
「BOOK」データベース
読者の声
恋愛時においての対策集として、この作品は読んでおくべきです。(42歳 男性 会社員)
まとめ
いかがでしたでしょうか。石川 達三のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。