「流浪の月」幼女誘拐事件の犯人とその被害者である少女との交流を描いた物語【2020年本屋大賞】

「流浪の月」読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

どんな小説?

凪良ゆう著「流浪の月」は、幼女誘拐事件の犯人とその被害者である少女との交流を描いた物語です。2020年本屋大賞を受賞しました。

センセーショナルな事件が起こると、その事件の内容や犯人・被害者については様々なことが報道されます。

しかし、報道の内容や私たちの常識からくる思い込みが、必ずしもその事件の本質を見極めることができているわけではありません。

目の前に提示されている事実だけが、真実ではないということを教えてくれる作品です。

あらすじ

更紗は、少し風変わりな家庭に生まれた少女でした。

しかし、「浮世離れしている」奔放な母と、その母を心から愛する父のことが更紗は大好きでした。

ところが、9歳のときに父は病死、母は更紗を置いて出ていき、更紗は叔母の家に居候することになります。叔母の家は窮屈でした。

そんなとき更紗は、彼女やその友達がよく遊んでいる公園で、毎日のように幼い女の子たちをじっと眺めている「ロリコン」の青年・文と出会います。

更紗は、ある雨の日に彼の家へと誘われ、そのまま二人の奇妙な同居生活が始まりました。その生活にこの上ない安らぎを感じていた更紗ですが、世間的にみればそれは「幼女誘拐事件」。更紗は保護され、文は逮捕されてしまいました。

それから15年後、更紗は社会人となりましたが、文のことは忘れられないまま。

そして、ひょんなことから見つけた喫茶店でマスターをしている文と再会しました。更紗の存在に反応を示さない文。

しかしある日、同棲中の恋人からDVを受けた更紗が文の喫茶店へと逃げ込み、再び二人の交流が始まります。

感想

誘拐事件の犯人を慕う被害者と聞くと、ついストックホルム症候群のことを思い浮かべてしまいますし、その関係はとてもおぞましいものだと感じてしまいます。

その被害者が幼い子供だとしたら、それは当たり前の感情ではないでしょうか。

だからこそ私は、この物語に出てくる二人の周囲の人たちを否定することはできません。

だけど同時に、この物語の二人は、お互いがお互いでなければならない唯一無二の存在で、二人自身のために二人が出会うことができて本当に良かったとも思います。

自分の価値観で他人のことを判断することの罪を思い知らされた物語でした。

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