「細雪」(ささめゆき)谷崎潤一郎が描いた美しい姉妹が織りなす物語

「細雪」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「細雪」を読んだきっかけ

「細雪」を読んだきっかけ 大学生の頃、谷崎潤一郎の耽美的な文章にひかれ、読むようになりました。源氏物語のような、華麗で装飾的な文体。古き良き関西、大阪の文化にも憧れをもって読み始めました。

「細雪」はどんな小説?

大阪の船場を舞台にした作品です。四人の美しい姉妹が織りなす物語がつづられている、谷崎の長編小説です。

古き良き時代の、たおやかな女性たちの姿が目に浮かぶような美しい日本語で書かれた小説です。古い時代の栄光からはなれられない姉たち二人。新しい世界に飛び出していく四女。そして、どちらにもなれず、悩む三女雪子。旧家に生まれた女だけの姉妹に特有な問題を描いています。

「細雪」のあらすじ・ストーリー

大阪船場の旧家、蒔岡家。かつては裕福な家でした。しかし、店も人手に渡ってしまいます。4人姉妹の名は、上から年の順に、鶴子、幸子、雪子、妙子。鶴子は本家の奥様で、銀行員を婿養子にとりました。次女、幸子は分家の奥様。夫は、計理士です。三女の雪子が見合いをすることになり話が始まります。

独身の妹の雪子と妙子は、二人の姉の家、本家と分家を行き来しています。三女の雪子の見合いは、これまでにもたくさん話がありました。しかし、裕福だったころの誇りがあって、すべて断ってしまっていました。末娘の四女の妙子は奔放な女性、男性と駆け落ちします。それが、雪子と間違って新聞記事として載ってしまいました。新聞記事は訴えにより、正しくは妙子だと訂正されます。

このことにより、雪子も妙子も、家全体が恥を負ってしまいました。妙子は、人形を作るようになります。一方、雪子の見合い相手の家は、遺伝する病気があるとわかります。

それでまた、見合いを断ってしまいます。雪子には再びほかの縁談がもちあがります。しかし次女の幸子が流産してしまい見合いは延期。やっと見合いが行われるが、雪子は、相手に亡くなった妻の仏壇を見せられ、デリカシーのなさに嫌気がさす。

四女の妙子は、妙子の人形を撮った、若い写真家の板倉という男と知り合う。水害の日、板倉は、洋裁学校にいた妙子を助け出した。妙子は、板倉に好意を持つようになるが、姉は板倉の出自が家にふさわしくないとして反対する。

妙子は洋品店を開こうとするが、板倉の病気で家にもどる。板倉は病で亡くなった。また雪子の縁談があるが、初めて相手から断られてしまった。妙子は、また駆け落ちした相手の奥畑と接近していた。雪子には、また縁談が来るが、雪子の内気な性格が災いして話は打ち切られてしまった。妙子は、三好というバアテンの子を宿したが死産だった。

しかし妙子は三好と結婚した。雪子は、年の離れた、公家華族の子爵と結婚することになる。縁談が決まったのに、雪子は楽しげではなかった。

「細雪」を読んだ感想

古い時代の美しい姉妹たちの話。少し前の日本では、どこにでもあった話ではないでしょうか。今でこそ、自由に恋愛し、結婚もできます。しかし、昔は、家や家格などのこだわりがあり、つりあえいのとれた家との結婚でないと許されませんでした。

この姉妹たちの一家のように、姉妹だけですと、余計あとつぎの問題、家の存続が問題になります。姉妹たちは、長女と次女が婿養子を迎えることができました。しかし三女と四女の縁談には苦戦を強いられます。もう時代が変わっていたことも影響しているでしょう。父親の代までは裕福だったので、姉たちは、その古い考えにとらわれたままです。

しかし、末娘は、一人、新しい世界を生きています。自分で才能をいかして働こうそします。今ではあたりまえの自由恋愛もとがめられてしまいますが、最後には自分の道を生きています。三女の雪子は四女の妙子ほど自由にはなれず、旧世界にとらわれたままです。そんな四人の生き方は、昔のことではなく、今も残っていることだと思いました。

女だけの姉妹の方は、共感できると思います。イギリスのドラマ、ダウントンアビーにも似た世界です。

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