読者が書いた「ナルダが教えてくれたこと」のあらすじと感想です。
読んだきっかけ
この本を読んだきっかけは、作者がベル&セバスチャンというバンドのメンバーだったからです。ベル&セバは、イギリスのポップバンドです。
メディアにはあまり出ませんでしたが、繊細な世界を表現しているバンドで何枚かアルバムがヒットしました。
どんな小説?
まさに、バンド、ベル&セバスチャンの世界を彷彿とさせるような、繊細な小説です。
ベル&セバスチャンの繊細な世界観が好きな人なら、読んで、いいと思うでしょう。子どもの時から自分の繊細さに悩んできたような人も共感できるかもしれません。
アダルトチルドレンの人たちにも共感されるかもしれないです。
あらすじ
主人公は青年です。青年の視点で書かれています。主人公は働いている大人ですが、繊細で、傷つきやすく大人しくナイーブなタイプ。読者に語りかけるような語り口は、子どものようです。
おとぎ話のような語り口で話は進められます。敏感で繊細な子どもの心を持ち続けている青年。
青年は、子どもの頃、ナルダという、叔母さんに育てられました。そして、ナルダから、あることを教えられます。
青年は、そのことを、ずっと本気で信じています。ナルダは、子どもだった青年に、たくさんのお話をきかせてくれました。ナルダは、精神を病んでしまい、青年のもとから去ってしまいました。
ですが、青年は、子どもの頃、叔母のナルダが教えてくれたことを、大人になっても、ずっと信じていたのです。
その秘密とは、青年のお腹の中に、最高のダイヤがあると、いう話でした。そのせいで、青年は、みんながダイヤを狙っているのだと思ってしまいます。
自分に近づいてくる人間は、ダイヤを狙っているのかもしれないと疑ってしまうのです。いつも、板をお腹にくくりつけて警戒しています。そんな風に、青年はいつも、秘密が暴かれる恐怖におびえて生きています。
ですから、人を信じることができません。しかし、青年は病院の庭師の仕事で少しずつ友達ができていきます。やがて青年は、友情や愛を知ることになります。そして、青年は、ついに長年の秘密の呪縛から解き放たれようとします。
しかし、結局、青年は普通の幸福を拒否してしまいました。小さいころのお話を信じてしまい、それを、嘘だと思うことができませんでした。
青年は、最後まで本名すらわかりません。孤独に、彼は、彼なりの希望を持ってこれからも生きていく道を選びました。子どもの頃の教えを、ずっと忘れられず、妄信してしまったことを、変えることができませんでした。
読んだ感想
結末に切なくなってしまいます。しかし、アダルト・チルドレンの概念を知っている方、または、ご自身がアダルト・チルドレンかもしれない、そうであると自覚している方には、ささる物語だと思います。
青年は、実際の年齢より幼い思考や語り口をもっています。しかし、それは、このような育ち方の青年、あるいは、このようなタイプの青年としては、普通のことだと私は思います。
私は、少しも不自然さを感じませんでした。それに、この物語は、たとえ話でもあります。物語を、そのまま受け取ってしまうタイプの方は、つまらない、合わないと感じるかもしれません。
なので、ベル&セバスチャンの音楽が好きな方は、合うと思うのです。少しファンタジックな、子どもの世界のような、切なく、残酷で、優しい、繊細な世界観。そんな世界に触れたい方には、読んでみる価値があると思います。
Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。
その他の電子書籍サイトでも「ナルダが教えてくれたこと」の電子版は読むことができません。
honto では、紙の本を購入することができます。