「少女椿」見世物小屋の芸人にさせられた少女のマンガ【あらすじ・感想】

「少女椿」がどのような作品なのか、読者によるマンガのあらすじと感想です。


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「少女椿」はどんなマンガ?

少女椿は、昭和時代に発表された丸尾末広による漫画作品です。単行本は全1巻、全8話で構成されています。貧しい家に生まれ育った少女が、親と死に別れ、見世物小屋にさらわれ、苦しい思いをし続けるという非常に壮絶なストーリーになっています。

「少女椿」のあらすじ・ストーリー

主人公・みどりは12歳の女の子。家が貧しいため学校にも通えず、唯一一緒に暮らしていた母も死に、孤児となっていたところを、見世物小屋の男に甘い言葉で誘われ、気が付けば見世物小屋の芸人にさせられていました。

見世物小屋には、生まれつき異形の人間や、両腕がない男、火を噴く芸を持つ少年や蛇使いの女などがいます。しかし、普通の少女であったみどりには当然、客に披露できる芸はありません。そこでみどりは、客に披露できる見世物らしい芸を身につけさせられるため、動物の血を飲まされり、豚の内臓を口に入れろと命令されたり、散々な目に遭います。

一番の下っ端だから、当然上等な部屋や着物は用意してもらえません。与えられた下働きも山ほどあります。芸人たちからは、芸とは関係ないひどい仕打ちも受け続けます。

そんな生活の中で消耗していくみどりの前に、ある日、人間業とは思えない不思議な芸を持った男・ワンダー正光が登場します。彼は見世物小屋に入るやいなや、一躍一座の花形へと昇り詰めました。そして彼は、自分のアシスタント役としてみどりを指名するのです。

ワンダー正光のはからいで弱い立場ではなくなり、またワンダー正光と恋仲になることで人に寄りかかれるようにもなったみどりは、つかの間の幸福と平穏を手にします。

しかしワンダー正光は、みどりに対してしだいに異常な執着心を見せ始めるのです。そんな中、芸の最中に問題を起こしたワンダー正光は、一座を辞めることに。そして、稼ぎ頭を失った親方が金を持って失踪したことで、一座は解散することになりました。

みどりとワンダー正光は、共にどこか別の土地へ行くことに。これでようやく、みどりにも平穏な日々が訪れるかと思いきや…最後に偶然の出来事が、みどりの未来を奪ってしまうのです。

「少女椿」を読んだ感想

この作品は、グロテスクで、救いがなく、ひたすらにみどりちゃんがかわいそうな漫画です。しかし、不思議と強く惹かれてしまう、不思議な魔力を持っています。レトロさと精密さを併せ持った、美しい(しかし美しいだけではない)絵柄のせいもあるかもしれません。

あるいは、卓越した表現力のなせる業かもしれません。特に心理描写が優れています。心理描写と現実の描写との境目が無いのがこの作品の特徴で、だからこそ心理描写が真に迫っており、読む人の心を鷲掴みにするのです。

特にクライマックスは秀逸の一言。この作品のクライマックスには様々な解釈がありますが、私はみどりがバスを見送った以降の描写はすべて心理描写だと思っています。小さな女の子を襲った激しい不安、怒り、絶望感、そして虚無感…それらすべてがラスト数ページに凝縮されているさまは圧巻です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「少女椿」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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