あらすじ&感想「外科室」はかなく美しい泉鏡花の短編小説

「外科室」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

短編小説「外科室」はどんな小説?

泉鏡花は明治6年生まれの幻想文学の先駆者とも言われる小説家です。「外科室」は明治28年に『文芸?楽部』に掲載された作品で、「夜行巡査」という作品と共に、彼を人気作家に押し上げた作品です。

彼の作品には独特なロマンティシズムがあります。この「外科室」は「夜行巡査」よりはグロテスクな感じが少なく、より耽美的な作品です。初めて泉鏡花の作品を読む人や中学生・高校生には、「夜行巡査」よりもこちらの作品の方が入っていきやすいと思います。

ちなみに、坂東玉三郎さんが初監督をされた映画の原作としても有名です。その時は貴船伯爵夫人を吉永小百合さん、高峰医師を加藤雅也さんが演じました。原作にアレンジを加えてあるものの、原作の雰囲気を本当によく表現されていたように思います。

「外科室」のあらすじ

高峰医師は外科手術の名医として知られています。物語は高峰の友人の画家である「私」を通して語られます。

ある日、その高峰の元に、貴船伯爵夫人が患者として来て、手術を受けることになりました。夫人は手術を受けるのには同意したものの、麻酔薬を打たずに手術を受けると言います。

なぜかと聞くと、麻酔薬を打つと心に秘めたうわ言を言ってしまうため「私には誰にも知られたくない秘密があるから麻酔薬を打たずに治療できないのなら死んだ方がましだ」と言います。

色々な人からの説得にも応じない夫人に高峰は麻酔薬なしでの手術をすることにします。手術を始めても夫人は微動だにしませんでしたが、突然、夫人はメスを持つ高峰の手をとり起き上がり、そのメスで胸を刺し、「貴方は私を知りますまい」と高峰に言い命を絶ちます。それに対し、高峰は「忘れません」と答え、夫人の後を追うようにその日の夜、自殺してしまいます。

「外科室」の感想

外科室は上と下があり、あらすじで書いたところが上に書かれていることです。

下にはこのことが起こった理由のようなものが語られています。実は高峰と夫人は9年前に一度だけ、すれ違っており、お互いずっと想いあっていました。

一度だけすれ違っただけで?と思いますが、そこは小説です。現実にはあり得ないことでも、そんなことがあったのかと妙に納得させられます。あり得ないと思うのは、作品が発表された当時からある感想のようです。

作品が発表された明治28年は日清講和条約が結ばれ、台湾などを領有することが決まった年です。日本が世界大戦への道を進む中、まだ日本に淡くはかなく穏やかな時間があったことを感じさせる作品でもあります。

とにかく美しい作品。高峰と夫人が出会ったツツジの季節になると読みたくなる作品です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

泉鏡花の小説「外科室」と、ホノジロトヲジの描き下ろしイラストのコラボレーション作品で、小説としても画集としても楽しめる一冊。

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