「翼 cry for the moon」悲劇と自然の救いの物語

「」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「翼 cry for the moon」を読んだきっかけ

本書は初めて自分で買った文庫本です。 本屋の本棚で一際青い表紙が目に付きました。 まだ中学生で本を普段読めない普通の学生でしたが、本書を開いて、目に付いた文章はとても読みやすく、そして先が気になる内容でした。

どんな小説?

本書は著者 村山由佳さんが2002年に集英社文庫で出版した作品です。 村山由佳さんの作品は甘くひんやりとした恋愛小説が多くいですが、本作は全体を通して少し暗い内容です。

外国人の婚約者を亡くした日本人の真冬は、亡くした婚約者ラリーと住んでいたニューヨークを彼の三歳になる連れ子と共に離れ、ラリーの故郷へと向かいます。

あらすじ

ニューヨーク大学の大学院生の篠崎真冬は小さい頃に父親の自殺に遭遇し、そのトラウマからカウンセリングに通っていました。しかし、彼女の深い心の傷には他の原因がありました。

真冬は母親から言葉の暴力を受けていた過去がありました。 真冬はニューヨークに住み、周囲にはマフィーという愛称で呼ばれています。 マフィーは友達と一軒の家の部屋を分け、ルームシェアをしていました。

カウンセリングを終えたマフィーは、ニューヨーク大学の教授ラリーと待ち合わせをして、外食に行きます。 ラリーはマフィーの恋人です。 先に待ち合わせ場所に到着していたマフィーは三歳になるティムと手をつないで現れたラリーと合流します。

ラリーのプロポーズを受け、婚約をしたマフィーはルームシェア友達たちに祝福された結婚式を遂げました。 結婚式にはラリーの両親と弟なども参列していました。 結婚式の終わりに、マフィーとラリーはティムを連れてドライブをします。

ティムの希望でハンバーガーショップに到着した新郎新婦、新郎のラリーが車にマフィーとティムを残して、ハンバーガーを買いに行きます。

しかし、その直後、ハンバーガーショップは事件の渦中になるのでした。 銃撃の後、車にティムを残して、マフィーは必死にラリーを探します。 マフィーが発見したラリーは致命傷でした。 ラリーは最後にマフィーにこう言います。 「決して、自分を責めるんじゃない」 マフィーが母親から受けていた暴力の言葉は「お前に近づく者はみんな不幸になるんだわ」でした。

マフィーとティムはラリーの父と弟と、彼らの家、ラリーの実家であり故郷のアリゾナに向かいます。 ラリーの葬儀はアリゾナで行われる予定だったのです。

読んだ感想

始まりはニューヨークの物語でした。 新郎新婦に訪れた悲劇、ラリーの息子のティムの悲劇、大自然に溢れるアリゾナでの悲劇、度重なる悲劇は真冬にとっては慣れたものだったかもしれません。

悲しいことばかりが身の回りに起こる真冬・マフィーは母親の呪縛のような言葉のような人生でした。 そこでやっと訪れた祝福の時も、壊れてしまいました。 マフィーにはラリーの息子のティムがいます。

そして、ラリーが残した「自分を責めるんじゃない」という言葉もありました。 ラリーがはやくマフィーに紹介したいと言った弟とティムが打ち解け合う様子、自然がティムの心の傷を癒していく描写がとても繊細な作品でした。

また、マフィーもラリーが紹介したがっていた弟に救われます。 全ての悲劇が解説したからといって、悲劇が無かったことにはなりません。そんな、さみしさが残る作品です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「翼 cry for the moon」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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