「ボダ子」東北の被災地で土木業を営む父、ボランティアを行う境界性人格障害の娘の物語

「ボダ子」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「ボダ子」を読んだきっかけ

赤松利市さんの「藻屑蟹」が大藪春彦新人賞を受賞したので、それ以来興味を持って著作を読んでいます。毎回、様々なテーマを扱った小説を書いていますが、外れの無い作家さんです。

どんな小説?

関西に住む主人公は自分の会社が上手くいかなくなったので、境界性人格障害の娘さんを連れて東北の被災地に移り住んで共に暮らし始め、本人はそこで土木の仕事をして、娘さんはボランティアを始めますが、そこから仕事でも娘さんの事でも様々なことが起きてきます。

あらすじ

主人公の大西浩平はゴルフ場のメンテナンスを請け負う会社をしていましたが、娘さんが境界性人格障害で様々な問題行動をするので、兵庫で共に暮らして何とかしようとしますが、その分仕事を減らさざるを得ません。

そのため部下の社員たちは担当している仕事を持って離れて行き、大西一人では大した売り上げにもならなくなります。知り合いの土木の会社の社長が、息子の専務が東北の被災地に仕事がないかを探しに行くので、営業部長として同行することを提案され、ともに東北に行きます。

娘さんは一人にしておけないので東北のアパートで共に暮らすことにします。 大西は土木の復興の仕事を見つけ契約までもっていきますが、土木の現場は作業員の人数で支払われる額が決まるので、大西自身も現場で土木工事に携わります。

会社経営の経験はあっても土木工事の経験はない大西なので、何かと邪魔になるため、作業員たちからいじめられます。 それでも専務と共に作業員たちの給与をピンハネしているので、専務には文句を言えません。

娘さんは被災者支援のNPOでボランティアを始めますが、運営する人たちは恵まれた人たちなので、境界性人格障害の娘さんの事を本人達の苦労も知らずに「ボダ子」というふざけたニックネームで呼び、さらに他のボランティアたちは東京で食い詰めてきた人たちなので、怪しい人が多く、大西も心配になってきます。

しかし娘さん本人は、被災者への「傾聴ボランティア」を気に入っているようなので、辞めるようにも言えません。 それでも大西は地元の役所に津波対策の施設の新規の大きな案件を提案し、大金をつかもうと一発逆転を狙います。しかし個人にとっては規模も金額も大きな大西の案件も、地元の役所や大手ゼネコンからすると、大きな復興計画の一部にしか過ぎないので、なかなか話が進まないのでした。

読んだ感想

震災後、何かと話題になる東北の復興事業ですが、実際の土木の現場や、役所と企業の関係、さらに被災者支援のNPOなどについてはなかなか知る機会がない事ですが、実際に携わった著者が小説の形で著わしてくれているので、興味深く読みました。

今後もこの小説で書かれているように、復興事業が続くと様々なところに国の予算が投入されるようですが、それによる様々な影響もいろいろと起きてくるのでしょう。

いかに箱モノ重視の復興事業の効率が悪いかがよく解ります。巨額の予算が付いていますが、多くが大手ゼネコンと関係者の利益として持っていかれるということがよく解る内容でした。

さらに、被災者支援の様々な団体がありますが、震災後に始めた団体が多く、知識と経験がないために、いろいろな弊害が起きているようです。善意のボランティアとして来る人にも、様々な人が居て、何かボランティア同士で問題が起きても対応する責任感さえないところも実際に多いのかもしれません。

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