「利休にたずねよ」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「利休にたずねよ」はどんな小説?
「利休にたずねよ」は、著者「山本兼一」の千利休を題材とした時代小説です。第140回直木賞を受賞しています。
物語は利休の切腹の日の朝から始まり日付をどんどん遡っていきます。その中で、利休の美についての思いに触れていくのです。
日本人の美というのがこの一冊に詰まっていると言っても過言ではないでしょう。豪華絢爛も良いものですが、日本人独自のわびさびの良さを再確認出来る小説です。
千利休という茶人の美に対する思いもありながら、若き日の恋から冷めることなく死んでいった千利休のラブストーリーとも読むことも出来るでしょう。
「利休にたずねよ」のあらすじ
誰もが知っているであろう茶人「千利休」、物語は彼が切腹する朝から始まります。
天下人豊臣秀吉の命により切腹を賜った利休は妻・宗恩に「わたくしよりお好きな女人が、おいでだったのではございませんか」と聞かれます。利休はいつもこころのなかに棲んでいる女。十九のとき殺した女を思い出しました。
美しい高麗の女は彼の初恋の人であり、利休が茶道へと深く進んだきっかけとなった女でもあります。女の形見である緑釉の香合は見る者全てを魅了しました。
利休と関わりのあった者達の一人称語りで物語は進みます。利休切腹の朝から過去へ過去へ、利休の絶対的な美の根幹を探っていくのです。
「利休にたずねよ」を読んだ感想
一言で言えば美しい小説でした。静かにわびさびを知ることの出来る物語です。
命を落とすと分かっていながら豊臣秀吉に額ずく事をしなかった利休のかっこよさ、そして美への熱く、誇り高い思い。これを少しでものぞき見ることの出来たのは私の人生において幸運なことでしょう。
400ページ越えという長い小説なのに、息つく暇も無く、只々飲み込まれるように読み切りました。
特に印象に残ったシーンは利休が初恋の人を殺す場面です。
今までいろいろな人の視点からある種、美の化け物のように畏怖の念を込めて見られていた利休がこのシーンでは恋する人を救えなかった、死におびえ一緒に死ぬことの出来なかった、ただの若造として書かれているのです。
それまで利休の目から美しい女として見られていた高麗の女が、毒を飲んで死ぬときには目を剥きのたうちまわり、痙攣する。今までの美しさが一気に崩れた描写には心から震えました。
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