「転校生」転校先の学校で奇怪で怖い体験【あらすじ・感想】

「転校生」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「転校生」を読んだきっかけ

この本を知ったのは、小学生の時でした。当時私は、サウンドのベル形式のSFCソフト「学校であった怖い話」というゲームをやりこんでいました。そのゲームの攻略本の巻末に、学校を舞台にした怖い話の小説のひとつとして、この本が紹介されていたのを見て、興味を引かれて読むことにしました。

どんな小説?

「転校生」は、平成5年に角川ホラー文庫から出版された小説です。著者は森真沙子で、後に「真夜中の時間割ー転校生2-」、「水域(アクエリアス)―転校生〈3〉」という続編も出版されました。

家庭の事情で転校を繰り返す美貌の女子高生・有本咲子が、行く先々の学校で出会う不思議な事件を描いたオムニバス形式の小説です。シリーズ1作目である「転校生」では、理化室・美術室・音楽室・図書室・寄宿舎を舞台にした物語が登場します。

あらすじ

新しい学校の門をくぐるそのたびに、そこにうごめく「皆が親しく知っているのに、決して誰にも見えない者たち」の気配を感じる転校生、有本咲子。

ある学校に転校した際は、寂しさから伝言ダイヤルの住人となり、そのやりとりを介しながら理化室で虹を作る実験に没頭する少年の正体に迫る不可思議な事件に巻き込まれました。別のある学校では、樹下遊楽図屏風という古い屏風を復元する部活動に打ち込む傍らで、仲良くなったとある女生徒の奇妙な失踪事件を追うことになりました。

音楽祭に参加することになったとある学校の音楽室では、美しい讃美歌の本を見つけましたが、実はその歌は過去に発生した惨劇の謎へとつながる禁じられた歌でもありました。図書室に通い詰めたある学校では、自殺したブックマニアの男子生徒が最後に読んだ本と出会います。

しかしそれは、自殺したその生徒が残した偽書であり、書物を楽しむという範疇を超えた行為に潜む魔物に危うく死へと誘われそうにもなりました。女子大と併設されている高校の寄宿舎では、美しいひとりの大学生と出会いましたが、彼女は女ともだちの愛と命を貪る魔物であり、魔物の次の器として乗り移られそうになったところを、すんでのところで救われることにもなりました。

このように、転校した先々の学校で、有本咲子は不可思議な事件と出会い、巻き込まれ、奇妙な体験を繰り返します。それらの事件を通じて、心を通わせた友人との別れを経験したり、ときには危うく死にかけるといった危険な目にも遭いながら、有本咲子は転校を繰り返します。新たな学校で、新たな友や恐怖と出会いながら、怖いだけではない不思議な体験を、有本咲子自身の視点から語る形で読者は知ることになります。

読んだ感想

学校の、それぞれの教室には怖い話がつきものでした。いわゆる「トイレの花子さん」のような怖い話が、大流行した世代の小学生だった私は、それぞれの教室で主人公が出会った数々の不思議な出来事が、強い衝撃を覚える内容ばかりだったことを今でも鮮明に思い出せます。

部活動や伝言ダイヤル、学園祭や音楽祭といった高校生らしい行事や単語、大人の世界を感じさせるキーワードの並ぶ物語は、その時点で未知の物語としてとても魅力的でした。さらに、そこで怖い体験が待ち構えており、主人公の視点から主人公と同じ歩調で、事件を追っていくことができるため、没入感が非常に高いと今でも感じます。

転校した経験のない私でも、見知らぬ学校に伝わる伝説や奇妙な事件の噂に触れることができ、それがさらなる恐怖の扉となる展開は、何度読んでも引き込まれてしまいます。また、そういった怪奇事件に、もっともらしい因縁や結果、後日談などがほとんど語られないことが、読後の良い余韻を残してくれていると感じます。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「転校生」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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