村上春樹の長編小説「騎士団長殺し」30才代半ばの肖像画家の物語

「騎士団長殺し」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「騎士団長殺し」を読んだきっかけ

1980年ごろの「羊をめぐる冒険」を読んで以来、私にとって大変な注目作家になった村上春樹氏。ハルキストと言われるくらいではありませんが、小説やエッセイなどほとんど読んでいるという、ハルキストではありませんが、注目作を多く読んでいます。「1Q84」や「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」などを読んでいます。

私にとっては、最も注目している作家で、「騎士団長殺し」については、2017年に新刊として出たころから気になっていたのですが、新刊から数年後の文庫本になってから、期待を持って読みました。

どんな小説?

村上春樹をよく読む人にとっては、おなじみの、人の無意識層に分け入った、ディープな世界を味わえます。

ストーリー展開も読ませますが、この人の無意識層、人の意識下にある、人の意識の底を掘り下げていくような、ちょっとドキドキの「エー、それでどうなるの?」といった読者にとっては油断できない展開を見せます。

村上春樹氏の、ある対談本によると、村上春樹さんは、「大昔、まだ文字もなかったくらいの原始時代のころに、物語を語り部がいたとして、その語り部が、洞窟の中で周りの人に、物語を即興で考えながらわくわくするような、物語を紡いでいった、というようなことを想定して、語っていった」というような話をしていて、原始の時代、洞窟の中で語り部が物語を話していったというようなこともあったであろうと考えているようです。

あらすじ

「私」は、30才代半ばの肖像画家。人から依頼を受けて、肖像画を描いて稼いで生活をしています。あるとき、「免色 渉」という人物から、依頼を受けて肖像画を描くことになります。免色 渉は、少し謎の人物で50歳代ぐらいですが、どうゆう仕事をしているか、どういう暮らしをしているかは謎です。

一方「私」も、最近夫人と離婚をして独り身ですが、ある著名な日本画家がかつて使っていた別荘を事情で借りて、肖像画を描く仕事をしながら暮らしています。屋根裏部屋にフクロウに誘われるように謎の日本画を発見します。

かつてその著名な日本画家が描いたであろうと推測される日本画は、西洋のオペラ(モーツァルトのオペラ)「ドン・ジョバンニ」を彷彿とさせるような題材で、騎士団長を殺してしまうドン・ジョバンニのその殺してしまう場面を日本画で描いているようです。

これには何の意味があるのか、どうして屋根裏に人目につかないように包装しておいてあるのか謎です。(これは、ストーリーのほんの一部分です。)

読んだ感想

まず、読後感が良かったです。「1Q84」を読んだ時には、非常にストーリー展開もおもしろく、グイグイ引っ張られて読んでゆき、めっぽう面白く読んでいきましたが、読後感はいまいちでした。読んでいるときは非常に面白かったのですが、読み終えたら、「エッ、これで終わり?」という何かあっけないような終わり方でした。しかし、「騎士団長殺し」は、最後のほうで東日本大震災のことも織り込まれていて、なにか希望を感じさせるような展開で終わります。

私は、小説等読むとき、読後感をたいせつと思っています。ストーリー展開といい、読ませる文体といい、非常におもしろい小説でした。満足度100点満点に近いです。「羊をめぐる冒険」とならぶ名作と思います。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「騎士団長殺し」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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