「スロウハイツの神様」アパートでの共同生活。読み終わったときに温かい気持ちになります

「スロウハイツの神様」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「スロウハイツの神様」を読んだきっかけ

辻村深月の『ぼくのメジャースプーン』という作品を初めて読んだときから辻村深月にハマり、初期の長編小説から順にすべて購入していました。この小説もきっと面白いはずと思い手に取ったのがきっかけで読み始めました。読んだのは7~8年前になりますが、今でも心に残っている作品です。

どんな小説?

この小説はアパート『スロウハイツ』で共同生活を送る若者の日常を描いた作品です。作家や脚本家、漫画家等主に出版関係で働く人達が住んでおり、主人公の赤羽環は脚本家として働いているスロウハイツの家主です。

それぞれ夢や事情を抱えたスロウハイツの住人達は家主である環との面談により入居できるかどうかが決まり、夢や目標を抱えながら仲良く暮らしているところから物語は始まります。

あらすじ

序盤はそれぞれのキャラクター紹介のような内容になっています。主人公の環は、スロウハイツで暮らすチヨダコーキのファンでありますが、だらしないコーキに対しテキパキと世話を焼くしっかりとした強い女性な印象です。

物語の要となるチヨダコーキは人気作家ですが、過去のある事件がきっかけで一時期執筆ができない時期がありました。ですが、あるファンからの熱心な応援で再び執筆活動を再開しています。環とコーキは仕事で出会いますが、初対面でコーキから『お久しぶりです』と言われたことを環は根に持っています。

仲良く暮らしていたスロウハイツの住人達ですが、小説家の加々美莉々亜が入居してきてから、コーキの小説のアイディアが盗まれたり、莉々亜が環の事を嘘つき呼ばわりしたり、スロウハイツ内がぎくしゃくするような出来事が起こり始めます。後に、コーキのアイディアを盗んでいたのは莉々亜だったことが判明します。

そして最終章では、コーキの過去が明らかになります。執筆活動ができなくなった時期に再び執筆を再開させようと決意したきっかけは環からの応援によるものでした。その恩返しをしたいと思い、コーキは環にバレないように陰ながら環を支えていたのでした。

そのため、環との初対面で『お久しぶりです』と行ったのはコーキにとっては本当に『お久しぶり』だったからです。その他にも、コーキが実は裏で環のために動いていたエピソードが語られ伏線が回収されるというストーリーになっています。

読んだ感想

読み終わった感想として、上下巻あり長い作品になっていますが、ぜひ最後まで読んでほしいと思います。前半で何気なく出てきたエピソードが伏線となっており最終的にはそれらが綺麗に回収されます。

上手い、面白い、素晴らしい、何と表現してよいか分かりませんが読んでみて良かったと素直に思える作品です。前半(特に上巻)はそこまでアップダウンのない話が続くので、個人的には少し期待外れかなと思ってしまっていましたが、後半に行くにつれて次が気になって止まらなくなります。

何となくクールで他人に興味のなさそうなコーキに対し、赤羽環の思いが一方的なまま話が終わってしまうのかなと感じていましたが、終盤に過去のエピソードが出てきたところで、相思相愛で愛情溢れる関係だったということが分かりとても温かい気持ちになりました。

結末を知った後に読み返してみると納得する部分も出てきて何度でも楽しめます。このお話のその後も気になるので、続編を書いてほしいくらいです。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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