「火車」カードローンの借金返済の苦しみがテーマとなるミステリー。弁護士の解説で返済地獄を知ることもできる

「火車」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「火車」を読んだきっかけ

大沢在昌さんの小説をよく読んでいたのですが、同じオフィスに宮部みゆきさんがいることを知り、宮部さんの小説も読んでみようと思いました。女性作家がどんな小説を書いているのかにも興味がありました。

どんな小説?

カードローンの借金返済で苦しんでいる人が出てきますが、借金返済の苦しみが大きなテーマになっています。そして、逃げ出して身分を偽る人を追いかけることが、ストーリーの中心になっています。

カードローンの借金返済地獄に関しては、弁護士が出てきて、かなり詳しく掘り下げて話しています。

あらすじ

主人公で刑事の本間俊介は、事件で足に大怪我をして休職していました。本間は小学生の子供と東京で二人暮らしで、近所の井坂が本間と子供の面倒を見てくれていました。

そして、そろそろ仕事に復帰しようとしていたときに、親戚の栗坂和也から連絡があります。和也は、婚約者の関根彰子が失踪したので本間に探してほしいと頼みます。

関根彰子は自己破産した経験があり、それを和也が問い詰めるといきなり失踪したのです。本間は刑事であることを隠して、彰子の関係者から話を聞きますが、彰子は自己破産したことを周りに巧妙に隠していました。

本間は、彰子が自己破産した時に相談した弁護士事務所を尋ねますが、そこでカードローンの借金返済に関する社会問題をかなり詳しく知ることになりました。そして彰子の素性を探っていくと、実は別の女性が彰子の身分を乗っ取っていることが分かってきます。

しかし、どんな女性が彰子の身分を名乗っていたのかは、調べても中々真相に辿りつきません。そこで本間は、まず関根彰子がどんな人物か調べることを始めて、彰子の故郷である宇都宮に行くことになりました。

彰子の故郷の宇都宮では、彰子の母親が階段から不審な転落死をしていたことが分かります。さらに彰子の情報を調べる本間ですが、彰子の親族は母親以外におらず、情報があまりありません。

困った本間ですが、近くの自動車整備工場に行くと、彰子の幼なじみで同級生の本多保と知り合います。保は、母親と2人暮らしだった彰子をとても心配しており、本間に全面的に協力すると言い出します。保を信頼できると思った本間は、自分が刑事であることを明かします。

本間と保は、地元の宇都宮の刑事と、彰子の母親が転落死した階段を訪れますが、さらに保は、東京に出て、彰子のことを調べたいと本間に頼みます。

読んだ感想

この小説が出た頃は、世の中の多くの人がクレジットカードを持つようになっていました。また、それと同時にカードローンで借金を抱える人が増えて、社会問題にもなっていました。小説では、そうした社会状況が大きなテーマになっています。

作中の弁護士さんは、カードローンの借金地獄は特に若い人に多いことをかなり詳しく説明しており、読者としては人ごとではない恐怖を感じます。これは、作中から20年以上経った今でも社会問題なのです。

話は、自己破産した関根彰子とその身分を乗っ取った女性を追いかけるのですが、その女性がなかなか見つからず出てきません。

しかし、目的の女性は見つからないのですが、その女性の人生と周りの人間関係が詳細に出てきて、見つからない女性に対して、ハラハラした気分にさせられます。サスペンスとしてかなり見応えがあります。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「火車」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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