「獄門島」金田一耕助シリーズ【あらすじ・感想】

「獄門島」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「獄門島」を読んだきっかけ

推理小説が好きで、中でも横溝正史氏の作品が大好きでした。氏の代表作とも言える金田一耕助シリーズは夢中になって読みふけりました。なので、シリーズ第3作目となる「獄門島」も書店で見かけてすぐに購入、完読しました。

どんな小説?

戦後まもなくの封建的な島で巻き起こった連続殺人事件の真相を、金田一耕助が解き明かす物語です。

戦争という悲劇が終ってもなお、その爪痕が色濃く残る、戦争さえなければ起こらなかったであろう惨劇に心が痛みます。

また、作者の横溝正史氏が得意とする見立て殺人の作りこまれ方が素晴らしい作品です。

あらすじ

終戦後1年、金田一耕助は復員船で「俺が戻らねば3人の妹達が殺される」そう言い残し亡くなった、戦友の鬼頭千万太の最後の頼みを聞くために、千万太の故郷、獄門島へ向かう船の中にいました。

訪れた本鬼頭で金田一が出会ったのは、千万太の異母妹の月代、雪江、花子の3人娘、一の妹の早苗です。当主の与三松は気がふれているという事で座敷牢に監禁され、早苗が面倒を見ているのだと言います。

千万太の葬儀の最中、花子の姿が見えなくなり、皆で探しますが、千光寺の庭の梅に足を帯で縛られ、逆さに吊るされた花子の遺体が発見されます。

千万太の最後の言葉を思い出し、残る2人の妹達の身を案じる金田一でしたが、駐在に不審者と目され、留置場に入れられてしまい、その間に第2の殺人が起きてしまいました。

被害者は雪江、寺に運ばれる途中の崖の上に置かれていた釣鐘の中に、殺されて押し込められていました。 その後さらに、一つやと呼ばれる本鬼頭の敷地内にある祈祷所で月代が殺され、その上には萩の花が乗せられていました。

先代の本鬼頭当主、嘉右衛門が残した屏風に書かれた3つの俳句から、この連続殺人事件が屏風に書かれた「鶯の身を逆さまに初音かな」「むざんやな兜の下のきりぎりす」「一つ家に遊女も寝たりはぎと月」の3つの句の見立て殺人だと気が付いた金田一はこの事件の実行犯とこの殺人を企てた者を推理します。

全ての企てが終わった時、実行犯3人は発狂、逃亡、そして憤死という結末を迎える事となりました。

この殺人は起きないはずであったのです。 様々な偶然が重なりあい、悲劇が生まれてしまったのでした。

読んだ感想

金田一シリーズの中でも、犯人が被害者に恨みなどを持っていたわけでもなく、本来なら起こらなかったはずの事件が、復員詐欺という軽い気持ちで行われた犯罪によって引き起こされたという悲劇的なストーリーが心に刺さりました。

小さな嘘が取り返しの付かない事態を引き起こす事もあるという戒めが込められているようにも感じます。 そしてなんと言っても俳句に見立てた殺人が強く印象に残りました。不謹慎ではありますが、死を美しく演出するという見立ては見どころのひとつになっています。

犬神家などの様な陰惨な感じの見立てと違い、あくまで美しい見立てに惹き込まれました。

しかし、金田一が俳句の見立てだと気づいた時の、衝撃を受け言い知れぬ悲しみに包まれた心情が痛いほど伝わり、とても切なかったです。

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