「蜜蜂と遠雷」ピアノコンクールを題材にした小説【あらすじ・感想】

「蜜蜂と遠雷」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「蜜蜂と遠雷」を読んだきっかけ

「ピアノコンクールを題材にした作品が直木賞を受賞した」と聞いたときから、この作品にはとても興味がありました。

それは、自分自身が長くピアノを続けてきたからです。しかも上下巻の大作ともなると、読まずにはいられない。そのくらいの強い興味を感じて手に取りました。

どんな小説?

「蜜蜂と遠雷」は、国際ピアノコンクールを題材にした作品です。作品中では、架空のコンクールが舞台となっていますが、作者の恩田陸さんは、実際に浜松で行われている国際ピアノコンクールに何度も足を運び、取材に10年以上の歳月をかけたそうです。

また、執筆には7年もかかっていることから、いかに本気で音楽と向き合って生み出された作品かがわかります。たびたび直木賞にノミネートされていた恩田さんが、悲願の受賞を果たした記念すべき作品です。

あらすじ

「芳ヶ江国際ピアノコンクール」は3年ごとに開催される、ピアノ界の登竜門となる重要なコンクール。このコンクールに挑む個性豊かな4人の登場人物たちの闘いが描かれていきます。

風間塵は養蜂家の父を持つ16歳の少年。ピアノが自宅になく誰からも教わっていませんが、自在に弾きこなしてしまう天性の才能を持っています。世界的に有名なピアニストにも認められるほどの実力です。

栄伝亜夜は幼い頃から天才少女と話題になり、国内外のジュニアコンクールで成績を残してきました。CDデビューも果たすほどの実力だったものの、13歳のときの母親を亡くして以降、長らくピアノが弾けなかったという過去を持ちます。20歳にして再起をかけたコンクールに挑戦することとなります。

高島明石は音大出身の28歳。コンクールの年齢制限から、挑戦できる最後の年に当たります。楽器店勤務のサラリーマンでありながら、音楽への情熱を捨てきれず、妻の応援も受けてラストチャンスをかけて闘います。

マサル・C・レヴィ=アナトールは名門ジュリアード音楽院(実在するアメリカの音楽院)で学ぶ19歳。演奏技術もさることながら、表現力にも富んでおり、優勝候補とささやかれる存在です。実は栄伝亜夜の幼馴染でもあるという重要な人物。

彼ら以外にも、世界各国から集まった新進気鋭のピアニストたちが、静かな闘いを繰り広げます。第1次から3次までの予選を勝ち進み、最終の本選で優勝を手にする者は誰なのか。

作品中では、ショパンなどの実在する音楽家の楽曲がたびたび用いられ、その演奏の様子が多彩に表現されています。コンクールの裏で数々の人間ドラマも含めて、最後までに手に汗握る展開。大作ではありますが、テンポよく読み進めていくことができる、疾走感のある作品です。

読んだ感想

音楽小説だからと侮ることなかれ。読み始めると一気に世界観に引き込まれます。音楽をやっていない人でも楽しめるであろう豊かな描写や人間味のあるストーリーが印象的でした。

何よりも、コンクール特有の緊張感が言葉を通じて伝わってくるところは、さすが直木賞作家。読んでいるこちらも、コンクールの観客となった気持ちを味わえます。

きっとそれは、恩田さんが構想・取材に長い時間をかけて丁寧に紡ぎだしてきたからこそ。ピアノという単純な楽器をめぐって繰り広げられるドラマが、想像以上に深く熾烈であることが伺える、本当にリアリティーあふれる作品です。

誰が優勝するのか?それぞれがどんな選択をするのか?先が気になって一気に読み進められること間違いなしの名作です。

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