「殺人犯はそこにいる」幼女誘拐殺人事件の真相を追った渾身のルポルタージュ

「殺人犯はそこにいる」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「殺人犯はそこにいる」を読んだきっかけ

本屋さんをウロウロしていて見つけました。書店員さんの「ぜひ読んで欲しい」という力のこもったポップと、見るからに奇妙で穏やかではない特製カバーに興味を持ち、購入しました。

どんな小説?

日本テレビ報道局記者であり、桶川ストーカー殺人事件をスクープした清水潔氏が、1979年から北関東で連続して起きた5件の幼女誘拐殺人事件の真相を追った渾身のルポルタージュです。

調査報道のバイブルと絶賛された本書は、司法や世論を大きく動かす正義の書です。

あらすじ

一連の事件は、1979年栃木県で行方不明となった5歳の女児が遺体となって発見されたことから端を発します。その後1996年までの17年間に栃木県と群馬県で相次いで幼女が誘拐殺害されます。犯行の手口は類似しており、同一犯による犯行とされていました。

4件目の事件発生後に被疑者の男性が逮捕されます。しかし被疑者逮捕後も同様の事件が起きたことから、事件記者である筆者の清水潔氏は冤罪を疑い、徹底的な取材・調査によってそれを証明します。当時、犯人とされていた菅家利和さんが釈放された、有名な足利事件です。

当時の捜査の決め手となったDNA鑑定がいかに杜撰なものであったのか、密室での取調べがいかに酷いものであったのかが次々に明かされていきます。

さらに筆者は、真犯人までをも特定していきます。被害者遺族や、目撃者への真摯で緻密な取材を通して、少しづつ少しづつ、しかし確実に真犯人に迫っていくのです。

はじめはモヤがかかったように輪郭が掴めない犯人像ですが、筆者の追跡によって徐々にその姿がクリアになっていき、ついに生身の人間として、読者の前に姿を現します。

その男、「ルパン」は果たしてどんな人物なのか?

筆者はルパンの人物像、行動を追い、彼こそが真犯人であると確信します。

そして氏名と住所を突き止め、実際に本人と対峙します。

男はいったい何を語ったのか? 筆者は、これらの情報を捜査当局に提供しています。ここまで真犯人に迫っていながら、何故警察は動かないのか?捜査は進展しないのか?という点にも言及しています。

この事件が闇に葬られる理由、権力は誰の味方か、そして報道とは何のために存在するのか?全ての日本人に訴えかける渾身のルポルタージュです。

読んだ感想

未解決事件を追うテレビ番組で、北関東幼女誘拐殺人事件については知っていました。足利事件の冤罪が証明され、釈放された菅家さんについても、当時の報道で知っていました。

しかし、「では真犯人は?」という点について、どれだけ警察が捜査しているか、どれだけ世論が興味を抱いているかは置き去りになっていたように思います。

本書を読んで、清水潔氏の「絶対に犯人を野放しにさせない」という執念、ジャーナリスト魂に心から感服しました。警察の闇、捜査の問題点、報道の在り方など改めて深く考えさせられました。

警察はただただ愚直に正義の組織であって欲しい、ここまで真相に迫っているので、必ずや真犯人を裁いて欲しい、そう切に願います。

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