「死神刑事」裁判で無罪になった事件を調べなおす刑事・儀藤の活躍を描く短編集【あらすじ・感想】

「死神刑事」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「死神刑事」を読んだきっかけ

図書館で著書を見つけ、面白そうだなと思ったことが切欠です。元々ミステリー小説が好きで、大倉さんの著書もいくつか読んでいて面白いと思っていたので、迷わす手に取りました。。

どんな小説?

警視庁内で、逮捕された犯人が裁判で無罪になった事件を調べなおす刑事・儀藤の活躍を描く短編集。

毎回違う警官が彼の相棒として指名され、その相棒の目線で物語は進んでいきます。警察内で死神という綽名がつけられている不気味な存在である儀藤に対する相棒の目線が、物語が進んでいくにつれて変化していく様が心地よいです。

あらすじ

警視庁内で、逮捕された犯人が裁判で無罪になった事件を調べなおし、真犯人を突き止めることを生業にしている刑事・儀藤。彼は、担当する事件が決まると、その事件に実際に関わった警官を一人指名し、臨時の相棒として共に捜査を進めていきます。

警察の汚点ともいえる冤罪事件をほじくり返す儀藤の相棒に指定された警官は、相棒から解放された後も周囲からは白い目で見られ、出世も望めなくなってしまうため、警視庁内で儀藤についた綽名は死神です。

この物語は、そんな死神の活躍する4編の短編が収録されており、全て儀藤の相棒に名指しされた警官目線で物語が進んでいくため、毎回視点が異なっています。

1話目、「死神の目」は、富豪であった星乃洋太郎氏が殺害された事件。お金に困っていた甥・星乃礼人が逮捕されるも、1年後に無罪判決が下されます。儀藤と相棒に指名された大邊は再捜査を始めますが、個人の姪にあたる星乃佐智子氏の様子はどこかおかしくて…。

2話目は、「死神の手」。夫である波多野一をひき殺して逮捕された妻・波多野百合恵に無罪判決が言い渡され、儀藤は相棒の三好と共に捜査を始めます。事件の関係者は百合恵の事を2人はクロだといい、2人はシロだといいますが、儀藤はクロに0.5、シロに0.5だと告げます。その真意は一体…?

3話目は、「死神の顔」。女子高生に電車内で痴漢をしたとされ逮捕された正岡柳次郎が無罪判決になり、儀藤は再捜査に乗り出します。相棒に選ばれた榎本は、柔道の帯を持つ恵まれた体格を持つ男ですが、性格的に自他共に警察には向かないと思っていました。しかし、儀藤と共に事件の捜査を進めるうちに、少しずつ榎本にも変化が表れていき…。

4話目は、「死神の背中」。男児誘拐事件の犯人とされた小木曽に無罪判決が言い渡され、儀藤は再捜査に乗り出します。相棒として選ばれた米村にとって事件は思い出したくもない過去でしたが、再捜査を進めるにつれて、彼自身にも思いもよらない事実が明らかになっていき…。

読んだ感想

警視庁内で「死神」と言われている儀藤の素性が全く明かされてこないので、相棒である各警官の視点での文章と相まって、兎に角最初は茫洋として不気味な感じでした。

ですが、物語を読み進めていくうちに、儀藤自身が再捜査を行うにあたり大切にしている「逃げ得は許さない」という絶対に犯人を捕まえてやろうという信念や、彼の冴えわたる推理、物怖じしない面などがどんどん見えてきて、死神がより魅力的に見えるようになるのは見事だなと思いました。

また、痴漢の冤罪問題や、冤罪であったと確定した瞬間に、自作自演なのでは?と疑われ、ネット上に個人情報をさらされて批判されてしまう女子高生の姿など、現代のネットが発達したからこそ起こっている問題も取り上げられていて、考えさせられる部分もありました。

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