「空の中」航空自衛官の主人公が飼う奇妙な生命体と上空に現れた白鯨【あらすじ・感想】

「空の中」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「空の中」を読んだきっかけ

電子書籍で無料キャンペーンがあり、たまたま読んだのが有川浩さんの作品で、この著者の本を読むのは初めてでしたが、読みやすい文書と内容が気に入ったので、次に選んだ本がこれです。

どんな小説?

有川浩さんの著書の中で「自衛隊三部作」と言われている「空の中」「海の底」「塩の街」の中の1冊です。全部を読まないと分からない訳ではなく、自衛隊をベースにそれぞれ全く違う話なので、これだけでも十分面白い内容となっています。

航空自衛官である主人公・瞬の父親が高度2万メートルで謎の事故死をし、それとは別に瞬が謎の生命体を見つけ飼いだし、やがてそれらは人類にとっては大変な事態へと変貌していくのでした。

あらすじ

大規模な民間航空機開発が進んでいて、その「スワローテイル」と名付けられた機体は、超音速飛行のテストを行い、目標の2万mに達した時に爆発炎上してしまいます。

その後、自衛隊機F-15Jイーグル2機を駆る斉木三佐と光稀三尉でしたが、前を行く斉木の機体が同じ高度で突然爆発し落下してしまいます。

一方、斉木瞬は 仁淀川の傍の祖父の家で暮らしていました。ある日、瞬は川に打ち寄せられた白っぽい物を見つけます。隣に住む 佳江と「フェイク」と名前をつけ家で飼う事にしました。

そんな中、自衛隊員がやってきて父親の死を知らせます。瞬は、携帯の父からの着信履歴をリダイヤルをむなしく繰り返します。すると突然その通話が繋がります。

容器から飛び出したフェイクがズルズルと這い近寄ってくる中、携帯からはさっきよりもはっきりした単語が聞こえてきて、その言葉からフェイクが語りかけていると理解します。父のいなくなった心の隙をフェイクにのめり込む事で埋めようとし、フェイクもまた知識をどんどんと蓄えていくのでした。

一方「スワローテイル」の設計者の春名は事故原因を調べようと、目撃者である武田光稀三尉の協力の元、光稀のF-15Jに乗せてもらい事故現場へ一緒に行きます。

そこに着くと気圧の変化から異常空間であると察知した光稀は、蛍光塗料を着弾させます。浮かび上がった「何か」の大きさは数十Kmもありそうでした。そこへ様々な言葉が入信してきます。

どんどん整っていき、どうやらこちらとコンタクトを取りたい様子が聞き取れます。その指示通り機体をその本体上に着陸させ、会話をしていきます。

ソレは、人類が現れる前からここにいたと、静かに居たいと進言します。その後、世間でも知られる事となり「白鯨」と呼ばれ、遂にはアメリカが攻撃し分裂してしまいます。

傷つけられた意志をそれぞれの破片が持ってしまい、人類は反撃されます。

高知にも攻撃してきたので、瞬はフェイクに佳江を守るよう言い、フェイクは白鯨をどんどん食べて行続け、遂には白鯨側の大きな破片「ディック」と「フェイク」の対峙となりますが、瞬らは1つに統合さす事に成功し、また上空へと去って行くのでした。

読んだ感想

先ずは爆発して亡くなる前の、家族に対する親としての感情をうまく表現しているなぁと思いました。だからこそ事故で亡くなってしまう悲しさをヒシヒシと感じられました。

また瞬が父と同じ現場でいながら生き残った光稀に発した言葉「良かったですね」を、後で自分は「あなただけでも助かって」と言う気持ちだったのに、その言葉は「あなただけが」とも取れる言葉だった事に後悔する部分など、他にも随所に登場人物の心の機微を繊細に表していて、とても共感できるのが気に入っているポイントです。

また、分裂していく「白鯨」の様子も興味深く読め、すぐに攻撃してしまう人間の様子などもどこか皮肉が入っていそうで、後半は戦いのシーンとなってしまいましたが、最後に解決ができてほっとしました。瞬もフェイクとの別れを経験する事で、また1つ大人へと近づいたと思います。

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