「里奈の物語」育児放棄や虐待から逃れて家出した少女を描いた小説【あらすじ・感想】

「里奈の物語」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「里奈の物語」を読んだきっかけ

NHKドラマ「詐欺の子」の制作協力に、著者の鈴木大介さんの名前が合ったので、どのような小説を書いている人なのだろうと思ったことがきっかけです。主にノンフィクションを書いている方です。

どんな小説?

親の育児放棄や虐待から逃れ首都近郊から家出してきて、首都圏で自分で収入を得て暮らしている未成年の少女たちとその周囲の人を描いた小説です。

NHKドラマ「詐欺の子」では同じような境遇の少年たちが取り上げられていましたが、こちらは少女たちがどうやって暮らしているのかが描かれています。

もともとルポルタージュとして色々と書かれていましたが、それをもとに書かれた小説です。

あらすじ

北関東の地方都市で暮らす里奈といとこの比奈は、育ててくれている幸恵伯母さんが自動車部品店と飲み屋で働いている間は倉庫で過ごし、朝方に幸恵伯母さんの家に帰れます。

比奈の世話は里奈が5歳くらいの時からほとんど一人でしているのでした。 比奈の世話をしながら、幸恵伯母さんと暮らしていた里奈ですが、ある日、勤め先の飲み屋に産みの母親の春奈が訪ねてきます。

どういう料簡か、里奈を返せと暴れて、包丁まで振り回します。そして収まった後には、自分の産んだ雄斗と、さらに新しく産んだ妹の琴美まで預けていきました。

飲み屋のママの志緒里さんと協力して4人を育てようとした幸恵伯母さんですが、店の売り上げが下がってきたことから、詐欺をして警察に捕まったので、比奈と琴美は志緒里さんが育てて、里奈と雄斗を児童養護施設に預けることにします。

中学校に入った里奈は、同じ施設に住む同級生と出会い系サイトで探した相手に下着を売ったりして、少しずつお金を貯めていきます。 里奈は養護施設を無断で出て、単身上京し、東京に住む養護施設の先輩の家に行き、同居させてもらいますが、生活費は自分で何とかするように言われます。

その先輩は夜の仕事に就き、彼氏と同居しているのでした。そのため、出会い系サイトで出会った相手に体を売り、お金を稼いでいきます。そうしているうちに同じようなことをしている少女たちと知り合い、さらに彼女たちを使い、上手く売り上げを上げているグループと知り合います。

そのグループをもともと運営していた人は要領が悪いので、里奈自身でグループを運営することになるのでした。単身で家出してきた少女たちがほとんどですが、行政には最初から関わろうとはしません。

どのグループにも親や親族から虐待されて逃げてきた少女が沢山いるのでした。 そうしているうちに里奈はどの相手の子供かわからない子供を身ごもります。

しかし里奈にとっては自分の子供という事で、産むことを決意するのでした。里奈は、養護施設の先輩に協力してもらい、まとまった額の貯金を出来ていたので、その先輩の伝手も使い、新しい生活を地元で始めるのでした。

読んだ感想

NHKドラマ「詐欺の子」で、取り上げられていたような育児放棄や虐待の起きている家庭で育った少女たちがどのような暮らしをしているのかが解りました。

児童虐待に関しては、様々な通報制度がありますが、親族が隠そうとしたり、周囲が怖がって関わらないと、被害者である子供の保護は何かと難しいようです。

その上、児童相談所も通報件数が多く、人員が足りていないので、十分な対応はできていないようです。

そのためこの小説のように自力で家出して、体を売ったりして生計を立てている子供もかなりの数が居るのでしょう。

今はネット上で様々な事ができるので、家出をした子供の保護も何かと難しいのでしょう。児童養護施設に保護されても、そこにも十分な数の職員や予算がないようです。

さらに、高校を卒業すると一人暮らしをして、すぐに働かないといけない事が多いとのことで、保護された子供は将来のことを選んだり、夢を持ったりするのが困難なことも、子供が自力で家出をする原因のようでした。とりあえず児童福祉の予算を大幅に増やす以外に対応策はないようです。

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