「羊をめぐる冒険」を読んで北海道へ行った気になる脳内旅行【あらすじ・感想】

「羊をめぐる冒険」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「羊をめぐる冒険」を読んだきっかけ

市内の図書館で暇つぶしに読んだ村上作品がきっかけになり、どんどん読んでいくようになりました。翻訳作品以外ではほぼ読んでいると思います。その中でも特に一番印象に残り、今でも読み返してしまうのが初期の三部作です。

どんな小説?

いろんなきっかけにより一人にならざると得なかった主人公がとある依頼を受け北海道を巡ることになります。その依頼とは星型の印を持つ羊。

行動を予知するようなパートナーに導かれるように北海道をさまよい、かつて郷里での友人で会った男と二度目のチームを組み、とある後始末をし終えるまでの冒険奇譚です。

あらすじ

主人公は妻の不倫をきっかけにして離婚しています。共通の知人でもあり、立ち上げた会社の共同経営者である友人との仲もぎくしゃくしつつありました。

自分以外の周囲の人々が一様に変わっていく様に戸惑いを覚えつつ、つかの間の恋を繰り返す主人公は新たに耳のモデルをしている女性に惹かれ彼女と恋仲になっていきます。

彼にはかつて郷里に鼠というあだ名をもつ金持ちの青年の友人がいました。彼は小説を執筆し時折主人公の元へ送ってくるなど直接会うことはなくても親交を保っていました。

ある日、鼠から手紙と一枚の写真が送られてきます。どこかの農場の羊たちが群れている写真でした。受注された仕事でその写真を使用した後、メディア業界でもよく知られたフィクサーの秘書を名乗る男がやってきます。

彼はその写真の出どころについて執拗に主人公たちへの処遇を餌に問い詰めてきました。事情を聞かされ結果的に依頼を受けざるを得ない状況へ追い込まれていき主人公は彼女を連れて北海道へ赴きます。

その彼女が泊まろうと言った古びたホテルに長期滞在した二人は、しばらく都市に留まって調査を行っていきますが行き詰まりを迎えつつありました。

しかしそのホテルがかつて羊に関わる施設であったことを知り支配人の父である羊博士と呼ばれる大変偏屈な人物の話から手掛かりとなるヒントを見つけます。さらにそこから調査を進め奥深くの人里離れたような過疎地へ向かう二人。

しかし彼女はだんだんとその鋭い先見性を失いつつありました。写真に写った牧場のある土地を見つけ出し、そこの管理を任されている人物を頼りにその場所へ向かいました。しばらくそこで過ごしますが主人公が外出している間に彼女はいなくなります。

主人公は孤独の中とどまり鼠を待ち続けます。ある真夜中、再会した鼠はすでに亡くなっていました。主人公は鼠から幾つかのお願いを託されます。チームの再結成です。

若かりし頃、彼らはチームを組み多少の悪ふざけに明け暮れた仲でした。農場にある別荘への時計に午後きっかりに打ち上げる花火を仕掛けをし、それから地元へ戻って鼠の願いを叶えました。主人公は別れの涙を浮かべていました。

読んだ感想

村上作品における主人公って割とお洒落で様になるような生活を送っている、いわゆるリア充っぽい人ようなイメージ。ですが、その人が体験することは骨折り損のくたびれ儲けさながら、ひたすら受け身で振り回されて、物事が終わったのちにはわずかな幸福だけが取り残されているというような目に遭うことが多く、その過程が見ている側にはすんごいキラキラしている感じがするんですよね。

物語の面白さや展開のほかに、描き出している生活が雑誌に載ってそうなライフスタイルだとか、ある種達観しているような悟りきった性格にどこか浮世離れした感じが受けていたんでしょうか。

今現在発表している作品も勿論読みますし、好きですが、初期のほうがなんだか色々夢見ていられたようなノスタルジーを感じてしまうのです。だから昔の曲を聴いて懐かしむように戻れない時間を楽しむため、再びこの本をめくってしまうのだと思いました。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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