「“文学少女“と死にたがりの道化」文学を愛する少女が主人公のミステリー小説【あらすじ・感想】

「“文学少女“と死にたがりの道化」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「“文学少女“と死にたがりの道化」を読んだきっかけ

中学時代、図書室に入り浸り本を読み漁っていた時に、クラスメートの友人からその文庫本を勧められました。

表紙に女の子の絵柄が大きく出ていたので、オタクっぽいなとは思いましたがせっかくだったので読んでみることにしました。結果、その印象は良い意味で裏切られ、私は文学の世界に興味を持つようになりました。

どんな小説?

文学少女という、紙の本を文字通り食べてしまうくらい文学をこよなく愛している先輩女子と、とあることで平穏な日常を心から願っている後輩男子による文学ミステリー小説です。

ジャンルはいわゆるライトノベルで、ファミ通文庫から出版されています。外伝を含めた全19巻の長編シリーズ作品で、コミカライズやアニメ映画化もされています。

今の少年少女は知らないかもしれませんが、当時はかなりの人気作品だったようです。

あらすじ

高校二年生の井上心葉には秘密がありました。中学時代に新人賞で応募した作品が大賞になり、史上最年少作家としてデビューしたのです。

しかし、それがきっかけで好きだった女の子が投身自殺未遂をしてしまいます。心に傷を負った彼は執筆活動を辞め、普通の高校生として平穏に過ごすのだと決心しました。

でも、彼の願いは脆くも崩れ去ることになります。ひょんなことから文芸部部長、天野遠子の秘密を見てしまい、強制的に部室で短編を書かされることになりました。

彼女は清楚な外見とは裏腹にお喋りでお節介。問題ごとを自分から引き寄せてしまうので彼の日常はいつも忙しいです。ある日、竹田千愛と名乗る女子生徒が文芸部に恋の相談を持ちかけます。遠子は想いを伝えるならラブレターが良いと提案、心葉に代筆を任せました。

心葉は苦戦しつつもそれを完成させ、彼女に届けます。千愛は喜んで受け取りましたが、後日、さらに手紙のやり取りする分まで代筆してもらうようにお願いされます。渋々と手紙を書く日々を送る中、心葉には千愛が慕っている相手が何者なのか気になりました。

相手は片岡愁二といって、弓道部のエースとのこと。確かめたいと思った心葉は弓道部の道場を見学しました。ですが、それらしい人はいません。

千愛にそのことを伝えると彼女は聞き入れず、代わりに愁二の手紙を渡してきました。それは、”人間失格”をなぞった手記でした。次の日、再び道場へ訪れた心葉は、偶然出会った高校のOB達にひどく驚かれます。片岡愁二と自分が瓜二つだそうです。

実は十年前、愁二は交通事故によって恋人が亡くなり、自分もと投身自殺をしていました。心葉はショックを受けますが、それだけでなく、OB達にはまだ秘密があるようです。

数日後、心葉は錯乱したOBの一人に屋上へ連れていかれました。心葉を愁二だと思っているOBは、彼が恋敵だったことを話します。

後から現れた千愛は手記の内容から愁二がOBに恋人を譲るはずだったと説明し、最後にやってきた遠子が隠されていた真実を推理して話しました。真実を知ったOB達は苦い思いで屋上を後にするのでした。

読んだ感想

小説の題材である人間失格とは文豪、太宰治の小説です。主人公の葉蔵は幼い頃から周囲の人間とのズレを感じ、自分の無機質さを悟られないように仮面をつけて生きていました。

文学少女シリーズで登場する人物には皆、秘密を抱えておりそれを悟られまいとして気丈に振舞います。心葉は平穏な日常を心から願っていて、人の深いところまで踏み込もうとはしません。

しかし、遠子の性格によって時に問題ごとを引き起こされたり、隠れた事件が明るみになったりします。

心葉はその度に立ち止まり苦悩することになるのですが、取り繕うための仮面を剥がし、自分や周囲と向き合うことで再び前へ歩き出していきます。

文学とは人と心の学問です。この小説を通して、文学を知り、前向きになれるきっかけになってくれたらと思います。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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