「最後のトリック」読者が犯人というミステリー界最後のトリック【あらすじ・感想】

「最後のトリック」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「最後のトリック」を読んだきっかけ

ミステリー作品についてをテーマにした大学の講義の課題図書でした。 ぶっちゃけてしまうと、わたし自身ミステリー小説をほとんど読んだことがありませんでしたが「読者(全員)が犯人」という宣伝文句がなぜ成立するのか気になり読み進めることにしました。

どんな小説?

「最後のトリック」は著者・深水黎一郎の小説です。 ミステリー界最後の不可能トリックとされる「読者が犯人」に、現実と大差なさげな現代日本を舞台としたミステリー作品のトリックとしては、まさかな方法と、それを作中現実と認めさせるための長々とした理論で可能にした作品です。

あらすじ

スランプ中の作家のもとに香坂誠一という男から「『読者が犯人』というミステリー界最後のトリックのアイディアがある」という手紙が届きました。

それを読んで透視や予知能力などの超能力を科学的に研究する超心理学者に会いに行ったり、作家の親友に例の手紙を読ませたりした後「そのアイディアを二億円で買ってほしい」という手紙と誠一の覚書が届きました。

一度は取引に応じない態度を示した作家に三通目と覚書の続きが届き、例のアイディアが「命と引き換えにしても惜しくない」と切々と訴えてきました。

それから誠一が身重の妻や多額の借金を残して失踪中だのといった秘密を刑事から聞かされました。 四通目で誠一の借金は、生涯で親友と呼べる二人の内の一人の借金の連帯保証人になったために生まれたものなどということがしたためられていました。

再び刑事がやってきて、実は作家は誠一の手紙や覚書をずっと作中世界で連載していたようなものだったし、誠一とは中一の時の元同級生だったことが発覚します。

それから誠一と妻との出会いなどがしたためられた五通目の手紙が届き、超心理学の実験を受け超能力者と判断された美人姉妹が偽物で、養護施設の悪ガキ二人が本物の超能力者では、と超心理学者に怪しまれた後、誠一が死んだと知らされます。

誠一の生涯で親友と呼べる二人のうちのもう一人はスランプ中の作家のことだということ、誠一には自分で書いた文をたくさんの人に読まれるととてつもない体調不良を起こす体質あるいは超能力があること、作家が何度も超心理学者に会いに行っていたのは誠一のことを思ってのことだということ、などの超事実を読者たちに知らされます。

読んだ感想

現実と大差なさげな現代日本を舞台としたミステリー作品のトリックとしては、まさかの超能力オチに「わたしも犯人か……」と思うより先に「なんてこった……すごい」と思ったのが最初に読み終えた直後の正直な感想です。

最初に読んでいた時、超心理学者が語る様々なあれこれや、誠一の手紙や覚書に「お、おう」とか「はあ、うん……」などと雑な反応や感想しか浮かばず、「どうやって読者を犯人にするんだ……?」という好奇心だけを胸にぼんやり読み進め、ラストの超事実ラッシュに雷に打たれたような衝撃を受けました。それと同時に結論を急ぎがちなわたしには、とても真似できないとも思いました。

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