「六条御息所 源氏がたり」源氏物語を登場人物の六条御息所の視点から描いた【あらすじ・感想】

「六条御息所 源氏がたり」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「六条御息所 源氏がたり」を読んだきっかけ

もともと、源氏物語が好きでした。源氏物語の登場人物の中でも「六条御息所」が一番好きで、更に、林真理子さんの小説もとても好きだったので、本屋で見かけて思わず手に取りました。

どんな小説?

源氏物語を「六条御息所」という登場人物の視点から描いた小説です。六条御息所は、嫉妬深さ故に怨霊になって主人公の光源氏に取り憑いた女だとされています。

けれど、この小説の中では、六条御息所は少し違う印象で描かれています。六条御息所はもちろん、源氏物語全体の印象が変わります。

あらすじ

六条御息所が、源氏物語の主人公である光源氏について語っていく小説です。

光源氏がどのように栄華を極めていったのかを六条御息所の視点で語っていきます。六条御息所は、源氏物語の原作では怨霊となってしまったという設定です。

この小説の中では、生き霊となって漂っている六条御息所が、光源氏の幼少期から、老人となっていくまでを生き霊となって眺めているという設定です。帝の愛子として生まれ、「光る君」と呼ばれて大切に育てられた光源氏。やがて彼は、大勢の女性達と関係を持つようになります。

母親である藤壺の宮の面影を求めるように、次から次へと女性に手を出していく光源氏。もちろん、その中には六条御息所も居ました。いつかは光源氏の本妻になりたいと望んでいた六条御息所ですが、光源氏はすぐに次の女性へ。

やがて彼は紫の上という最愛の人を見つけ、その上、ついに自分の母親である藤壺まで手に入れてしまいます。もちろん、その密通は許されることではありません。光源氏は一生隠し通すのですが、罪悪感に苛まれる事になります。

その様子を、死霊になって眺めている六条御息所。ずっと光源氏を見守りながらも、嫉妬と憎悪に見を捩りながら、冥界を彷徨っています。やがて、光源氏は晩年になって、女三宮という皇女を妻に迎えますが、その妻を若い男に寝取られてしまうのです。

まるで、自分が若い頃、そうしたように。自分がやったことは自分に返ってくるのだと思い知り、光る君と呼ばれた光源氏の栄華も次第に衰退してきいます。

そして、最愛の人である紫の上とも死別してしまい、悲しみに暮れる光源氏。そんな光源氏が絶望から立ち直るまで、六条御息所は死霊となって最後まで見守っています。

読んだ感想

源氏物語を六条御息所の独白で書かれている小説というのが、とても印象的でした。そして、六条御息所の女らしさ、人間らしさが独白から滲み出ていて引き込まれます。

六条御息所はとても身分が高い女性で、プライドも高いです。とても冷静に語っているように見えるけれど、愛した男が他の女と逢瀬を重ねている様子を眺めながら、嫉妬に狂っているのが文章から痛いほど伝わってきます。

読みながらこちらまで苦しくなってしまいそうでした。光源氏をどれだけ愛していたのかが伝わってきます。現代の感覚からすれば、少しイライラするところもありますが、同じ女として共感できる部分もあって切なかったです。今までの源氏物語のイメージが覆る小説でした。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

その他、「六条御息所 源氏がたり」が読める電子書籍ストアはこちらです。

コミックシーモア  BOOK☆WALKER  ebookjapan  BookLive!  honto  ブックパス

タイトルとURLをコピーしました