「虹いろ図書館のへびおとこ」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「虹いろ図書館のへびおとこ」を読んだきっかけ
本が好きな同僚におすすめされてこの本を知りました。もともと、佐竹美保さんのイラストが好きなこともあり、表紙に一目惚れし、すぐにこの本を手にとってみることに決めました。
どんな小説?
不登校となった小学校6年生のほのかが、親に学校に行けていないことがバレないように、学校の代わりに街の図書館に毎日通いつめることで、さまざまな人と出会い、ほのか自身が変わっていく物語です。
ほのかの不登校の要因はいわゆる「いじめ」ではありますが、暗い、重苦しい空気感があまり感じられない小説です。ほのかが、ひたむきで強い女の子だから、読み手はそのように感じるのだと思います。
あらすじ
小学校6年生のほのかは、お母さんが入院しているため、お父さんとお姉ちゃんの3人暮らし。今の家に引っ越してくる前は、そこそこ広くて綺麗な家に住んでいたけれど、お母さんが入院し、お父さんも仕事が変わって、今の狭い家に引っ越してきた。
お父さんは毎日仕事で疲れ切っているし、お姉ちゃんは家事で忙しい。だから、学校で問題を起こすわけにはいかない…。
そんなふうに思っていたほのかだったが、学校での友達づくりに失敗し、リーダー格の女の子から目をつけられ、いじめられるようになってしまう。それでも毎日学校に通っていたが、ある日、突然、足が一歩も学校のほうに進まなくなる。
くるっと後ろを向いて、学校とは正反対の道をあるき始めるほのか。町の中を歩いて、歩いて、歩き続けた結果、たどりついたところは町のおんぼろ図書館だった。読み聞かせのお部屋で寝てしまっても、平日真っ昼間から図書館に入り浸っても、図書館の人からは「学校は?」という声掛けはなかった。
そこで、ほのかは毎日学校ではなく図書館に通うことになる。その図書館には体の色が半分緑色のへびおとこと呼ばれる男性がいた。ぎょっとする見た目だけれど、ほのかを追い出すわけでもなく、事情を聞くこともなく、ほのかにおすすめのシリーズや本を紹介してくれるへびおとこに、ほのかは次第に心を開いていくようになる。
他にも、図書館にはスタンビンズと呼ばれる中学生の男の子がいた。どうやらスタビンズも学校へ通わずに図書館に通っているらしい。ほのかとスタビンズはへびおとこの指示で図書館の仕事を手伝うようになり、クリスマスのイベントにも出席することになる。
当日、緊張しながらほのかがスタビンズとともに舞台にたつと、子どもたちに混じって、父親と担任の先生が来ていることがわかり…。
読んだ感想
レオ・レオニのスイミーやなかがわえりこ、トールキンの本、ドリトル先生シリーズなど、本好きなら一度は読んだことがあるような本がたくさん出てくるところが魅力です。読んでいない本が出てくると、読みたくなってしまいます。
賞のタイトルがすべて本のタイトルなのも面白いと感じました。いじめや不登校がテーマの小説は、なんとなく重苦しく、暗い気分になるようなものが多いように感じますが、この小説は違います。
確かにほのかは学校にはいけなくなるけれど、逃げ場として図書館を選び、へびおとこを含め図書館員の人たちもそんなほのかを理解し、無理やり事情を聞くことも、追い立てることもせず、図書館で過ごすほのかを見守っていてくれます。
「生きている限り読み放題」や「本はまだまだあるぞ。 終わったなら新しいシリーズに移ればいい」という言葉など、図書館の良さを改めて感じられる一冊です。ほのかのひたむきで前向きな姿勢に勇気づけられる、ハッピーエンドのお話です。
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