「贖罪」静かな田舎町を舞台にしたサスペンス小説【あらすじ・感想】

「贖罪」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「贖罪」を読んだきっかけ

本屋で平積みにされていたのを見かけて知りました。湊かなえさんの作品は映画化やドラマ化もされていて有名なので、話題に乗りたいという気持ちもあり、まずは一冊読んでみようと思い手に取りました。

どんな小説?

「贖罪」は、著者・湊かなえの、静かな田舎町を舞台にしたサスペンス小説です。

田舎町に引っ越してきた都会的な少女「エミリ」が不審者に殺害されるところから物語が動き出します。 物語は章ごとに主人公が変わる独特な形式で綴られる形式になっています。

同じ出来事から全く違うことが判明したり、登場人物が思っていたような人物ではなかったりと、読者を裏切る展開が続きます。

あらすじ

物語の舞台は静かな田舎町。そこに引っ越してきたエミリは、お金持ちでおしゃれで、そんな彼女に憧れた紗英、真紀、晶子、由佳は彼女とともに遊ぶようになります。

ある日、エミリとその少女たちで遊んでいると、エミリが見知らぬ男に作業を手伝ってくれないかと声をかけられます。 外で作業が終わるのを待っていたほかの4人でしたが、エミリが戻ってくるのが遅いので探しに行ったところ、男の姿はなく、あったのはエミリの死体でした。

警察から話を聞かれる4人でしたが、全員男の顔を思い出せませんでした。それから年月が経ち、4人の少女は大人になり、それぞれのトラウマを抱えていました。紗英は、事件のストレスから結婚するまで初潮がありませんでした。

紗英の結婚相手は、大人になっても少女のような見た目の紗英を特殊な性癖に付き合わせようとしますが、彼女はそれを拒否し相手を殺してしまいます。

真紀は、事件当時、現場から逃げてしまったことを気にしていました。彼女は教員となり、事件のトラウマから校内に侵入した不審者を撃退しますが、世間から批判を受けることになります。

晶子は、エミリの母にエミリが死んだことを伝える役目を担い、エミリの母親が取り乱す様を目の当たりにしてしまいます。それから彼女は大人とうまく接することができず、家に引きこもるようになってしまいます。

由佳は、以前より親から愛情を受けていないと感じており、事件当時も彼女だけが親から迎えに来てもらえませんでした。そのことがきっかけで、由佳は非行に走るようになります。

そして、エミリの母は精神を病み、犯人の顔を思い出せない4人の少女を恨むようになります。 彼女は町を出るとき、4人の少女に犯人を見つけるか、エミリの母が納得できるような償いをいなければ復讐すると伝えます。

4人の少女はこの言葉に苦しめられ、事件のトラウマから逃げ出せなかったのです。大人になっても4人の少女たちがトラウマに苦しんでいることを知ったエミリの母は手紙を送ったり、少女たちに会いに行ったりしますが、すでに手遅れでした。 エミリの母はせめてもの罪滅ぼしにと自分の罪を告白します。

読んだ感想

この物語では全員に何かしらの事情があり、完全な悪人も善人もいません。きっとこういうことがあったら自分もそうなってしまうだろうな、と思えるような感情の動きが繊細に描かれています。

また、この物語は、各章ごとに主人公が変わる独特な形式になっています。物語のキーパーソンであるエミリの母は物語の各章に登場するのですが、明確には示されていません。

物語を読み進めていくうちに、登場人物の話し相手がエミリの母ではないかと徐々に気付いていきます。

しかし、なぜエミリの母は登場人物たちに会いに来たのか?どうして正体を隠しているのか?

謎が深まったところに、エミリの母の独白が始まります。エミリの母の独白によって、各章で積みあがった謎が解消される気持ちよさは、この独特な形式の小説だけでしか感じることができないと思います。

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