「グラスホッパー」殺し屋3人の視点を行き来しながら進行する物語【あらすじ・感想】

「グラスホッパー」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「グラスホッパー」を読んだきっかけ

書店で友人におすすめされて購入しました。当時、漫画家とコラボをしていたのかイラスト付きの表紙で、暗くダウナー感のあるイラストと殺伐とした雰囲気のあらすじに惹かれました。

どんな小説?

物語が三人の登場人物のそれぞれの視点で動いていきます。最終的に三人の登場人物は一箇所に集まりますが、その経緯やそれぞれの思考、行動原理など細かく描写されていますので違和感なく楽しめます。

内容は殺し屋や違法会社など少し過激な表現も多くありますので、「刺激が欲しい」方にはぴったりです!

あらすじ

登場人物の一人「鈴木」は、妻を殺した男、寺原の息子に復讐を誓います。寺原の息子に復讐する為に非合法的な会社「令嬢(フロイライン)」にまで入社する鈴木でしたが、寺原の息子は鈴木の目の前で車に轢かれてしまいます。

復讐を横取りされ、ぽかんとしている鈴木は人混みの中不自然にその場を離れる男を見つけました。どうやら寺原の息子を押したのは、「押し屋」と呼ばれる「押す専門」の殺し屋のようで、鈴木は上司に命令され不自然に離れていった男を追いかけました。

男は押し屋なのか、正体を探り始めます。一方、自殺専門の殺し屋「鯨」は謎の目眩と幻覚に悩まされる日々を過ごしていました。目眩が起こると目の前に過去に自殺させた人間の亡霊が現れるのです。

彼らは鯨の心境をいとも容易く読み取り、時に惑わし時に助けの言葉を掛けていきます。そんな中、鯨が過ごしているホームレス集団に元カウンセラーだという男が言います。「心残りを解消したほうがいい。精算するのだ。そして引退しなさい」。

鯨もまた、心残りを解消し精算する為「押し屋」を追い始めました。さらにもう一方、ナイフ使いの若者「蝉」は、殺し屋として上司である「岩西」の元で働いていました。

しかし、岩西に言われるがまま仕事をこなす日々に不満を感じていました。これではまるで人形みたいだ、と。自分は岩西の人形ではない。それを証明し、岩西の元から独立する為にいま巷を騒がせている「押し屋」を殺そうと追い始めます。

一般市民である鈴木が、殺し屋である押し屋、鯨、蝉と関わって非日常的な数日間を過ごして、困惑し、恐怖し、それでも妻の為に前に進んでいく姿を見ることができます。

結局「押し屋」とは一体誰なのか、三人の行く末はどうなるのか、読めば読むほど続きが気になっていきます。そして終盤、登場人物の三人の思いが交錯する時、物語は唸りを上げて動き出します! 独特な世界観と疾走感のある筆致で描かれた殺し屋小説です。

読んだ感想

これまでに読んできた小説とは一風変わった小説だなと思いました。三人の登場人物達の視点で物語が進んでいくのですが読んでいて違和感はありませんし、徐々に動いていく物語にわくわく感が止まりませんでした。

ところ狭しと伏線が隠されていて、読んだあとでももう一度読みたい…! と思えるような作品です。登場人物の言葉回しもとても面白いです。

例えば、鯨が良く使う「人は誰でも死にたがっている」や蝉の上司である岩西が尊敬するジャズミュージシャンの言葉など、頭に残る言い回しが多いです。

また、一般市民である鈴木は比較的我々読者と同じ考えや思考を持っており、鯨もまた自殺屋という仕事はしていてもどこか一般市民的考えを持っていますが、ナイフ使いの若者蝉は全く違います。

殺し屋をしている事を誇りに思っており、人間は性別年齢問わず人間であるので殺せる、と殺伐とした考えです。そこの違いも楽しめました。後は個人的に、岩西と蝉の関係が好きですね。この二人が好きだったので、終盤には泣いてしまうシーンがありました。

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