「The Book」乙一が描くジョジョの奇妙な冒険の小説版【あらすじ・感想】

「The Book」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「The Book」を読んだきっかけ

図書館のネットシステムで読みたい本を探していて、何気なく私の大好きな漫画のタイトル「ジョジョ」と入力したところ、こちらの小説がヒットしました。ジョジョも好きですが、作者の乙一さんも好きなので、このコラボは面白いに違いないと思って借りました。

どんな小説?

「The Book」は荒木飛呂彦先生の大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」の少し後という設定の出来事を描いたオリジナル小説です。

自分が見聞きした全てを絶対に忘れない特殊能力(スタンド)を持つ少年をメインに置き、複数の人物に語り手を交代しながら、少しずつ驚愕の事実が明かされていきます。

漫画に登場した主要人物も活躍しますが、作者の後書きの通りジョジョを知らなくても楽しめる内容となっています。

あらすじ

双葉千穂という少女が殺人を犯すというシーンから物語は始まります。

彼女が高校生の時、ひとつ年上の鋭い目をした少年、蓮見琢馬に出会います。彼は捨て子で両親がおらず、施設で育ち現在は一人暮らしをしています。彼は異常とも言える記憶力の持ち主で、その能力はページを開いて一瞥しただけの本を一語一句間違えずに覚えられるほどでした。

千穂は彼と接するうち、少しずつ惹かれ始めていきます。時を同じくして、彼らの住む杜王町では不可解な怪死事件が起こっていました。ある女性が自宅の室内で車にはねられて事故死したのです。現場の状況からしてそれ以外に考えられないというのです。

しかし、普通で考えれば室内で交通事故など有り得ません。死体の第一発見者となった広瀬康一という高校生はこの状況を不審に思い、自らの能力や仲間たちの協力を得て事件の解明に乗り出します。

康一やその仲間たちはそれぞれが特殊な能力(スタンド)を使うことができるため、常人には不可能な方法で事件の真相に近づいていきます。

場面が変わって、舞台は十数年前の杜王町。ビルとビルの壁の間に一人の若い女性が閉じ込められていました。脱出不可能な環境にありながら、彼女は誰にも気づかれることなく何ヶ月間も生き延びていました。

太陽が覗くのは正午だけの暗くて湿っぽい、非常に狭いその空間で彼女は確かに生きていたのです。

昔の杜王町のビルの隙間、蓮見琢磨という不思議な少年、怪死事件、スタンド使い、そしてごく普通の少女であった双葉千穂がなぜ殺人を犯してしまったのか…バラバラだった物語達が、やがてひとつの流れとなり、明らかになった事実とは…!

読んだ感想

後半になるにつれ、「そう来たか!」の連続でした。謎が解き明かされるスッキリ感もあるのですが、それ以上に明かされた真実が恐ろしいです。絶望感の描写などはさすが乙一さんだと感じました。

まるで自分がその人になってしまったかのような気持ちにさせられる書き方です。ジョジョ4部のキャラクター達も活躍しており、漫画との少々のブレはありましたが完成度は高く、漫画のファンとしても満足です。

乙一さんが生み出したオリジナルキャラクター達とも違和感なく絡めていました。読後の鬱々とした気持ちも個人的には悪くなかったですが、ジョジョ4部の明るさを期待している人はもしかしたらショックを受けるかもしれないなと思いました。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「The Book」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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