「手紙」犯罪者の親族を描いた小説【あらすじ・感想】

「手紙」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「手紙」はどんな小説?

「手紙」は、東野圭吾が描いた小説で、犯罪者の親族の苦しい生きざまを描いた作品で、のちに映画化やテレビドラマ化もしている作品です。

手紙のあらすじ・ストーリー

主人公は、お金のない家庭で育った男性。ある日、主人公の兄が家族のために強盗を企てます。お金を盗むだけのはずだった兄ですが、運悪く家主の老婆と出くわしてしまい、勢い余って殺害してしまいました。

兄は逮捕され、家族のためにした小さな強盗でしたが、その家族たちに「殺人犯の家族」という不名誉を背負わせてしまいます。

主人公は大学に進学しバンドを始めます。そのバンド仲間に兄のことがバレて仲間外れになってしまったり、付き合っていた彼女から距離を置かれてしまったりと、まるで自分自身が犯罪者かのような扱いを受けてしまいます。

就職しますが、やはりそこでも理不尽な差別にあってしまいます。

刑務所にいる兄は毎月主人公に手紙を出していて、主人公も最初のうちはきちんと返事を出していましたが、そんなことが重なった結果、兄を恨むようになり次第に返事を書かなくなってしまいます。

そんなある日、主人公は社会人バンドを組むことになり、ボランティア活動の一環として兄がいる刑務所で演奏をすることになり・・・。

手紙を読んだ感想

この小説を読むまでは、犯罪者=絶対悪であり、そんな犯罪者を育ててしまった家族も同様に罪があると考えていました。

しかし、読んでいるうちに、自分が犯罪を犯しているわけではないにもかかわらず周囲から差別されてしまっている主人公を見ていると、心が痛むようになりました。

別に主人公が悪いわけではないのに、と差別する人物たちを恨めしく感じていましたが、もし自分の周りに主人公のような殺人犯の家族がいたとしたら、その人がどんなに素晴らしい人間だったとしても関わりたくないと感じ、距離をとってしまうかもしれません。

犯罪を犯した兄に対しても、人を殺めたこと自体は責められるべきですが、その犯罪に手を染めてしまった背景は、ニュースを見ているだけではわからない。

犯罪者だからと言って、心から極悪人とは限らないのではないだろうか。私たちは被害者側に立って、加害者側を責めることしかしていませんが、その背景に少しでも目を向けるべきではないのだろうかと、考えさせられる作品でした。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。ただ、電子書籍はありません。

その他の電子書籍サイトでも「手紙」は読むことができません。

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