「とある飛空士への追憶」切なくて温かい物語でした。【あらすじ・感想】

「ある飛空士への追憶」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「ある飛空士への追憶」を読んだきっかけ

なにか面白い本はないかとネットを漂流し、アマゾンの商品レビューを読んで気になり、他サイトの感想や口コミなど、Web上で高評価を得ていたので本屋さんで購入しました。

どんな小説?

一言で言うと、ボーイ・ミーツ・プリンセスです。飛行船や飛空艇が発達したファンタジー世界の物語です。 差別を受けつつも実力でのし上がった皇国軍の傭兵飛空士のシャルルが、その腕を買われて、危険で無謀な任務に大抜擢。

その内容は、次期皇妃を敵包囲網をかいくぐって1万2000Km離れた場所まで送り届けるというもの。敵国の戦闘機の性能は圧倒的で、繰り広げられる空中戦は緊張感があり、それを乗り越えた先に待つ別れが切ないです。

あらすじ

海を挟んだ2つの大陸……西方大陸を支配する神聖レヴァーム皇国と東方大陸を支配する帝政天ツ上の両国は、戦争をしていました。そんな中、天ツ上領内にあるレヴァーム自治区で、ディエゴ・デル・モラル公爵の屋敷が敵の空艇兵団の単座戦闘機《真電》に襲撃され、公爵が死亡する事件が発生します。

その後、レヴァーム皇国皇子カルロ・レヴァームは、ディエゴの一人娘で許嫁であるファナ・デル・モラルの身を案じ、第八特務艦隊を派遣しますが、敵の布いた防衛網を突破することはできずに全滅してしまいます。

皇国はその失敗を秘匿しつつ、次期皇妃であるファナをカルロ皇子の元へ届けるための極秘計画を立案。その内容は、ファナを水上偵察機《サンタ・クルス》の後部座席に乗せ、単機で敵が制空権を握る危険な中央海を突破するというものでした。

そんな無謀な作戦のパイロットに選ばれたのは、空艇騎士団の傭兵の中でもエースパイロットである狩乃シャルル。 幼い頃から心を閉ざしていたファナは、シャルルとともに危うい空戦をどうにか切り抜けるうち、本来の明るい感情を取り戻しつつ、素朴なシャルルに惹かれてゆきます。

一方、シャルルもファナを連れて逃げたいという思いが頭をもたげながらも、任務を続行します。 しかしサイオン島に向かう最後の飛行で、それを待ち受けていた真電編隊に阻まれるのでした。

しかし、シャルルの操る飛行艇サンタ・クルスは、敵機の攻撃をかわして逃げ続けます。 やがて、編隊長の千々石との一騎討ちになりますが、ファナの機転により難を逃れ、サンタ・クルスは目的地に終着することができました。

ファナは、シャルルを共に皇都へ連れて行くことを望みますが、迎えにきた将校はそれを許さず、ファナを出迎えの飛空戦艦へ連行します。

残されたシャルルは、サンタ・クルスの機体を操り、次々と大技を決め、この別れを悲しみに満ちたものにさせないように、報酬の砂金を撒き散らしながら、艦上のファナに別れの舞いを見せつけるのでした。

読んだ感想

身分違いの恋を育んでいく二人が主体となっていて、気持ちいいぐらいシンプルにまとまっています。 実直で不器用な主人公にはすんなり感情移入でき、お互いに葛藤し、なかなか正直に歩み寄れない二人をもどかしく思いました。

そして、全行程1万2千キロに及ぶフライトの途中で繰り広げられた空戦シーンは、臨場感溢れる文章でその迫力を表現していました。

多勢に無勢、性能でも劣る絶対的不利な状況でひたすら逃げ続け、撃墜寸前まで追いつめられるというスリルがあります。 ラスト手前での真剣勝負は読み応え充分で、ハラハラドキドキでした。 そして、特筆すべきは物語のラストシーン。

あのラスト30ページの計算された凄さは、それまでの300ページの盛り上がりがあってこそ。 読み終えた後、暫くの間二人の未来について想いを馳せて、切なくも爽やかな読後感に酔いしれます。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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