「モンスター」哀しく清々しい読後感【あらすじ・感想】

「モンスター」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「モンスター」を読んだきっかけ

「永遠の0」で百田尚樹さんのことを知り、2冊目の百田尚樹作品を探していて、手に取りました。

「モンスター」とは何を指すのだろう?と興味をひかれたのですが、あらすじから整形手術に目覚めた主人公の女性のことだと知り、さらにその先が読みたくなりました

どんな小説?

自分の力ではどうすることもできない「容姿」というものに人生をめちゃくちゃにされてきた主人公が、自分の努力と身体で美しくなり、成り上がり、願いを叶えていく話です。

ただ、美しくなる手段は整形手術、整形手術代を稼ぐためには手段を選ばない、願いを叶えるためにはなんでもするといった狂気をはらんでいます。

あり得ないけれど、もしかしたらあり得るかもしれない。恐ろしいけれど、少しだけ共感できる。そんな気持ちにさせられます。

あらすじ

奇形とも思われるほどの醜さで産まれてしまった主人公は、その醜さゆえに幼い頃から避けられ、嫌われ、蔑まれて生きていました。学校ではいじめられ、親からも疎まれる毎日。

もちろん恋愛なんて夢のまた夢。追い込まれ、歪んでいき、主人公はついに、ある罪を犯してしまいます。そのことで家族の縁を切られ、故郷を追われ、すべてを失くして東京で一人暮らし始めます。

短大を出ても、良い成績で卒業しても、容姿が原因で低賃金の仕事しか得られません。理不尽さを噛みしめながら、誰からも顧みられないまま家と職場を往復するだけの生活。そんななか、ひょんなことから見つけた整形手術の広告。

勇気をだして二重瞼の施術を受け、希望の光を見出す主人公。死に物狂いでお金話を作り、整形を繰り返し、ついに絶世の美女となります。美しくなるほどに周りからの扱いが変わることを実感し、稼ぎもうなぎ上りに良くなり、男たちの羨望の眼差しを一身に受け、女の幸せを満喫するようになります。

さらに、その外見にふさわしい話し方やふるまいを身につけるべくスクールにも通い、いよいよ完璧な良い女に変貌をとげました。そんななか、忘れていた過去の恋心が主人公に甦ってきます。そして、主人公はある計画を立て、大金をはたいて実行に移すことにしたのです。

故郷に戻り、レストランを開業した主人公。そのレストランの女主人として全く別の人格になりきり、計画を粛々と進めていきます。

一方で、その美貌を武器にして、かつて自分にひどい仕打ちをした数々の男たちに復讐を決行していきます。主人公の美貌に、いとも簡単に心を奪われ、大金を貢ぐ男たち。そんな男たちを無情にも切り捨て、打ちのめし、ぼろぼろにしていきます。

そして最後に主人公の前に現れた男。それは過去に狂おしいほど恋焦がれた男でした。外見だけでなく内面も愛してほしいと願う主人公。その強い情念ゆえに、とんでもない行動に出るのです。

読んだ感想

前半は、とにかく主人公にふりかかる災難に圧倒されました。顔のつくりが醜いというだけで、ここまで心を踏みにじられないとならないのかと戦慄を覚えました。

しかし、泣いているだけの主人公ではないというところがとても清々しいのです。中盤、整形手術に出会ってからの主人公の逞しさには目を見張るものがあります。

ドロドロとした感情が剥き出しに描き出されているけれども、運命を変えたいという一心で精一杯努力する主人公の姿は、つい応援したくなります。美しくなったあとの復讐劇は鮮やかそのもの。顔が変わっただけなのに、手の平を返したように主人公に尽くしてくる男たちは滑稽ですらあります。

でも、世の中の真理を見せつけられたような気がしました。理不尽にも負けず、自分の信念を貫き通した主人公に力をもらえるような作品だと思いました。

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