「今昔百鬼拾遺 月」妖怪や民俗学などを取り入れながら殺人事件を解決していくというミステリー小説

「今昔百鬼拾遺 月」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「今昔百鬼拾遺 月」を読んだきっかけ

学生の時から読んでいたシリーズが新作を出したので手に取りました。今回はスピンオフの短編集なのでいつもとは違う主人公で面白そうだと感じました。

よく知らない昭和29年の東京を細かく描き、その時代からは記憶に新しい戦争の話なども交えたり、男性ではなく女性視点から事件を解決していくことが面白そうだなと思いました。

雑誌記者の娘と女子中学生の組み合わせもあまりないので新鮮に思い読もうと思いました。

どんな小説?

今昔百鬼拾遺 月は著者、京極夏彦の昭和29年の東京を舞台にし、妖怪や民俗学などを取り入れながら殺人事件を解決していくというミステリー小説です。

ファンタジー要素はありますが全て人間の手で殺され、人間が解決していくので、この世に不思議なことは何もないという不思議なコンセプトで話は進んでいきます。

勿論刑事や探偵もいますが、ただ刑事や探偵が犯人を暴いて行くだけではなく古本屋や記者の膨大な知識で事件を解体していく様は圧巻で読みごたえがあります。

あらすじ

今回はスピンオフなので3冊分の短編集が1冊に纏められています。妖怪シリーズは辞書のように分厚い本で有名ですが、今回も短いとはいえ普通の400ページ前後の話が3つありますので、トータルでは1000ページを超える本になります。それでも短く感じます。

目録は第1話『鬼』第2話『河童』第3話『天狗』になっています。『鬼』は女子中学生呉美由紀の学校で仲がよかった片倉ハル子が辻きりに切り殺されることを雑誌記者の中禅寺敦子に相談します。

殺された片倉ハル子の家業は刀を売ることを家業としており、代々片倉の女は刀で殺されるのだ、と怯えていたとのこと。敦子はそれを聞いて過去の片倉家の事件を調べ、解決していきます。

『河童』は女子中学生が河童にまつわる雑談から始まり、そこから学校で起こった覗き魔、水死体の話へと移って行きます。呉美由紀が全寮制の中学校から実家のある千葉へ帰省中、地元の川で水死体を発見します。そこから刑事や敦子、妖怪研究家の多々良先生とともに事件に関わって行く話です。

『天狗』は美由紀がひょんなことから出会った篠村美弥子という代議士の娘とカフェでお茶をするところから始まります。美弥子の友人が高尾山に登山に行ったら行方不明になってしまい、しかし遺体は発見されなくて困っていると。

ただ、別の女性の首吊り自殺が発見されたが、それがなんと行方不明の友人が着ていた服一色を着ていて、さらに美弥子がプレゼントした名前入りの帽子があったので警察から事情聴取を受けたと雑談のように話されて困惑している美由紀がいました。

お嬢様な立ち振舞いの美弥子は気さくで話しやすい人でした。登山が趣味なので友人とよく行っていたがたまたまその日は行けなかっただけなのに、その日に限って行方不明になってしまったと。

探偵に解決してもらおうと思ったがけんもほろろで困っていたそうです。何故か話を聞いていただけなのにお嬢様と高尾山に登ることになり、事件に巻き込まれていきます。

読んだ感想

今昔百鬼拾遺 月を読んで、それぞれ独立した話なのにどこかに関わりがあり、前のシリーズを読みたくなってくる作品でした。

犯人を暴くだけでなく、犯人を庇って身代わりになろうとしていた青年に中学生の美由紀が渇を入れたり、覗き魔になってしまった青年に父親の気持ちを説いたり、最後の天狗は女性蔑視をする犯人に美弥子と美由紀、敦子の3人で対抗したりと美由紀が大活躍で、その演説に心を打たれました。

特に女性蔑視については思うところがあり、令和になっても尚男女平等などの概念がまだまだ世界に比べたら薄い中で、戦後の東京というさらに女性蔑視が強そうな時代に果敢に立ち向かって老人を言い負かす姿はさすがでした。今回も美由紀が活躍していたので次回の活躍にも期待します。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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