「空中ブランコ」精神科医・伊良部の破天荒さが患者の悩みの解決につながる【あらすじ・感想】

「空中ブランコ」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「空中ブランコ」を読んだきっかけ

10年くらい前だったと思いますが、エンタメ小説はほとんど読まなかったのですが、ノイタミナのアニメで「空中ブランコ」を放送していたので、原作に興味が湧いて読んでみました。

どんな小説?

精神科医の主人公の元にやってくる患者とのやりとりを書くオムニバス形式のコメディの第2巻です。第131回直木賞受賞作でもあります。

伊良部シリーズは第一巻が「イン・ザ・プール」、第三巻が「町長選挙」の三部作ですが、短編集なのでどこから読んでも問題ない作品です。

あらすじ

伊良部総合病院地下にある精神科医、伊良部一郎はデブで色白、注射をするのが大好きなドラ息子。神経科である伊良部がやってくる様々な患者の悩みを聞き、破天荒なアドバイスをし、時には患者のために外に出て暴走するという医療系コメディです。

患者の職業、年齢、性別は一話一話ごとに様々で、実際の精神疾患名が出ることもありますし、何の病気なのかはっきりわからないこともあります。

「空中ブランコ」に収録されているのは「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のツラ」「ホットコーナー」「女流作家」の5本です。最初の「空中ブランコ」は、サーカス団員の山下公平の視点で始まっていきます。

サーカス団員の両親の元で育った彼は空中ブランコ乗りのエースですが、ミスが目立つようになってからブランコの相方である内田に当たり散らすようになります。周りのミスのせいで自分のパフォーマンスが落ちていると思っている公平ですが、妻の勧めによって渋々伊良部総合病院の精神科を受診しました。

しかし伊良部はビタミンの注射をするくらいで治療らしいことは何もせず、神経科の看護師もセクシーだけど無愛想で、公平は不安を覚えます。しかし翌日、サーカスのテントに伊良部がやってきて、公平の制止も聞かずに空中ブランコをやってしまいました。

体格をものともしない度胸を讃えられた伊良部は団員たちから好かれていきますが、公平と団員の関係は悪化する一方でした。

自分の不調が内田のミスであることを証明するために、公平は妻に自分と内田の演技の隠し撮りを頼みますが、ミスをしているのは自分自身であることを実感してしまい、愕然としてしまいました。

公平は伊良部が社交的ですぐに団員と打ち解けている様子と見比べて、自分が勝手な思い込みをして人に不信感を持っていたことに気がつき、反省します。

伊良部はサーカスの団員に受け入れられたため、1週間で空中ブランコの実演をすることになりました。公平と共にスイングし、内田のキャッチも成功しました。

読んだ感想

アニメは少しファンタジーな面があるため、小説版の伊良部のキャラクターや登場する患者に若干の違いはありますが、コメディの面は変わらないため大変楽しく読めました。

伊良部は医者なのに子供っぽい面が強く、医者としてのモラルに欠ける面もありますが、伊良部の破天荒さが結果的に患者の悩みの解決につながっているので読後感が良いです。

様々な患者は元より性格に難があることが多く、地の文や会話での発言から問題があることを読み取れますが、そのキャラクター性にはそこまで大きな不快感がなく、むしろ共感できるのがこの物語の不思議なところです。

ただ、時々伊良部の行動の方が異常に見えるので、患者が振り回されている節はあります。読後感に満足できて楽しかったというのが正直な感想です。

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