「スタンド・バイ・ミー」田舎の少年4人が町を出る【あらすじ・感想】

「スタンド・バイ・ミー」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「スタンド・バイ・ミー」を読んだきっかけ

最近映画版を見たので、原作が気になって手に取りました。個人的に、小説を映像にすると一番エモくておいしい部分が抜け落ちてしまうと思っているので、その部分を楽しみたくて原作小説を読みました。

どんな小説?

ホラー小説家のスティーブン・キングが「ホラーではない、普通の小説」として書いた中編4篇「恐怖の四季」シリーズの秋冬編を収録した1冊。

言わずと知れた青春映画の金字塔「スタンド・バイ・ミー」の原作小説が秋編として収録されています(表題作)。秋編の「スタンド・バイ・ミー」は青春小説ですが、冬編の「マンハッタンの奇譚クラブ」はホラーとはいかないまでも幻想的で少し不気味な物語でした。

あらすじ

【スタンド・バイ・ミー】舞台は1960年代のアメリカ、メイン州の田舎町キャッスルロック。中学に上がる直前の夏休み、木の上の小屋に集まって遊んでいた少年たちの元に、仲間の1人が駆け込んできてこう言います。「死体を見にいかない?」。

話を持ってきた少年・バーンは、不良の兄が仲間に「3日前から行方不明になっている少年が町の外に広がる森の奥で列車に轢かれ、野ざらしになっている」と話しているところを偶然聞いてしまったのでした。

バーンと小屋にいた少年たちは話し合い、「死体を見つければ英雄になれる」という理由で少年の死体を探しに出かけます。

冒険のメンバーは、作家になることを夢見ているがその才能を認めてくれた兄が少し前に亡くなってしまい、悲しみを抱えている少年・ゴーディ、賢く優しいが家庭環境に問題があり、周りも本人も「きっとろくな人間にならない」と将来を悲観しているリーダー格のクリス、元軍人の父親を深く愛し尊敬しているが、そんな父親に虐待されて耳を焼かれて聴力が著しく弱まってしまったテディ、不良の兄にいじめられている少し鈍臭い肥満児のバーンの4人。

その日、4人は親に「バーンの家でキャンプをする」と嘘をついて町を出ます。線路沿いを歩きながら、恐ろしい番犬がいるゴミ捨て場を抜け、橋で列車に轢かれそうになり、ヒルのいる沼を通り、クリスやバーンの兄たちが所属する不良グループとの対立を乗り越え、4人はついに少年の死体を発見します。

しかし本物の死体を見た彼らはそれを利用して英雄になろうとはもはや思わず、死体を置いて町に戻ります。4人の一夏の冒険はこうして終わったのでした。

【マンハッタンの奇譚クラブ】弁護士のデイビッドは知人の招待でニューヨークの奇妙なクラブに参加します。そのクラブでは毎年クリスマスに持ち回りでメンバーが不思議な話をする決まりになっていました。デイビッドが初めて参加した年のクリスマス、メンバーの1人である老医師は若い頃に出会ったとある若い妊婦とのエピソードを語りはじめます。

読んだ感想

「スタンド・バイ・ミー」は映画を先に観ていたので、映画との比較になってしまいますが、映画ではあまり説明がなくあっさりと描かれていたシーンに意味があったり、映画では1篇しか出てこなかった語り手の少年・ゴーディの創作小説がいくつか登場したりして、ゴーディの内面がさらによく見えた印象でした。

また映画だと少年4人が主人公で、ゴーディとクリスのシーンが少しだけ多いという印象だったのですが、原作だとかなり「これはゴーディとクリスの2人の物語なんだな」という感じがしました(少年4人ではなく)。

また映画は悲しくも爽やかなラストだと思ったのですが、原作は一緒に冒険に出たメンバーのその後がかなり詳細に語られ、しかも映画版よりかなり悲惨な人生になっていたので少し後味が悪い印象です。「スティーブン・キングはやっぱりホラー作家なんだなぁ…」と思いました(ホラーは後味が悪いものが多いので)。

「マンハッタンの奇譚クラブ」は幻想と怪奇のかおりが漂う古き良き時代の物語だと思いました。半世紀ほど前を舞台に書かれた小説はこのような雰囲気を求めて読むことが多いので、個人的にはまったくマークしていなかったこちらの1篇の方が好きだったかもしれません。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「スタンド・バイ・ミー」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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