「河童」芥川龍之介の描く河童の世界【あらすじ・感想】

「河童」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「河童」を読んだきっかけ

小学校のころからよく耳にする「芥川賞」というものがありました。「芥川賞」とは芥川龍之介の功績から始まっていたとは知っていました。

芥川龍之介の作品は短編が多いので小学生にとって取り組み易いと考えました。

どんな小説?

芥川龍之介は、人間の世界とは真逆の河童の世界を描きました。河童の世界を通して描かれた人間社会の矛盾点や非合理性、政治の腐敗を痛烈に表現しています。

また、河童たちの不思議な生態を楽しむという読み方もできると思います。この作品のテーマは「精神病患者」の扱いを捉えることも重要です。

あらすじ

この小説の始まりは、精神病院の患者の第二十三号が誰にでもしゃべる話の内容です。主人公が、深い穴の中に転げ落ち、河童の世界に陥る所から始まります。

主人公は「特別保護住民」として生活することになります。ここでの河童の表現は、背丈が一メートルくらいです。短い毛の生えている頭の真ん中に楕円形の皿があり、その皿は年齢により硬くなっていきます。

手足には水掻きがついていて、皮膚の色は周囲の色と同じになります。着物はつけませんが、カンガルーのように腹に袋を持っているのでモノを持ち歩くことができます。主人公は河童のお産をするところを見に行きました。

父親は母親の生殖器に口をつけ、子供に向かってこの世界に生まれてくるかどうかを聞きました。お腹の中の子供は、父親の精神病の遺伝が大変と感じています。河童的存在を悪いと思っているので生まれたくないと言いました。

書籍製造会社に行ってみると本の材料である紙とインクと驢馬の脳髄という灰色をした粉末を漏斗型の口へ入れるだけで無数の本ができる場面があります。製品は人手を待たずに大量生産が行われるため、数多くの労働者が解雇されます。その職工を殺して肉を材料に使っていました。

河童の国では犯罪の名を犯人に聞かせて死刑を行うようでした。河童の神経作用は微妙なので、それだけで彼らは死に至るのです。その方法は殺人にも使われます。河童は「蛙」だと言われただけで死んでしまうということです。主人公が帰りたいと相談すると天井から降りていた一本の綱を引きました。すると天窓が開き綱梯子が出てきました。

主人公はここから外へ出て行きました。歳をとった河童は、出て行って後悔しないようにと言いました。河童の国から帰ると人間の匂いが気になりました。そして河童の清潔さを思い出し、人間が気味の悪いものに思えてきました。

一年ほど経ち、ある事業に失敗すると河童の国に帰りたいと思うようになりました。そして家を出て中央線の汽車に乗ろうとしたところを巡査に捕まり、精神病院に送られました。

読んだ感想

天才と呼ばれた芥川龍之介に翻弄されているような気分にさせられる作品です。一般的に「代表作」と言われるものは易しいものが多いのですが、この「河童」はかなり曲者であると思います。

ただ河童たちの不思議な生態を楽しむという読み方もできると思います。

テーマの深みは人間社会は非情な合理性に満ちていています。河童が生まれるときには親の都合ではなく、子供がこの世に生を授かりたいかを判断します。

河童の世界では工業が発達しているため大量の職工の解雇が行われ、解雇された職工は肉にされて食膳に提供されます。人間社会とは全く異なった世界が描かれているようにも感じる河童の世界ですが、実は人間社会も河童の社会も同じようなものなのかもしれません。

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