「何者」本当の就活生の姿を描いた青春群像劇【あらすじ・感想】

「何者」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「何者」を読んだきっかけ

映画化決定のプロモーションが盛んに行われていた頃、「あなたは何者になっていますか」という書店のシィンプルなポップに惹かれて手に取り購入しました。何者とは一ったいどういう意味だろうと単純に気になったのがきっかけです。

どんな小説?

就活に翻弄されながら、未来の自分を嫌でも直視しなければならない若者達の青春群像劇です。決してキラキラと希望に溢れた物語ではなく、就活という人生最初の困難を泥臭く描いています。

SNSを使っての心情描写や箇所箇所で滲みでるマウンティングがイマドキの感覚に近く、若者に支持される小説です。

あらすじ

大学生の拓人、光太郎、瑞月、里香、隆良は就活をきっかけにグループで頑張ろうと協力し合うようになります。でもそれは表向きの話で、誰かがうまくいけば妬み、うまくいかなければ安心する。そんな人間の本当の姿を描いた就活生には辛いお話です。

主人公の拓人は冷静沈着で人間観察が得意。仲間の進捗を眺めながら、今の状況をSNS上で分析しています。学生時代に打ち込んだ演劇を卒業する理由がほしくて就活をせず演劇の道に進んだ元の仲間の銀次をこき下ろすのが精神安定になっているよう。

冷静に見えて誰より就活に執念と焦りを持っています。そんな拓人が分析する設定で物語が進み拓人の目線から仲間達の様子が見えてきます。

拓人のルームメイトの光太郎はギリギリまで音楽活動をしていたりり、就活に遅れをとっています。拓人はアドバイスをし、光太郎も拓人を頼りにしますが、いつの間にか形勢が逆転してしまい拓人は嫉妬します。

またその光太郎の元カノで留学からかえってきた瑞月は拓人の思い人。瑞月は実は家庭の事情で安定した就職をしなければならず、他のメンバーと就活に対する意識が違うということがわかります。瑞月の友人で同じく留学経験者の里香は自他ともに認める意識高い系女子大生。

そのせいで就活がうまくいかないことを拓人はSNSでバカにしますが、のちに全部全部ばれていることが里香の口から明かされます。

里香の恋人で同じように意識高い系の隆良は、そのプライドの高さから焦って就活をするのを嫌がり、嫌味な言い方でマウントをとるので、拓人のSNSでかっこうの餌食としてこきおろされます。こんな5人の大学生が将来の道を進む就活をひたすら突き進む物語です。

読んだ感想

本音と建前が顕著に表現され、本音をSNSに書き込むという手法がよりリアリティを生み出し、心に突き刺さる物語だと思います。

就活というデリケートな問題を扱っているので、私がもし就活生なら絶対に読みたくないし、この最中にある若者にはお勧めできない小説です。拓人のれ目線から描かれているので、不意に他の人物の本音がわかる描写では、拓人と一緒に驚いてしまうし、傷つきます。

それほど気持ちを持っていかれ入り込んでしまう小説なんだと感じました。終盤、留学や単位不足の留年、浪人して入学したメンバーとは違い、拓人だけが就職留年をしているとわかるのが、かなり衝撃で、どの口が言っているんだろうと主人公の拓人に呆れてしまいました。人の心情が痛いほどよくわかる作品です。

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