「ARIEL」地球侵略を目指す宇宙人から地球を守る【あらすじ・感想】

「ARIEL」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「ARIEL」を読んだきっかけ

作者の前作、前々作を読んでおりファンであったため、本屋で一巻を見つけた途端に購入、即読破の流れです。

もちろんそれだけでなく、一巻の帯に書かれた「突然の侵略者」「超兵器」「ALL ROUND INTERCEPT & ESCORT LADY」の文字が否応なしに期待させるもので、手に取るには十分な理由でした。

どんな小説?

地球侵略を目指す宇宙人と巨大ロボットを擁する地球を守る組織との戦い。

そう書くと昔からあるSF作品ですが、何をするにも「予算」があり、組織には「権限」があり、組織間には「政治」が存在する、敵も味方も事情(特に経費)があるという経済や経営を持ち込んだ?新鮮で楽しい作品です。

同時に非常識な存在達が物語をひっぱり、常識派が四苦八苦する姿も哀愁と笑いを誘います。 また登場する乗り物、武器、兵器を細かく丁寧に書く作風はマニアも満足させてくれます。 色々な意味でのリアル系SF小説です。

あらすじ

突如、地球の衛星軌道上に現れた宇宙人の巨大戦艦。彼らは全世界に向けて宣戦布告を告げ、銀河帝国の傘下に入るように無条件降伏を求める。全世界がパニックとなり侵略を受ける中で、日本の国立科学研究所、通称SCEBEIでは所長の岸田博士が独断で開発した新兵器を巡り揉めていた。

「ALL ROUND INTERCEPT & ESCORT LADY」(全領域要撃支援女性)通称ARIALは女性型巨大ロボットで核融合炉を動力として高速機動や格闘をこなす戦闘機一千機分のコストを誇る兵器だった。

破棄決定からふってわいた宇宙人の侵略に、岸田博士は孫娘三人をパイロット席に押し込めて宇宙人の兵器の迎撃にあたらせる。迎撃に成功(被害は侵略側の予定の十倍)したARIALと岸田博士は、その後も膨大な国家予算をつぎ込んでARIALの武装を強化、改修、更には新型機を投入していった。

一方で侵略者である宇宙人は銀河帝国を名乗ったものの、その実は帝国から侵略業務を下請ける民間企業、それも三流侵略会社ゲドー社の社員であった。

老朽化したA級戦艦一隻で地球侵略をこなす彼らは、日々の経費を切り詰め予算に頭を悩ませる何処にでもある企業で、帝国から完了時の報奨金を目当てにいかに安く地球を侵略するかが課題だった。

ゲドー社が東京のボロアパートに前線基地を設置したことで、宇宙人側の工作員ナミ、敏腕経理部長シモーヌ、艦長のハウザーと参謀のデモノバが地球人でありARIALの搭乗員である河合美亜に岸田絢と和美、更には和美のクラスメートと邂逅して、まさかの異星間交流まですることになる。

更には同業者の大手フログレンス社の天才少年ニコラス・フィーラー、銀河規模の非常識「星壊し」のセイバー、大手兵器メーカーのゲルニクス社一族のトマス・ゲルニカ、宇宙海賊、宇宙怪物、銀河帝国艦隊、未来人まで多種多様な存在が太陽系に現れては事件を巻き起こす。

そんな中で宇宙人と地球の技術レベルの差を冷静に理解した岸田博士は、戦いから対話へ方針を切り替え、ついには宇宙人側との会談に成功させ国連を利用して地球を銀河帝国の一員とすることに成功する。

読んだ感想

毎巻発刊されるのを楽しみにしていた数少ないSF小説のシリーズでした。

主人公格の非常識な科学力と行動力を持つ「虹色の脳細胞」岸田博士やただの大学生なのにS級工作員並みの力を発揮する美亜の描写は当然として、他の登場人物も特出した能力と人間臭い面が上手く表現され非常に魅力的で、お気に入りの人物の登場回は何度も読み直した記憶があります。

またARIALを中心に綿密に記載された兵器は、実在非実在問わずに存在感があり物語のディテールを補完して、奇想天外なシナリオをリアリティあるものに仕上げてます。

美形の宇宙人の登場から地球が銀河系レベルの文明に参加することになる結末まで、暴走・脱線・紆余曲折のストーリーは二十巻というボリュームでも飽きさせない楽しい作品です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「ARIAL」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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