「贖罪の奏鳴曲」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「贖罪の奏鳴曲」を読んだきっかけ
電子書籍でセールになっていました。「さよならドビュッシー」「連続殺人鬼カエル男」等映像化もされている中山七里さんの作品ということもあり、ラストのどんでん返しを期待して購入しました。
どんな小説?
中山七里さんお得意の犯罪・推理ものです。今回の主人公はお金のために働くいわくつきの弁護士で、彼に殺人の疑いがかけられます。
川であがった死体と、別件の保険金殺人とが絡み合い、事件の結末は全く違う方向へと導かれます。殺人を犯し更生した弁護士という奇抜な設定と、予想もしない真犯人に驚かされる作品です。
あらすじ
物語は死体遺棄から始まります。弁護士の御子柴礼司は、どしゃ降りに便乗して死体を川に遺棄しました。 一方、川であがった水死体について若手の古手川とベテラン刑事の渡瀬が捜査を進めていきます。死体の身元はライターの加賀谷竜次だと判明しました。
加賀谷はスクープしたネタを元に金銭を要求するような評判の悪い男でした。その加賀谷が最近追っていた事件が、東條美津子が被疑者となっている保険金殺人だということを知り、保険金殺人事件について調査を始めます。
そして、その被疑者の弁護を引き受けているのが、弁護士の御子柴でした。 事件は、被疑者である東條美津子が、夫である東條彰一の人工呼吸器を故意に外したかどうかを争っていました。彰一はトラック事故に遭い、脳挫傷で意識不明の重体でした。
東條一家が経営する製材所は赤字経営であり、先天性の脳性まひである息子の幹也を抱え、借金や介護に疲れ果てての発作的な行為だとはじめは考えられていました。しかし彰一には三億円の保険金が掛けられていたのです。
二つの殺人事件を追う中で、古手川と渡瀬は、加賀谷が御子柴の過去について調べていたことを突き止めます。御子柴は26年前の幼女殺害事件の犯人だったのです。加賀谷はこのネタを元に御子柴をゆすり、口封じのために殺されたのではないかという疑いが生まれました。
そして、御子柴について調べていきます。御子柴は何となくで幼女を殺しました。そこには何の感情も理由もありませんでした。しかしピアノとの出会い、少年院で一緒になった嘘崎や夏本の死、教官の稲見とのやり取りをきっかけに、感情が芽生えはじめ、罪の意識が生まれます。そうして真相が見えていきます。
読んだ感想
読み始めてから最後まで一気に読みました!作品内で扱っているテーマが「犯罪の更生」「障がい者」などわりと重めで、裁判用語など難しい言葉も多いですが、気になる展開が多くどんどん読み進めることができました。
丁寧な心理描写があり、1人1人の登場人物のキャラクターがよくつかめました。主人公で御子柴の頭の良さ、渡瀬が犯人を追い詰める様は見物です。意外なところに真犯人が浮上するのも、中山作品らしいなぁと思います。
ピアノを題材にした岬洋介シリーズなどは割と若年層でも楽しめると思いますが、それと比べると、フィットする年齢層は少し上になるのかな…?とは思います。この弁護士御子柴礼司もシリーズ化されているらしいので、次の作品も読みたいです!
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