「お孵り」(おかえり) 求めていた土俗ホラー作品

「お孵り」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「お孵り」を読んだきっかけ

私は日本のホラー作品が好きです。特に、その村独自の風習やわらべ唄なんかに沿った古風な土俗ホラー作品が大好きなのですが、「土俗ホラー_小説」などとネット検索をかけても意外とヒットしません。

そんな中で、検索に引っかかった数少ない小説がこの作品でした。ネットの試し読みで序盤を読んだところ、ひと目で好みの作品だと直感したため、購入に至りました。

「お孵り」はどんな小説?

「お孵り」は滝川さりが書いたホラー小説で、滝川さりはこの作品で溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞を受賞し、デビューを果たしました。

ある村で信仰されている神様と、それにまつわる風習などがテーマとなっており、「生まれ変わり」などもテーマのひとつになっています。そんな古風な村の出身である妻を持った男性を主人公にして、この物語は進行していきます。

「お孵り」のあらすじ・ストーリー

主人公・佑二の婚約者・乙瑠の故郷は、九州山中のとある村。その村では「タイサイサマ」という神様が信仰されており、いまだに生まれ変わりが信じられていました。そして、生まれ変わりを実現させるため、犯罪まがいの異様な儀式が行われているのを、佑二は目撃してしまうのです。

佑二は乙瑠ともどもその村を忌避しますが、乙瑠の出産に伴い、やむを得ず乙瑠を再度村に見送ります。しかし、乙瑠が産んだ子供は「タイサイサマの生まれ変わり」として、乙瑠と共に村に捕らわれてしまうのです。佑二は乙瑠とまだ見ぬ我が子を救うために奔走します。

「お孵り」を読んだ感想

これぞ、私が読みたかった土俗ホラー小説だ!と歓喜しました。

「タイサイサマ」という、どういう字を書くのかよく分からない(だからこそ不気味な)神様の存在、生まれ変わりを信じて疑わない村の人々、村を取り巻く異様な雰囲気…乙瑠が、村を忌避しながらも、タイサイサマや生まれ変わりは信じているという意外性にもまた惹き込まれました。これが、村の風習などにリアリティを感じるポイントのひとつでもあると思います。

ストーリーの展開も早く、しかし心理描写は繊細で、久しぶりに一気読みしてしまった作品です。一度読み始めたら止まらなくなります。
また、伏線の張り方も丁寧で非常に良かったです。伏線を拾いながら読み進めていく感じはミステリー作品にも似ていて、伏線が丁寧すぎて若干展開が読みやすくもありましたが、それでも問題ないと感じるほどに没頭できる、面白い作品でした。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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