「十円札」借りた十円札による感情の流れを描いた小説【あらすじ・感想】

「十円札」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「十円札」を読んだきっかけ

青空文庫で、芥川龍之介の小説を探していたところ、この作品を見つけました。あまり知られていない作品ですが、手軽に読める分量と簡単なあらすじに魅了されて、隙間時間にちょっと読みたい時に都合がいいな、と思い、時間のある時に読む事にしました。

芥川の作品は、無名の作品にも面白い物が多数ありますので、この作品も当たりだといいな、と淡い期待を抱きながら読む事にしました。

「十円札」はどんな小説?あらすじ・ストーリー

堀川保吉という英語教師であり小説の投稿も行っている人物が、給料日前でお金がない事を苦に「何とかならないか」と苦悩する部分から物語は始まります。

保吉の描く苦悩は生々しいものであり、そこに描かれている感情の流れは、人間らしく、矛盾に満ちていてとても面白いと思います。 お金に困っていた保吉は、同僚の先生から10円を借りるのですが、その10円を使うべきかどうかで悩みます。

物語を突き放してみるとどうでもいい悩みなのですが、作品を読んでいるとその悩みに信ぴょう性があり、全体としても優れた作りになっていると思います。

海軍学校の英語教師であり、小説家でもある堀川保吉は、給料日前にお金がない事を悩んでいました。それで、駅の物売りに当たり散らしたりして落ち着かないのですが、尊敬する同僚の教師に会うと途端に丁寧な物腰になります。

その先生にお金がない事を相談すると、その教師は保吉にお金を貸してくれるのですが、尊敬する教師に借りた10円のお金を巡って、保吉は苦悩します。そこでは、自分の社会的立場と、尊敬する同僚への見得、また、自分の欲望が葛藤を繰り広げ、その10円札を使うかどうか、色々と悩みます。

果たして、保吉は借りた10円札をどうするのか、というところが、物語の主なあらすじとなります。

「十円札」を読んだ感想

十円札を読んだ感想 煙草を買うために物売りに話しかけた保吉が、物売りに尋ねられて煙草を買う事を拒否したり、10円札を借りるだけなのに、借りる前に悩み、借りた後に悩む様子は優柔不断で、離れた所から見れば、どうでもいい悩みかもしれません。

しかし、作品を読んでいくと、いかにももっともらしい苦悩が描かれていて、人間とは不思議なものだなと思いました。 また、全体を通して苦悩する保吉が描かれているのですが、物語としての終わりはよく出来ていて、随所にみられる人間的な考察や芥川らしい緻密な構成は、かなり完成度が高いと思いました。

無名な作品ですが、個人的にはとてもよく出来ている話だと思うので、芥川が好きな方は、ぜひこの作品も読んでもらいたいと思いました。

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