読者が書いた「海岸通りのポストカードカフェ」のあらすじと感想です。
読んだきっかけ
この本を読んだキッカケは、表紙のイラストがとても爽やかで美しかったことと、タイトルのポストカードカフェという言葉が、一体どんなカフェなのだろうかという好奇心を駆り立てたからでした。
恋愛やミステリー作品は面白いのですが、読んだ後に疲れてしまうので、たまには癒し系の作品が良いと思って選びました。
どんな小説?
この作品は、吉野真理子さんが2014年に発表した癒し系小説です。
横浜みなとみらいにある一軒の喫茶店を舞台にした、喫茶店のマスターとお客さんとの物語です。メール社会の今だからこそ、手書きならではの良さが伝わります。
カフェの壁一面に貼られたお客さんからのポストカード。そして、カフェを訪れる様々な人々の人間模様が淡く優しく描かれています。
あらすじ
横浜みなとみらいにある、ちょっと風変わりなカフェ。店内には、お客さんから届いたポストカードが所狭しと飾られていました。
このポストカードは1度貼られたら、どんなに時がたっても廃棄されることはありませんし、差出人へと戻されることもありません。
そして、このカフェを訪れるお客さんたちは、皆、何かしら心に抱えている人たちばかりです。そして、実はマスターの瀬尾にも、ウェイターの朝陽にも、カフェそのものにも、ある事実が隠されていました。
読んだ感想
手書きのポストカードで、こんなにも物語が広がるのかと思いました。マスターである瀬尾の元に届くポストカード。1枚の中に、大切な人に届けたくても届けられなかった様々な想いが詰まっていて、読み終わった後、かつて届いた友人からのポストカードを探しました。
この作品は、様々な客たちの話がメインなのですが、なかでも印象的だったのは、教師の五月雨宛の不思議なポストカードでした。さきというかつての教え子からのポストカード。なぜ、彼女は2度と会えないと書いたのか、なぜ五月雨はなかなか彼女のことが思い出せないのかが、まるで秘密の扉を開けるようでドキドキしました。
そして、なぜ瀬尾がこのカフェを始めたのかがわかったとき、胸の奥に不思議な暖かさが広がりました。まるで、日々のストレスが癒されていくようでした。
もし、この物語が電話やメールを使ってのものだったら、きっとこんなには感動しなかったろうと思います。ポストカードという形になって残るからこそ良いのだと思います。いろんな人にいろんな人生ドラマがある。そんな当たり前のことを教えてくれた作品です。
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