「牌の魔術師」は極限の勝負と友情に胸が熱くなる麻雀小説

「牌の魔術師」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「牌の魔術師」を読んだきっかけ

高齢者のための健康マージャンから幅広い世代のオンライン対局まで、様々なスタイルで進化を遂げている麻雀に前々から興味があったのがきっかけです。

終戦直後から旧制中学校を無期停学となり、博打三昧の日々を送っていたという著者の破天荒な生きざまにも憧れがあります。双葉社から刊行されている単行本サイズは現在では絶版となっているため、古書通販サイトで入手して読んでみました。

「牌の魔術師」はどんな小説?

著者・阿佐田哲也の若き日の数奇な体験をもとにした、自伝的小説です。和田誠監督によって映画化された「麻雀放浪記」の原作者、あるいは1978年に色川武大のペンネームで発表した「離婚」で直木賞に輝いた純文学作家として聞き覚えがあるのではないでしょうか。

今でこそプロ雀士や様々な連盟や団体によってコンプライアンスが保たれていますが、1940年代後半から1950年代の前半にかけては怪しげなイカサマ師や商売人街の麻雀クラブを荒らし回っていました。

そんな喰うか喰われるかの時代に朝起きてから日付けが変わるまで牌を握りしめて、数多くの名勝負を繰り広げていた「魔術師」たちへの静かなレクイエムが込められています。

「牌の魔術師」あらすじ・ストーリー

一生に一度だけ上がれるかという役満・天和を人工的に作り出してしまう凄腕の職人として、大柴久作は麻雀打ち仲間のあいだでは有名でした。

昭和20年代には場末の麻雀クラブでは客が役満を上がると名前を書いて貼り出す慣習があって、その頃に20歳前後だった坊や哲は「天和、大柴様」と書いた紙切れを見るたびに闘志を燃やしていきます。

クラブからクラブへと渡り歩いて東京中を荒らしていく大柴、いつか彼を打ち負かすことを夢見ている坊や哲。ふたりは遂に南千住の雀荘で顔を合わせて、たちまち意気投合しますが…

「牌の魔術師」を読んだ感想

卓の上の牌を4人でかき混ぜてそれぞれが自分の山を作っていく、「手積み」と呼ばれる旧き良き時代のスタイルが作品の中で描かれていて懐かしいですね。

全自動マージャン卓が普及していくにつれて、大柴のようなテクニックだけが頼りだった勝負師たちが舞台から立ち去っていく後ろ姿はちょっぴり寂しいです。

一匹狼の主人公・坊や哲と大柴とのあいだに、不思議な絆が芽生え始めていく瞬間にも心温まります。スマートフォンのアプリをインターネットで手軽に麻雀をプレイしている、若い世代の皆さんは是非とも読んでみてください。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

その他の電子書籍サイトでも「牌の魔術師」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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